メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

Gotthard

Homerun / Gotthard (2000)

0495Homerun









スイスのハードロック・バンドGotthard(ゴットハード)の5作目のオリジナル・アルバム。メンバーは前作 Open と同じくスティーヴ・リー(Vo)、レオ・レオーニ(G)、マンディ・メイヤー(G)、マーク・リン(B)、ヘナ・ハーベッガー(Ds)となっています。プロデュースと曲作りに同じスイスのKrokusのクリス・フォン・ローアが関わっているのはこれまで通りです。

前作に引き続きソフト路線ともいうべき作風で、アコースティカルな曲や、ポップな曲が多い印象です。なんとDuran Duranのアンディ・テイラーのカバー#3"Take It Easy"なんていうのも収録されています。ソフト路線はいいのですが、バラード多過ぎというのがちょっと気になるところ。もちろんGotthardですからどの曲も出来はいいのです。しかし、ソフト路線でバラード多目となると、ハードロック・バンドとしてはいかがなものかと。ギター・ソロなんかもずいぶん減ってしまったし。ハードロック一本やりではスイスの「国民的バンド」に登りつめることはできないということだったのでしょうか。ところで、前作には"Vision"という名曲が入っていましたが、本作にもそれに匹敵するような#4"Light in Your Eyes"という哀愁メロハーの名曲があります。バラードを減らして、"Vision"や"Light in Your Eyes"みたいな曲を増やしてくれたら、名盤確定なんだけどなぁ。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Wun Ga-Li (Lynn)
02. Everything Can Change (Von Rohr, Meyer, Lee)
03. Take It Easy (Andy Taylor, Steve Jones)
04. Light in Your Eyes (Von Rohr, Leoni, Lee)
05. Heaven (Von Rohr, Leoni, Lee)
06. Lonely People (Von Rohr, Leoni, Lee)
07. Eagle (Von Rohr, Leoni, Lee)
08. End of Time (Von Rohr, Leoni, Lee)
09. Say Goodbye (Von Rohr, Leoni, Lee)
10. Reason to Live (Von Rohr, Meyer, Lee)
11. Come Along (Von Rohr, Leoni, Lee)
12. Homerun (Von Rohr, Leoni, Lee)
[Japan Bonus Track]
13. Dirty Weekend (Leoni, Lee)

■Personnel
Steve Lee - Vocals
Leo Leoni - Guitars, Keyboards
Mandy Meyer - Guitars
Marc Lynn - Bass
Hena Habegger - Drums

H.P. Brüggemann - Keyboards
Nicolò Fragile - Keyboards
Danny Lee - Additional Vocals
Flavio H. - Additional Vocals

Producer - Chris Von Rohr, Leo Leoni

HOMERUN
GOTTHARD
ARIOL
2001-01-29


Open / Gotthard (1998)

0451Open









スイスのハードロック・バンドGotthard(ゴットハード)の4作目のオリジナル・アルバム。これまでのスティーヴ・リー(Vo)、レオ・レオーニ(G)、マーク・リン(B)、ヘナ・ハーベッガー(Ds)の4人に加えて、サポート・メンバーだったマンディ・メイヤー(G)が加入して5人編成となっています。プロデュースと曲作りに同じスイスのKrokusのクリス・フォン・ローアが関わっているのはこれまで通りです。

1stから3rdまではロックン・ロール調をメインにしたゴリゴリのハードなサウンドが持ち味だったGotthardですが、本作は前年にリリースされたアコースティック・ライブ盤D Frostedの延長線上にあるような、ソフトでアコースティカル、そしてメロディアスな作風となっています。これ以降の作品は基本的に本作を踏襲した路線となるので、このバンドのターニング・ポイントとも言えるアルバムだと思います。初期のオーセンティックなハードロックから、メロハー路線への変化ということで、もしかしたら以後ファン層の一部は入れ替わったかもしれません。ソフト過ぎてついていけないという意見も目にしたことがありますが、筆者としては初期の作風もメロハー路線もどちらも好みなので問題無しです。

