メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

Brazen Abbot

A Decade of Brazen Abbot / Brazen Abbot (2004)

0450A Decade Of Brazen Abbot









ブルガリアのギタリスト、ニコロ・コツェフ率いるBrazen Abbotのライブ・アルバム。2003年7月31日母国ブルガリアの首都ソフィアでのコンサートが収録されています。ボーカルはジョー・リン・ターナー、バッキングはいつものEuropeの面々ではなくウェイン・バンクス(B)、トーマス・ブローマン(Ds)、ラーズ・ポラック(Key)というラインナップとなっています。DVDも出ているようですが筆者は未視聴です。

収録曲は全14曲となっていますが、#14"Love Is on Our Side (Acoustic version"は4thアルバムGuilty as Sin日本盤ボーナス・トラックと同一のスタジオ・テイクです。#1"Intro"、#8"Keyboard Solo"、#12"Drum Solo"を除き、また"Guilty as Sin"のPart 1、2を1曲に数えるとライブ音源は9曲となります。そのライブ音源のうち#9"Can't Let You Go"と#11"I Surrender"はもちろんRainbowのカバー。残り7曲のうち、#13"Road to Hell"は2ndアルバムEye of the Stormに収められていた曲ですが、その他はGuilty as Sin収録曲。コンサート当時の直近のアルバムからの選曲が多いのは仕方ないとしても、もう少し各アルバムからの曲が聴きたいと思いました。それから、JLTのレパートリー以外の曲がGuilty as Sinでヨラン・エドマンが歌った#10"I'll Be Free"のみというのも寂しい。ボーカル1人のライブなのでJLT中心となるのは当然とは言え、結果としてRainbowスタイル一辺倒になってしまったのが惜しいところ。スタジオ盤よりバンド感が出ているのは良い点ですが、スタジオ盤ではもう少し多彩な音楽性が示されていたことを考えると、もう一工夫欲しかったというのが正直な感想です。もちろん歌唱・演奏は高水準で、文句の付けようの無いライブ・パフォーマンスだと思います。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Intro
02. Mr. Earthman
03. One Life to Live
04. Slip Away
05. Guilty as Sin (Part 1)
06. Guilty as Sin (Part 2)
07. Supernatural
08. Keyboard Solo
09. Can't Let You Go
10. I'll Be Free
11. I Surrender
12. Drum Solo
13. Road to Hell
14. Love Is on Our Side (Acoustic version - studio bonus track)

■Personnel
Nikolo Kotzev - Guitars, Vocals
Joe Lynn Turner - Lead Vocals, Acoustic Guitar
Wayne Banks - Bass, Vocals
Thomas Broman - Drums
Lars Pollack - Keys, Vocals

Producer - Nikolo Kotzev 
 
A Decade of Brazen Abbot
Brazen Abbot
Frontiers Italy
2005-02-08

Guilty as Sin / Brazen Abbot (2003)

0367Guilty as Sin









ブルガリア出身ギタリスト、ニコロ・コツェフが主宰するハードロック・プロジェクトBrazen Abbotの6年ぶりの第4作。今回起用されたボーカリストは、前作から引き続いての参加となるジョー・リン・ターナーとヨラン・エドマン、そして新たにヨルン・ランデというメンツとなっています。万能型のJLT、アグレッシヴ&パワフルなヨルン・ランデ、渋めの曲を歌わせたら天下一品のヨラン・エドマン、三者三様の歌唱が楽しめるという相変わらず贅沢な趣向ですね。インスト・パートはEuropeのジョン・レヴィン(B)、イアン・ホーグランド(Ds)、ミック・ミカエリ(Key)で、前作から変更無しの鉄壁の布陣です。

