メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

TNT

Taste / TNT (2003)

0417Taste









2003年にリリースされたTNTのミニ・アルバム。ライナー・ノーツによれば、1999年に7thアルバムTransistorをリリースして以降、バンドは2度目の解散状態となっていたようです。久々に再結集が図られ、まずはミニ・アルバムを出そうということで制作されたのがこのTasteということになります。メンバーはトニー・ハーネル(vo)、ロニー・ル・テクロ(g)、モーティ・ブラック(b)に加え、オリジナル・メンバーのディーゼル・ダール(ds)が参加。この布陣はなんと1987年の3rdアルバムTell No Tales以来ということになります。

ライナー・ノーツにはロニー・ル・テクロが「今回はファンの望むものを意識しながら作った」と語ったと記されています。その言葉通り、FireflyTransistorの特徴だった陰鬱な雰囲気が嘘のように消え、全盛期のTell No TalesIntuitionを髣髴とさせるキャッチーでメロディアスな楽曲が並んでいます。これは嬉しい驚きですね。TNTらしさ全開のクリスタル・サウンドの#1"Live Today"、ドラマチックで哀愁に満ちたバラード#2"Hey Love"、明るく弾けるハード・ポップ#3"Satellite"、スリリングなメロディが印象的な#4"Give Me a Sign"、Transistorの"Fantasía Española"や"Under My Pillow"を思わせる幻想的で美しい#5"Magic Little Nightmare"と、往年のメロディの輝きを取り戻しており、なんだよやればできるじゃんという感じです。トニー・ハーネルのボーカルは伸びやかで衰えは無く、ロニー・ル・テクロの尖がったギターも相変わらずヘンテコで最高!そして、ラストの#6"Destiny"は80年代北欧メロディック・メタルそのもの!それもそのはず、この曲だけはTell No Tales制作時に録音された未発表デモだそうです。音質的にもサウンド的にも他の曲とかなり違うのが気にはなりますが、ファンにとっては非常に嬉しいオマケだと思います。

なお、本作のヨーロッパ盤はGive Me a Signというタイトルで、"Magic Little Nightmare"を省いた5曲入りに、ジャケットも変更となって発売されています。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Live Today
02. Hey Love
03. Satellite
04. Give Me a Sign
05. Magic Little Nightmare [Bonus Track]
06. Destiny
All songs written by Harnell, Tekrø
except #2 written by Harnell, Tekrø, Enger, Vada

■Personnel
Tony Harnell – vocals
Ronni Le Tekrø – guitars
Morty Black – bass
Diesel Dahl – drums

Producer - Ronni Le Tekrø, Tony Harnell

テイスト
TNT
マーキー・インコーポレイティド
2003-04-23

 

Transistor / TNT (1999)

0336Transistor









1999年にリリースされたTNTの通算7作目、再結成後としてはFirefly に続く2作目のオリジナル・アルバム。前作発表後にトニー・ハーネルが一時脱退してRiotのマーク・リアリと組んだWestworldのレコーディングを行なっていたり、本作リリース後には再度活動停止(実質的に2度目の解散状態)に陥ったり、再結成はしたもののバンドは不安定な状態だったことが推測されます。