収録曲はどれも良く出来ていてため息が出るほど。メロディは素晴らしいし、歌唱・演奏は相変わらず極上です。アコギとクリーン・トーン中心のギター・サウンドが心地良く、また生ピアノとハモンド・オルガンが効果的に使われていて、全体にナチュラルで暖か味のあるサウンドが素晴らしい。もっともお気に入りの曲は、メジャー・キーのアーシーな曲の多い本作ではやや異色となる哀愁メロハー#2"Vision"。Gotthardの数ある名曲・佳曲の中でもトップクラスの一つだと思います。物悲しいメロディを切々と歌い上げる故スティーヴ・リーの歌声が耳に残って離れません。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Free and Alive (Leoni/Lee/von Rohr)
02. Vision (Meyer/Lee/von Rohr)
03. Got to Be Love (Leoni/Lee/von Rohr)
04. Let It Rain (Leoni/Lee/von Rohr)
05. Blackberry Way (Roy Wood)
06. You (Meyer/Lee/von Rohr)
07. Cheat & Hide (Leoni/Lee/von Rohr)
08. Want You In (Meyer/Lee)
09. Tell No Lies (Leoni/Lee/von Rohr)
10. Back to You (Leoni/Lee/von Rohr)
11. Best Time (Leoni/Lee/von Rohr)
12. Hey Jimi (Leoni/Lee/von Rohr)
13. Peace Of Mind (Leoni/Lee/von Rohr)
[Japan Bonus Track]
14. Mad Love (Leoni/Lee/von Rohr)

■Personnel
Steve Lee - Vocals
Leo Leoni - Guitar
Mandy Meyer - Guitar
Marc Lynn - Bass
Hena Habegger - Drums

Max Lässer - Dobro, Slide Guitar, Steel Guitar
Andy Pupato - Percussion
H.P. Brüggemann - Synth, Hammond Organ, Piano

Producer - Chris von Rohr

オープン
ゴットハード
エイベックス・トラックス
1999-07-14

D Frosted / Gotthard (1997)

0362D Frosted









スイスで国民的人気を誇るというハードロック・バンドGotthardのアコースティック・ライブ・アルバムです。メンバーはスティーヴ・リー(vo)、レオ・レオーニ(gt)、マーク・リン(ba)、ヘナ・ハーベッガー(ds)の4人。それに加えてサポート・メンバーとして、マンディ・メイヤー含めギター2本、キーボード、パーカション、合計8人という大編成で、録音はスイス国内3箇所(ルカーノ、チューリッヒ、ベルン)で行なわれています。

メロハー系バンドのアンプラグド物には傑作が多いという印象がありますが、その中でも本作はトップクラスの出来ばえだと思います。まず演奏が上手い。全員が異常に上手いです。もちろんスティーヴ・リーのボーカルもオリジナル以上に心に沁みてきます。熱唱に応える観客の大合唱・大歓声も地元ならではの盛り上がりです。アンサンブルも心憎いばかり。ギターをアコにしましたっていうだけでなく絶妙な再アレンジが施されており、何度聴いても聴き飽きるどころか聴くほどに味わいが増してきます。それから、録音が抜群に良いですね。音質もクリアだし分離もいいしバランスも完璧だし、これ本当にライブ録音なの?と疑いたくなるほど。ライナー・ノートを読むと、バンドはこの時のアンプラグド・ツアーに並々ならぬ意欲で臨んだらしく、そのことがよく伝わってきます。いや~、本当にいいバンドですGotthard!

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Sister Moon (Leoni/Lee/von Rohr)
02. Out on My Own (Leoni/Lee/von Rohr/Vergeat)
03. Father Is That Enough? (Leoni/Lee/von Rohr)
04. Let It Be (Leoni/Lee/von Rohr)
05. Hurry (Leoni/Lee/von Rohr/Vergeat)
06. Hole in One (Leoni/Lee/von Rohr)
07. Angel (Leoni/Lee/Lynn)
08. Love Soul Matter (Leoni/Lee/von Rohr/Vergeat)
09. Sweet Little Rock 'n' Roller (von Rohr/Maurer)
10. Hush (South)
11. Someday (Leoni/Lee/von Rohr/Vergeat)
12. One Life, One Soul (Leoni/Lee/von Rohr)
13. Get Down (von Rohr/Maurer)
14. Mountain Mama (Leoni/Lee/von Rohr)
15. I'm on My Way (Leoni/Lee/von Rohr)
16. Mighty Quinn (Bob Dylan) [Japanese Bonus Track]

■Personnel
Steve Lee – vocals
Leo Leoni – guitars, backing vocals
Marc Lynn – bass, backing vocals
Hena Habegger – drums

Mandy Meyer – guitars
Vic Vergeat – guitars, backing vocals
Andy Pupato – percussion
HP Brüggemann – keyboards

Producer - Chris von Rohr

D FROSTED
GOTTHARD
ARIOL
2003-01-06

 

Fight for Your Life / Gotthard ‎(1997)