Deep Purple、Rainbowスタイルの「様式美ハードロック」を中心に、手を変え品を変え70年代ロックを蘇らせるポリシーはこれまで通り。当然目新しさは全くないものの、好き者には堪えられない企画ですな。今回は、ヨラン・エドマンの歌うバラード#3"I'll Be Free"が、地味ながらもしみじみした味わいがあって特に良かったです。また、不思議な雰囲気のアコースティック曲#10"Eve"は、ヨラン・エドマンの声がデヴィッド・ボウィみたいで強い印象が残ります。一方、ハード目の曲ではヨラン・エドマンが苦しそうだったり、タイトル曲#12"Guilty as Sin"の後半がちょっと冗長な感じだったりして、百点満点とは言えないかな。これまでのアルバムが良すぎた反動なのか、小さなことでも気になってしまいました。ニコロ・コツェフのギターはいつも通り音色もフレーズも完璧で言うことありません。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. One Life to Live (Lyrics : Joe Lynn Turner)
02. Eyes on the Horizon (Lyrics : Jörn Lande)
03. I'll Be Free (Lyrics : Nikolo Kotzev)
04. Slip Away (Lyrics : Joe Lynn Turner)
05. Mr. Earthman (Lyrics : Jörn Lande)
06. Like Jonah (Lyrics : Göran Edman)
07. Bring the Colors Home (Lyrics : Jörn Lande)
08. Fool's Confession (Lyrics : Göran Edman)
09. Supernatural (Lyrics : Joe Lynn Turner)
10. Eve (Lyrics : Nikolo Kotzev)
11. A Whole Lotta Woman (Lyrics : Jörn Lande)
12. Guilty as Sin (Lyrics : Joe Lynn Turner)
[bonus track for Japan]
13. Love Is on Our Side (Acoustic Version) (Lyrics : Joe Lynn Turner)
All music written by Nikolo Kotzev

■Personnel
Nikolo Kotzev - guitars, violin, piano, keyboards, percussion

Joe Lynn Turner - vocals (1, 4, 9, 12, 13)
Göran Edman -  vocals (3, 6, 8, 10)
Jörn Lande -  vocals (2, 5, 7, 11)

Ian Haugland - drums
Mic Michaeli - organ
John Levén - bass

Producer - Nikolo Kotzev 

Guilty As Sin
Brazen Abbot
Steamhammer Us
2003-08-12

 

Nostradamus / Nikolo Kotzev (2001)

0281Nostradamus









ブルガリア出身のギタリスト、ニコロ・コツェフによるロック・オペラ「Nostradamus(ノストラダムス)」を収録した2枚組アルバムです。ノストラダムスと聞くと、日本では随分前にブームになった「ノストラダムスの大予言」を思い出しますが、まさにそのノストラダムスに関するストーリーをロック・オペラに仕立てた作品です。改めてググってみたところ、「ノストラダムス」とは「ノートルダム」のラテン語読みだそうで、「ノートルダム」は「我らの貴婦人」という意味のフランス語でで聖母マリアを指すのだそうです。「ノストラダムス」という響きに禍々しさを感じていましたが、なんだか普通で拍子抜けしました。

ニコロ・コツェフと言えばハードロック・プロジェクトBrazen Abbotで知られており、ニコロ・コツェフ名義の本作にもBrazen Abbotの常連ミュージシャンが多数参加しています。ロック・オペラということで、ボーカル陣にはそれぞれ役が振られていて、クレジットにはその配役が記されています。ジョー・リン・ターナーはノストラダムス、グレン・ヒューズはフランス王アンリ2世、ヨラン・エドマンが幽霊、ドゥギー・ホワイトが語り部、ヨルン・ランデが宗教裁判官、アランナ・マイルズがノストラダムスの妻アンヌ、サス・ジョーダンがフランス王妃カトリーヌ・ド・メディシスといった具合です。女性ボーカリスト二人は畑違いで筆者は知らない人でした。バンドはミック・ミカエリ(Key)、ジョン・レヴィン(B)、イアン・ホーグランド(Ds)のEurope組とニコロ・コツェフ自身です。