アルバムの内容としては前作同様に、大絶賛はできないけれど駄作と決め付けることもできないという感じ。#1"No Such Thing"、#2"Wide Awake"、#3"Because I Love You"とアタマ3曲はIntuitionの頃を思わせる瑞々しいメロディとトニー・ハーネルの伸びやかな歌唱が堪能できます。バラードの2曲#5"Fantasía Española"、#6"Under My Pillow"は美しすぎてうっとりしてしまうほど。女性シンガーとのハイトーン・デュエットが聴ける"Under My Pillow"は特に見事で、TNTの隠れた名曲・名演と言っていいと思います。また、ラストの#11"Free Again"は、このバンドには珍しいゴスペル風のアーシーな曲で、これがまた素晴らしい出来。しかしながら他の5曲は、「ラウド」というのか「モダン」というのか、あまり好きになれないサウンドでした。がなるトニー・ハーネルというのにもイマイチ魅力が感じられません。さらに言うと、日本盤とノルウェー本国盤や米盤は曲順が異なっており、日本盤収録の"Free Again"はカットされて代わりに"Just Like God"というオルタナ風の曲が1曲目に入っています。日本盤は販売上多少でもメロディアスな印象を残したいとしいうことでしょう。どこかのバンドも同じような「小細工」してましたね。それからもう一つ残念なのは、ウリの一つであるロニー・ル・テクロのギターの変態度が下がり、ちょっと大人しくなってしまったこと。これは痛いかな。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. No Such Thing
02. Wide Awake
03. Because I Love You
04. Mousetrap
05. Fantasía Española
06. Under My Pillow
07. The Hole You're In
08. Crashing Down
09. Into Pieces
10. No Guarantees
11. Free Again
All songs written by Ronni Le Tekrø, Tony Harnell

■Personnel
Tony Harnell – vocals
Ronni Le Tekrø – guitars
Morty Black – bass

Dag Stokke - Keyboards
Frode Lamøy – drums, percussion
M.B. Normann – duet vocals on "Under My Pillow"
Eli Kristin Hagen – backing vocals on "Into Pieces"

Producer - Ken Ingwersen

Transistor
TNT
Spitfire
1999-08-10

 

Firefly / TNT (1997)

0312Firefly









1997年に発表された再結成TNTの1作目のアルバム。オリジナル・アルバムとしては通算6枚目となります。リリース当初から「グランジ化した」「暗すぎる」とファンの間では評判の芳しくなかった作品です。時代的な背景から言ってグランジ、オルタナティヴ・ロックの影響はもちろんあったのでしょうが、ロニー・ル・テクロのVagabondに似た雰囲気もあるし、トニー・ハーネルのMorning Woodを思わせるアコースティカルな曲も収録されていて、解散中のそれぞれの音楽活動の延長線ととらえることも出来ます。また、#9thコードと特徴的なリズムから明確なジミヘンへのオマージュを感じ取れる曲もあり、どうも単純にグランジ・ブームに乗っかっただけとは言い切れないような気がします。まあ、いずれにしてもTell No TalesIntuitionで確立したバンドのイメージからはずいぶん遠くに来てしまったのは間違いありません。ただ、これまでのサウンドに拘らなければ、結構いいアルバムなのではないかと思います。リリースから20年以上経っても古臭さが一切感じられないのが凄い。特に#9"Moonflower"の幻想的な美しさは絶品です。演奏面では、なんと言ってもロニー・ル・テクロのぶっ飛び具合が凄まじいです。HR/HMギターの類型を飛び出て、もはやアバンギャルドの域に達した感がありますね。なお、#11"Soldier of the Light"はIntuition制作時のデモだそうで、ちょっと雰囲気が違って浮いてしまってるのがもったいない。無理してこのアルバムに入れなくても良かったんじゃないかなぁ。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Firefly (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Morty Black)
02. Angels Ride (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
03. Tripping (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
04. Daisy Jane (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
05. Somebody Told You (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
06. Month of Sundays (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
07. Only the Thief (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
08. Heaven's Gone (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
09. Moonflower (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, MB Normann)
10. Sunless Star (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Morty Black)
11. Soldier of the Light (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)

■Personnel
Tony Harnell – lead & harmony vocals
Ronni Le Tekrø – all guitars, vocals
Morty Black – bassguitars

Dag Stokke - Keyboards
Frode Hansen – drums, percussion
John Macaluso – drums on #11

Producer - TNT
except #11 produced by Bob Icon

ファイアフライ
TNT
ビクターエンタテインメント
1997-02-05

 

Till Next Time / TNT (1996)