0318Fight For Your Life









1997年にGotthardがリリースした5曲入りのEPです。タイトル曲#1"Fight for Your Life"は、同じスイス出身の空手家・K-1選手アンディ・フグの入場曲として提供されたもので、邦題は「闘え!アンディ・フグ」。アンディ・フグもGotthardもスイスで国民的人気を誇ったヒーローで、これ以上ない強力なタッグですね。曲はもちろんGotthardらしい良い曲なのですが、いかにも入場曲っぽい演出がされていて、一般の曲のように聴くのはちょっと厳しいかな。更に、ラストにアンディ・フグの日本語でのメッセージが被せられているのも、今となっては複雑な心境にさせられます。筆者などは彼がこのあと間もなく白血病で急逝したときの衝撃を覚えているのでしんみりしてしまいます。他の4曲は、#2"Ride On"、#3"In the Name"、#5"Fist in Your Face"が3rdアルバムG. 収録曲、#4"He Ain't Heavy, He's My Brother"はG. のヨーロッパ盤ボーナス・トラックです。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Fight for Your Life (L. Leoni, S. Lee, C. von Rohr, J. Naegeli)
02. Ride On (L. Leoni, S. Lee, C. von Rohr)
03. In the Name (L. Leoni, S. Lee, C. von Rohr)
04. He Ain't Heavy, He's My Brother (Bobby Scott, B. Russel)
05. Fist in Your Face (L. Leoni, S. Lee, C. von Rohr)

Producer - Chris von Rohr 

闘え!アンディ・フグ
ゴットハード
BMGビクター
1997-06-21
 

The Hamburg Tapes / Gotthard (1996)

0258The Hamburg Tapes









スイスのハードロック・バンド、Gotthard(ゴットハード)のライブEP。The Hamburg Tapes - Special Live Editionと題され、1996年日本でのみリリースされたものです。録音は1996年4月ハンブルグのMarkthalle Hamburg。キャパ1000人程のホールだそうです。ブックレットにはクレジットがありませんが、アルバムG.のリリースに伴うツアーということで、スティーヴ・リー(vo)、レオ・レオーニ(gt)、マーク・リン(ba)、ヘナ・ハーベッガー(ds)のメンバー4人に加えて、マンディ・メイヤー(gt)、ニール・オトゥパッカ(key)がサポートでプレイしています。プロデュースはこれまでのアルバムと同じくクリス・フォン・ローアです。

Gotthardの最初のライブ盤となった本作、3rdG.から3曲、2ndDial Hardから2曲、計5曲しか収録されていないのが非常に残念。演奏も熱いし、客席の盛り上がりもすごい。#5"Hole in One"での、Deep Purpleの"Strange Kind of Woman"みたいなギターとボーカルの掛け合いなんか、ライブならではのカッコよさで思わずニヤニヤしてしまいます。翌年1997年のライブ盤D Frostedもありますがあれはアンプラグドだし。このThe Hamburg Tapesはフルレンスで出して欲しかったなぁ。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. In the Name ( Leoni/Lee/Von Rohr)
02. I'm Your Travellin' Man (Andris/Meyer/Jamison)
03. Mountain Mama ( Lee/Leoni/Von Rohr)
04. Mighty Quinn (B. Dylan)
05. Hole in One ( Leoni/Lee/Von Rohr)

Producer - Chris von Rohr 

ザ・ハンブルグ・テープス~スペ
ゴットハード
BMGビクター
1996-07-24

G. / Gotthard (1996)

0210G









スイスのハードロック・バンド、ゴットハードの3rdアルバム。相変わらず、ブルースとロックン・ロールをベースにしたオーソドックスなハードロックが詰め込まれた作品です。ただ、過去2作と比較するとロックン・ロール調の曲が多くなり、若干の変化が見られます。#7"Sweet Little Rock 'n' Roller"など、シンプルだけどものすごくカッコいいなぁ。パープルやレインボーを思わせる#9"Ride On"も、ハードロックの真髄といった感じで聴き手をワクワクさせてくれます。また、このバンドの得意技の一つとしてロマンチックに盛り上げるバラードがありますが、本作にも#13"One Life, One Soul"というクッサいヤツが入ってます。もちろんいい曲ですね。それから、恒例のカバー曲、今回はちょっと意外なところで1968年マンフレッド・マンのヒット曲"Mighty Quinn"です。元々はボブ・ディランの曲ですが、最初にリリースしたのはマンフレッド・マンで、その後もいろんな人がカバーしている有名曲。ゴットハード・バージョンは、泥臭くなり過ぎない程度の絶妙のアレンジで、アーシーなハードロックに仕立て上げられています。それから、日本盤のボーナス・トラックはツェッペリンの"Immigrant Song"。「移民の歌」という邦題が定着しているあの名曲を、現代風なソリッドなサウンドで再現しています。いや~カッコいい!結局今回もオープニングからラストまで、ダレることなく一気に聴ける充実の傑作と言わざるを得ないです。バンド・メンバーは前作と同じく、スティーヴ・リー、レオ・レオーニ、マーク・リン、ヘナ・ハーベッガー、プロデュースも同じくクロークスのクリス・フォン・ローアが担当しています。