さて音のほうですが、基本的にはBrazen Abbot同様の、Deep PurpleやRainbowスタイルのオーソドックスなハード・ロックです。ただ、オーケストラや合唱団が加わったことによって、シンフォニック・メタルのような荘重なサウンドとなっているのが特徴。また、1曲の中で複数のボーカリストと合唱団が歌い分けているのも、ロック・オペラならでは面白みだと思います。筆者の耳に残ったのは宗教裁判官役ヨルン・ランデの圧倒的な歌唱。もともとこの役にはロニー・ジェイムス・ディオを予定していたらしいのですが、ヨルン・ランデはその代役を見事に務めています。それから、グレン・ヒューズの変幻自在のボーカルもやはり凄い。バンドの演奏はBrazen Abbotと同じくパーフェクト。というわけで完成度は恐ろしく高いです。ロック・オペラというものを、ライブやビデオではなくCDで音だけ聴くのは物足りないし、また全編通しで聴くのはちっょとしんどいのですが、たまにじっくり腰を据えて聴く価値のあるニコロ・コツェフ渾身の作品だと思います。

※youtubeにNostradamus2017年ブルガリア公演のトレイラー映像がありました。配役はCDとは違っていて、トーマス・ヴィクストロムやビョルン・ローディンが出ているようです。映像化されればCDよりよっぽど面白いと思います。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
CD1
Act I
01. Overture (Instrumental)
02. Pieces of a Dream
03. Desecration
04. Introduction
05. Home Again (Instrumental)
06. Henriette
07. Caught Up in a Rush
08. The Eagle
09. Plague
10. Inquisition
Act II
11. The King Will Die
12. I Don't Believe
13. Try to Live Again

CD2
01. War of Religions
02. The Inquisitor's Rage
03. Chosen Man
Act III
04. World War II
05. World War III
06. Because of You
07. The End of the World, 3797
08. I'll Remember You
All music written by Nikolo Kotzev

■Personnel
[Cast of Characters]
Anne Gemelle - Alannah Myles
Catherine, Queen of France - Sass Jordan
Ghost - Göran Edman
Henry II, King of France - Glenn Hughes
Inquisitor - Jørn Lande
Nostradamus - Joe Lynn Turner
Story Teller - Doogie White
The People - Choir
The Inquisition - Choir

Nikolo Kotzev - Guitars, Synths, Violin Solo on "Henriette", Percussion
Ian Haugland - Drums
John Levén - Bass
Mic Michaeli - Organ

Producer - Nikolo Kotzev

Nostradamus
Nikolo Kotzev
Steamhammer Europe
2001-10-09

Bad Religion / Brazen Abbot (1997)

0183Bad Religion









ブルガリア出身の凄腕ギタリスト、ニコロ・コツェフによるハードロック・プロジェクト第3作。ボーカルはヨラン・エドマン、トーマス・ヴィクストロム、ジョー・リン・ターナー、インスト・パートはジョン・レヴィン(Ba)、イアン・ホーグランド(Ds)、ミック・ミカエリ(Key)のEurope組と、全員前作Eye of the Storm と同じ布陣です。ニコロ・コツェフはギター以外にも数種の楽器を担当、また作曲・編曲、プロデュース、レコーディング作業の一切を手がけるという多能多才ぶり。このプロジェクトは、1作目から極めてクォリティの高いRainbow、Deep Purple風ハードロック一直線、本作もまた期待に違わない路線で高品質の仕上がりとなっています。楽曲の出来ばえも素晴らしく、ボーカリストは三者三様の個性的な歌唱を競い合い、バックの演奏陣もスリリングでセンスの良いプレイを聴かせてくれます。もちろん、ニコロ・コツェフのギターも折り紙つきの超一級品です。

#1"The Hole World Is Crazy"、ボーカルはジョー・リン・ターナー。Rainbow再結成か?と錯覚するメロディアスでパワフルなスピード・チューン。ミック・ミカエリのオルガンがいい雰囲気出してます。

#2"Nightmares"、立て続けのスピード・チューンですが、ジョー・リン・ターナーとは持ち味の全く異なるトーマス・ヴィクストロムのドラマチックな歌唱が印象的。

