スウェーデンのメロディアス・ハードロック・バンドH.E.A.Tの3rdアルバム。ボーカルのケニー・レクレモは脱退、替わりにTV番組「IDOL」優勝者でソロ・アルバム2枚をリリースしていたエリック・グロンウォールが加入しています。この新ボーカリストはジョン・ボン・ジョヴィとジーン・ボーヴァーを足して二で割ったようなタイプで、歌唱力は抜群、おまけにルックスも含めて華がある。おっさん臭さい(失礼)前任者と比べて、よりバンドに合っていると思います。このメンバー・チェンジによるパワー・アップに引っ張られて演奏面も更に強化され、おまけに外部ライターを動員した成果もあって楽曲もこれまで以上に充実、文句無しの傑作となりました。EuropeやHardcore Superstarを手がけてきたプロデューサーのトビアス・リンデルの手腕もあるのでしょう。アリーナやスタジアムが似つかわしいまさに超Aクラスのバンドの音です。
※最近(2020年10月)になって、エリック・グロンウォールの脱退、ケニー・レクレモ再加入が発表されました。
※本作は通常盤CDの他に、ライブ音源など5曲を収録した2枚組の「Collector's Edition」も発売されています。
1. Breaking the Silence (H.E.A.T)
アルバム全体のイントロダクション的なナンバー。単純な曲ですが景気づけにはもってこい。ワクワク感が堪りません。
2. Living on the Run (Sharon Vaughn, Fredrik Thomander, Peter Månsson, H.E.A.T)
本作のハイライトとなるアップ・テンポの超強力ナンバー。高揚感に満ちたメロディ、張りと伸びが素晴らしい歌唱、全てが最高です。シングル・カットもされたようです。
3. Falling Down (Magnus "Adde" Andreasson, Martin Sandvik, H.E.A.T)
2曲目と同傾向のハイ・テンションで強力な曲。流麗でありながら力強いメロディが印象的です。
4. The One and Only (Jakke Erixson, H.E.A.T)
ちょっと一息つくタイミングでのバラード。多人数でのバック・ボーカルの効果もあって、壮大な雰囲気のパワー・バラードになっています。ソウルフルな歌いまわしがエリック・グロンウォールの力量をまざまざと示しています。
5. Better Off Alone (H.E.A.T)
これまたテンションの高いアップ・テンポのナンバー。エッジの効いたサウンドとメロディ・ラインがEclipseを思わせます。
6. In and Out of Trouble (Sharon Vaughn, H.E.A.T)
珍しくサックス入りのAOR風の曲です。キャッチーなメロディが一発で気に入りました。特にサビが秀逸です。
7. Need Her (H.E.A.T)
明るくキラキラしたハード・ポップ。この曲もサビが最高です。昔だったら「アメリカナイズ」とか言われそうですが、今時アメリカからこんな音は聴こえてきませんね。
8. Heartbreaker (H.E.A.T)
「ウォーウォーウォー」というコーラスも、メロディもBon Joviっぽいナンバー。うーん、この曲カッコよすぎです。
9. It's All About Tonight (Per Aldeheim, H.E.A.T)
跳ねるリズムとリフが、かつてのDanger DangerやBon Joviを思わせる曲。若干の泥臭さもあって本作の中ではやや異色かな。
10. Downtown (H.E.A.T)
ふんわり、ゆったりした感じのナンバー。起伏に乏しく、他の曲に比べてやや落ちる印象。
11. Back Into Your Arms [Bonus Track] (H.E.A.T)
明るくドラマチックなメロディ展開が印象的なアップ・テンポのナンバー。この曲もEclipseに通じるテイストがあります。
評価 ★★★★★
★★★★★ 傑作
★★★★☆ 秀作
★★★☆☆ 佳作
★★☆☆☆ 凡作
★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。
■Personnel
Erik Grönwall - Vocals
Dave Dalone - Guitar
Eric Rivers - Guitar
Jona Tee - Keyboards
Jimmy Jay - Bass
Crash - Drums
Tomas Jonsson - Saxophone on #6
Malin Ljungeskog - Backing Vocals on #4
Sophie Wittmeyer - Backing Vocals on #4
Fillip Williams - Backing Vocals on #4
Doreal Williams - Backing Vocals on #4
Melisha Linnell - Backing Vocals on #4
Zandile Zulu - Backing Vocals on #4
Producer – Tobias Lindell