なお2009年再発国内盤には、ヨーロッパ盤のボーナス・トラックだった"He Ain't Heavy, He's My Brother"と、"One Life, One Soul (Feat. Montserrat Cabell)"が追加され、全16曲収録となっています。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Sister Moon (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
02. Make My Day (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
03. Mighty Quinn (Bob Dylan)
04. Movin' On (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
05. Let It Be (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
06. Father Is That Enough? (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
07. Sweet Little Rock 'n' Roller  (Chris von Rohr/Maurer)
08. Fist in Your Face (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
09. Ride On (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
10. In the Name (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
11. Lay Down the Law (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
12. Hole in One (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
13. One Life, One Soul (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
14. Immigrant Song (Jimmy Page/Robert Plant)

■Personnel
Steve Lee – vocals
Leo Leoni – guitar, vocals
Hena Habegger – drums
Marc Lynn – bass

Sammy Sanchez – slide guitar
Cat Gray – keyboards, percussion
Andrew Garver – harmonica
Jane Child – backing vocals

Producer - Chris von Rohr

G
ゴットハード
BMGビクター
1996-01-24

Dial Hard / Gotthard (1994)

0163Dial Hard









スイスのハードロック・バンド、ゴットハードの2ndアルバム。1stのレビューでは、70年代ブリティッシュ・ハードロックのもっとも忠実な後継者だとか、ハードロックの魅力の全てがここにあるとかベタほめしましたが、2ndも同じことを書きたくなる素晴らしさです。いや~、なんでこんなにカッコいいんだろう。ロックン・ロール調の曲を基本として、ややメロハー寄りの正統派ハードロックとしか呼びようのない楽曲の数々が詰め込まれています。ん?どこかで聴いたことのあるフレーズが?リフがホワイトスネイクの○○に似てるとか、歌い回しがツェッペリンの○○に似てるとか、サビがY&Tの○○に似てるとか?野暮なことは言いっこなしです。正統的というのはこの場合つまり保守的ということでもあって、ハードロックの歴史を形作ってきた典型的なリフやコード進行、歌いまわし、歌詞の乗せ方を巧みに援用・借用することで、リスナーの「ハードロックらしさ」を求める気持ちを満足させているのです。正統派と称されるバンドの中でも、意識的に、ストイックなまでに正統派たらんとしているのがゴットハードというバンドの身上で、これは中々に貴重なことだと思っています。オリジナリティの追求に重きをおく人々によってロックは革新され、同時にジャンルは細分化していきます。原点を守ろうとする人々によって細分化する前のロックが保守され、時代に即して再生されていきます。これはロックに限らないことですが、ジャンルが一定の歴史を重ねた後に、既に出来上がった「そのジャンルらしさ」を守りながら、なおかつ自分たちの色や味を出していくにはかなりの力量がいる。それに成功しているこのバンドはやはり凄いと思います。

さて、前作ではパープルの"Hush"をカヴァーしていましたが、本作でもビートルズの"Come Together"、そしてサヴァイヴァーのジミ・ジェイソンが在籍していたコブラの"I'm Your Travelin' Man"を取り上げています。コブラのギタリストのマンディ・メイヤーは後にゴットハードに加入することになります。また日本盤のボーナス・トラックではツェッペリンの"Rock and Roll"まで演ってくれちゃっています。バンド・メンバーは前作と同じく、スティーヴ・リー、レオ・レオーニ、マーク・リン、ヘナ・ハーベッガーの4人。プロデューサーも同じくクロークスのクリス・フォン・ローア。ゲスト・ミュージシャンとして、前作にも参加していたパット・レーガン(key)の他、スティーヴ・ビショップ(gt)、スティーヴ・ベイリー(ba)がクレジットされています。どうもこのスティーヴ・ベイリー、ヴィクター・ウッテンとつるんで超絶ベース・プレイを聴かせる、あのスティーヴ・ベイリーっぽい。

なお、2009年再発の国内盤には"Love for Money"と"Mountain Mama"のライヴ・バージョンがボーナス・トラックとして追加され、全15曲入りとなっています。 