#3"Two of a Kind"、一転して落ち着いた曲調。ヨラン・エドマン登場です。渋い歌いまわしにゾクゾクするスロー・バラード。ここでも存在感あるオルガンに拍手したくなります。やっぱりハードロックにはシンセじゃなくてオルガンですよ。

#4"I Will Rise Again"、再びジョー・リン・ターナーです。タイトなリフがカッコいい曲。短いながらも起承転結のあるニコロ・コツェフのギター・ソロが素晴らしい。ややポップなメロディがJLTによく似合っています。適材適所ですな。

#5"Day of the Eagle"、Purple風の疾走感溢れる曲。ニコロさんのバイオリン・ソロが新鮮です。ボーカルはヨラン・エドマンですが、ハイ・トーンがちょい苦しいかな。この人には中低音を生かした渋めの曲が合うと思うんですけどねぇ。

#6"We Don´t Talk Anymore"、ややアーシーなメジャー・キーのバラード。トーマス・ヴィクストロムが味のあるボーカルを聴かせます。この人はほんとにオールマイティです。中間部でテンポがアップし「様式美」風になってからのギター・ソロも聴き所。

#7"Wings of a Dream"、スピーディ&パワフル&ドラマチック、典型的な「様式美」ハードロックです。こういうのは当然ジョー・リン・ターナー。いや~興奮します!

#8"Bad Religion"、タイトル・チューンを歌うのはヨラン・エドマン。ミドル・テンポの落ち着いた曲です。ヴァース部分のポール・ロジャースを思わせるコブシぐるぐるの歌いまわしが最高。カントリー・フィドルみたいなバイオリンと、「様式美」的ギター・ソロのコントラストもニコロさんの計算の内でしょう。この人の才能には脱帽です。

#9"Father to Child"、またまたスピード・チューン。なんという圧倒的な声量、音域、表現力。トーマス・ヴィクストロムの独壇場です。本作で一番リッチー・ブラックモアへのリスペクトを感じさせるニコロさんのソロに思わずガッツポーズ!いや、したことありませんけど、一度言ってみたかったんです。

#10"Love Is on Your Side"、ポップで都会的なのに哀愁を感じさせるJLTのメランコリックな歌唱が実に素晴らしいバラード。それから、またまたニコロさんのソロの構成力にも唸らずにはいられません。

#11"The Empire of the Sun"、トリを勤めるのはやっぱりヨランさん。緊張感に満ちた曲展開が素晴らしい疾走曲です。ギター・ソロも完璧です。いや~、ハードロックを聴き続けて良かったなぁ~、っていう感慨が沸いてきます。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. The Hole World Is Crazy (L: Joe Lynn Turner, Robert Held)
02. Nightmares (L: Thomas Vikström)
03. Two of a Kind (L: Göran Edman)
04. I Will Rise Again (L: Joe Lynn Turner, Robert Held)
05. Day of the Eagle (L: Göran Edman)
06. We Don´t Talk Anymore (L: Thomas Vikström)
07. Wings of a Dream (L: Joe Lynn Turner, Robert Held)
08. Bad Religion (L: Göran Edman)
09. Father to Child (L: Thomas Vikström)
10. Love Is on Your Side (L: Joe Lynn Turner)
11. The Empire of the Sun (L: Göran Edman)
All music written by Nikolo Kotzev

■Personnel
Nikolo Kotzev - guitars, violin, piano, keyboards, percussion
Joe Lynn Turner - vocals (tracks: 1, 4, 7, 10)
Thomas Vikström -  vocals (tracks: 2, 6, 9)
Göran Edman -  vocals (tracks: 3, 5, 8, 11)
Ian Haugland - drums
John Levén - bass
Mic Michaeli - organ

Producer - Nikolo Kotzev 

Bad Religion
Brazen Abbot
Steamhammer Europe
2007-02-19

 

Eye of the Storm / Brazen Abbot (1996)

0113Eye of the Storm
ブルガリア出身のギタリスト、ニコロ・コツェフの主宰するHRプロジェクトの2作目。1作目のLive and Learn(1995) では、グレン・ヒューズ、ヨラン・エドマン、トーマス・ヴィクストロムの3人のボーカリストを押し立てて素晴らしいハードロックを聴かせてくれました。本作ではヨラン・エドマン、トーマス・ヴィクストロムは引き続きの参加、そしてグレン・ヒューズに替わってジョー・リン・ターナーが新たなボーカリストに迎えられ、またまた最高レベルのハードロック・アルバムに仕上がっています。演奏陣はヨーロッパのジョン・レヴィン(Ba)、イアン・ホーグランド(Ds)、ミック・ミカエリ(Key)。みんないい仕事しています。特にイアン・ホーグランドはヨーロッパよりいいプレイなんじゃないかと思うほど。ミック・ミカエリも故ジョン・ロードが乗り移ったかのような素晴らしいオルガンを聴かせてくれます。作曲、編曲はもちろん、プロデュースからミックスまで、マスタリング以外の全ての作業をニコロ・コツェフ自身が行っています。なお、作詞はその曲を歌うボーカリストが担当しています。

前作と同じく、パープル、レインボー風のスタイルを中心に、70年代ハードロックの様々なエッセンスが凝縮されています。曲ごとにボーカルが違うこともあって、まるで70年代ロックのベスト盤を聴いているような錯覚に陥ります。そういう意味では目新しさは皆無ですが、とにかく楽曲と歌唱・演奏が極上なのでとことん楽しめる作品となっています。前作と比較しての特徴は曲調によってボーカリストを決めていること。メインのパープル、レインボー的なスピード曲は、ジョー・リン・ターナー担当。やはりこの人はこういう曲を歌わせたらピカイチですね。#8"The Road to Hell"なんかパープル以上にパープルで思わず笑ってしまいます。とにかく、出がらしみたいな今のパープルよりよっぽどエキサイティングです。リズムが跳ねる曲はトーマス・ヴィクストロム。これが意外にいいんです。この人上手い上にほんと器用だわ。ヨラン・エドマンはどうやらこのプロジェクトではポール・ロジャース役を振られたらしく、メロウな曲、アーシーな渋い曲を受け持っています。リッチーがイアン・ギランの後任にポール・ロジャースを欲しがったというのは有名な話ですが、第三期パープルにもし代用品のデビカバじゃなくポール・ロジャースが入っていたら、なんてことを想像しながら聴くのも一興です。#11"Devil's Allegro"はインスト曲ですが、ニコロ・コツェフのテクニックとフィーリングの冴えが十二分に堪能できます。アクセル・ルディ・ペルに爪の垢を煎じて飲んでもらいたい。飲まないだろうけど。

国内盤ブックレットにはニコロ・コツェフ自身によるメンバー紹介、曲紹介が掲載されていますが、頻繁に出てくるフレーズは、「70年代のハードロック」、「仕事が速い」。そうか、ミュージシャンもやっぱり仕事が速くないといけないんだなー。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Eye of the Storm (L : Joe Lynn Turner, Robert Held)
02. Twist of Fate (L : Joe Lynn Turner, Robert Held)
03. Fool in Love (L : Göran Edman)
04. Line of Fire (L : Joe Lynn Turner, Robert Held)
05. Wake Up Everybody (L : Thomas Vikström)
06. Everything's Gonna Be Allright (L : Göran Edman)
07. Common People (L : Göran Edman)
08. The Road to Hell (L : Joe Lynn Turner)
09. Restless in Seattle (L : Göran Edman)
10. Highway Cindy (L : Thomas Vikström)
11. Devil's Allegro
12. I'll Be There for You (L : Göran Edman)
All music written by Nikolo Kotzev

■Personnel
Nikolo Kotzev - guitars, keyboards, pianos, violin, percussion, bass on 11, organ on 11
Joe Lynn Turner - vocals on 1, 2, 4, 8
Thomas Vikström - vocals on 5, 10
Göran Edman - vocals on 3, 6, 7, 9, 12
Ian Haugland - drums
Mic Michaeli - organ
John Levén - bass