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Higher (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
02. Mountain Mama (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
03. Here Comes the Heat (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
04. She Goes Down (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
05. I'm Your Travelin' Man (Tommy Andris/Jimi Jamison/Mandy Meyer)
06. Love for Money (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
07. Get It While You Can (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
08. Come Together (John Lennon/Paul McCartney)
09. Dirty Devil Rock (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
10. Open Fire (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
11. I'm on My Way (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
12. Good Time Lover (live/bonus track) (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
13. Rock and Roll (live/bonus track) (Jimmy Page/Robert Plant/John Paul Jones/John Bonham)

■Personnel
Steve Lee – vocals
Leo Leoni – guitars, vocals
Hena Habegger – drums
Marc Lynn – bass

Steve Bailey – bass guitar on tracks 9, 11
Pat Regan – keyboards
Steve Bishop – lead guitar on tracks 5, 11

Producer - Chris von Rohr

ダイアル・ハード
ゴットハード
BMGビクター
1994-02-23

Gotthard / Gotthard (1992)

0026Gotthard

スイスの誇るハードロック・グループ、ゴットハードの記念すべきデビュー・アルバム。スイスでは彼らのアルバム全てがチャート1位を獲得するなど、国民的人気を獲得していたようです。筆者は彼らを、ツェッペリン、パープル、ユーライア・ヒープ、レインボー、ホワイトスネイクといった70年代ブリティッシュ・ハードロックの、もっとも忠実な後継者の一つと捉えています。ハードポップやAOR的要素はほとんどなく、狭義の「メロハー」にくくるのはどうかと思いますが、ハードかつメロディアスなサウンドということではどうしても取り上げたいバンドなのです。

このアルバムは1992年リリースということですから、すでに20年以上が経過しているわけですが全く古臭さを感じさせない。そして、1stアルバムにしてこの完成度というのは驚かされます。かっこいいリフ、起伏に富んだメロディアスなヒラウタ、ストップの後の待ってましたのサビ、そしてトドメのギター・ソロ、ハードロックの魅力の全てがここにはあります。1曲目の"Standing in the Light"から興奮しっぱなしになります。"Angel"、"All I Care For"なんていう、お約束のような泣かせバラードの名曲もしっかり入っています。パープルのヒット曲"Hush"のカバーも良い出来です。

故スティーヴ・リーのボーカルは、デビュー・アルバムにして既に貫禄さえ感じさせます。ロバート・プラント、デヴィッド・カヴァーデイル、ロニー・ジェイムス・ディオといったボーカリストたちの良いところを総合したような、ハードロックの最も良き歌い手の一人だと思います。2010年のバイク事故死が本当に悔やまれてなりません。レオ・レオーニのギターはオーソドックスながらハードロックのツボを心得ているし、マーク・リンとヘナ・ハーベッガーのリズム隊は手堅くゴットハードの屋台骨を支えています。いやー、実にいいバンドだと思います。ベタほめです。

プロデュースのクリス・フォン・ローアは、スイス・ハードロックの先駆者クロークスのメンバーです。ゲストの参加ミュージシャンは、まず、元ディオ、ホワイトスネイク、現デフ・レパード、シン・リジィのヴィヴィアン・キャンベルが2曲ギターを弾いています。パット・レーガンは、クワイエット・ライオットやドロ、ブラックモアズ・ナイトなど多くのセッションに参加しているキーボード奏者。もう一人のキーボード、ニール・オトゥパッカは、ゴットハード結成以前スティーヴ・リーと共にフォーセールというグループのメンバーだったプレイヤーです。

なお、2009年に再発された国内盤には、ボーナス・トラックとして"Downtown"のライヴ・バージョンが追加収録されています。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Standing in the Light (Leoni, Lee)
02. Downtown (Leoni, Lee)
03. Firedance (Leoni, Lee, von Rohr)
04. Hush (South)
05. Mean Street Rocket (Leoni, Lee, von Rohr)
06. Get Down (von Rohr, Mauser)
07. Take Me (Leoni, Lee)
08. Angel (Leoni, Lee)
09. Lonely Heartache (Leoni, Lee)
10. Hunter (Leoni, Lee)
11. All I Care For (Leoni, Lee)
12. That's It (Leoni, Habegger)

■Personnel
Steve Lee – vocals
Leo Leoni – guitars, vocals
Marc Lynn – bass
Hena Habegger – drums

Vivian Campbell - lead guitars on Tracks 03 & 06
Neil Otupacca – keyboards
Pat Regan – keyboards

Producer – Chris von Rohr

GOTTHARD
GOTTHARD
ARIOL
1998-09-07

ゴットハード
ゴットハード
マーキー・インコーポレイティド
2009-06-24

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