Producer - Nikolo Kotzev 

Eye of the Storm
Brazen Abbot
Steamhammer Europe
2007-02-19

 

Live and Learn / Brazen Abbot (1995)

0033Live and Learn

ブルガリア出身のギタリストであるニコロ・コツェフが、HR/HM界のスター達を集めて好きなようにアルバムを作ってしまうという夢のようなプロジェク ト、ブレイズン・アボットの第一作目。ボーカルにはグレン・ヒューズ、トーマス・ヴィクストロム、ヨラン・エドマンという名手3人が揃い踏み。脇を固めるのは、ヨーロッパのイアン・ホーグランド(Ds)とミック・ミカエリ(Key)、さらにインングヴェイ・マルムスティーンのバンドで活躍したスヴァンテ・ ヘンリソン(Ba)という豪華ラインナップです。一応、元ボルティモアという経歴はあるものの、ニコロさん本人が一番無名。。。しかし、無名な人が有名な人を集めまくるプロジェクトってたまに見かけますが、どういう風にして実現するんでしょうかね?アクセル・ルディ・ペルとかもそうだし。カネ?コネ?あ、ニコロさんはアクセルさんと違って、ギターの腕も曲作りの才能も一流なので、その点は心配いりません。ちなみに全ての曲がニコロ・コツェフの作曲で、歌詞はニコロ・コツェフの書いた数曲を除いて基本的に歌い手が書いています。また、アレンジ、プロデュース、ミックスも全部ニコロ・コツェフ自身で行っていま す。

肝心な音のほうですが、このアルバムに関して言うと「メロハー」というよりも70年代ハードロックの再現といった印象です。ニコロ・ コツェフのギターは、明らかにリッチーの影響を受けつつも、テクニックのゴジラ化には至っていないオーソドックスなものですし、パープル風、レインボー風 はもとより、もっと泥臭いブルージーなサウンドも聴かせてくれます。筆者のように60年代末から70年代の音を聴いて育った者には、思わずニヤリとさせら れる魅力があるのです。全曲とも拍手したくなるほど素晴らしい出来栄えです。ボーカルの3人は、それぞれに持ち味を発揮して唸らせますが、中でもヨラン・エドマンの歌う"Feeling Like a Rolling Stone"は、ハイトーンを抑えポール・ロジャース風の渋い歌唱を聴かせる出色の出来となっています。また、ラストの"Shadows of the Moon"はトーマス・ヴィクストロムの表現力の幅を見せ付ける曲で、リプリーズがまた70年代っぽくて泣かせます。

このアルバムが好評だったからかどうかは分かりませんが、このプロジェクトは現在に至るまで、ジョー・リン・ターナーやトニー・ハーネル、ヨルン・ランデまで動員して継続しています。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Extraordinary Child (Nikolo Kotzev, Göran Edman)
02. No Way Out of Nowhere (Nikolo Kotzev)
03. Live and Learn (Nikolo Kotzev, Glenn Hughes)
04. Russian Roulette (Nikolo Kotzev, Thomas Vikström)
05. Clean up Man (Nikolo Kotzev, Glenn Hughes)
06. When November Reigns (Nikolo Kotzev, Thomas Vikström)
07. Miracle (Nikolo Kotzev, Glenn Hughes)
08. Big Time Blues (Nikolo Kotzev)
09. Feeling Like a Rolling Stone (Nikolo Kotzev, Göran Edman)
10. Children of Today (Nikolo Kotzev, Thomas Vikström)
11. Shadows of the Moon (Nikolo Kotzev)

■Personnel
Nikolo Kotzev - Guitars, Keyboards, Pianos, Violin, Percussion

Glenn Hughes - Vocals on tracks 3, 5, 7
Thomas Vikström - Vocals on tracks 2, 4, 6, 8, 10, 11
Göran Edman - Vocals on tracks 1, 9
Ian Haugland - Drums
Mic Michaeli - Organ
Svante Henryson - Bass

Producer - Nikolo Kotzev

Live & Learn
Brazen Abbot
Steamhammer Europe
2007-02-19

 
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