0245Till Next Time









バンド解散後の1996年に日本で企画・編集されたTNTのベスト・アルバム。2ndKnights of the New Thunder 、3rdTell No Tales、4thIntuition から選曲された16曲に加え、Intuition 国内初版(来日記念盤)ボーナストラックの"Electric Dancer"と、ライブビデオForever Shine On - Japan Live (1989年8月新宿厚生年金)から"Tonight I'm Falling"、"Take Me Down (Fallen Angel)"の2曲、合計19曲収録とかなりボリュームのあるベスト盤です。いわば黄金期の3作品の中から、日本人リスナーの好みをよく知る日本のレコード会社が選曲したわけですから、内容の面でも納得のいくアルバムとなっています。さらに、ライブ音源は音質もそれなりでオマケ的なものですが、レア・トラック"Electric Dancer"の収録はポイント高いです。腰の強いシャッフル・ビートとキラめくメロディが絶品で、メロハー・ファンにとっては聴かなきゃ損と思えるくらいの良い曲なのに、正規版Intuition になぜ入ってなかったか理解できません。総じて、今までこのバンドをあまり聴いたことがないけどちょっと興味がある、というようなリスナーには最適のアルバムだと思います。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. 10,000 Lovers (In One) (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Diesel Dahl)
02. Intuition (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
03. As Far as the Eye Can See (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
04. Tonight I'm Falling (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
05. Everyone's a Star (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
06. Take Me Down (Fallen Angel) (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
07. Seven Seas (TNT)
08. Tell No Tales (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Diesel Dahl)
09. Forever Shine On (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Morty Black)
10. Break the Ice (Diesel Dahl, Tony Harnell, Dag Ingebrigtsen)
11. Listen to Your Heart (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
12. Last Summer's Evil (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, TNT)
13. Caught Between the Tigers (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
14. Knights of the Thunder (Diesel Dahl, Tony Harnell, TNT)
15. Sapphire (Ronni Le Tekrø)
16. End of the Line (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
17. Electric Dancer (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
18. Tonight I'm Falling [live] (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
19. Take Me Down (Fallen Angel) [live] (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)

■Personnel
Tony Harnell – vocals
Ronni Le Tekrø – guitars, guitar synthesizer, 1/4 stepper guitar
Morty Black – bass guitar, pedal synthesizer
Diesel Dahl – drums, percussion
Kenneth Odiin – drums, percussion

Producer - Bjørn Nessjø
 
ティル・ネクスト・タイム~ベスト・オブ・TNT
TNT
ユニバーサル インターナショナル
2002-09-21

Three Nights in Tokyo / TNT (1992)

0156Three Nights in Tokyo









1992年8月日本公演を収めたTNT初のライブ・アルバム。日本国内のみのリリースとなっています。当時すでに解散が決定しており、集金ツアーだとか悪口を言われ、公演自体も観客の盛り上がりに欠けるなど、ネガティヴな評価がつきまとうライブでしたが、アルバムを聴く限りそんなに酷いものではありません。演奏・歌唱とも非常にハイ・レベルで、特にロニー・ル・テクロのギターが冴えまくっています。「ライブなのに凄い」と考えがちですが、本物は「ライブだから凄い、ライブの方が凄い」のが当たり前ですよね。トニー・ハーネルの天を突くようなハイトーンにも圧倒されます。ボーカリストとしてはこのころがピークだったんだろうと思います。

メンバー自身が収録曲を選んだということですが、直近のアルバムRealized Fantasiesから多く採られているのは当然としても、日本で特に人気の高い4thIntuitionから1曲も選ばれていないのが不思議です。あえて外したとしか思えませんが、理由は分かりません。収録されているのは、2ndKnights of the New Thunderから1曲、3rdTell No Talesから3曲、5thRealized Fantasiesから6曲、それにロニー・ル・テクロのギター・ソロが1曲扱いで計11曲です。評判の良くない5th中心の選曲ですが、ライブだと意外に他のレパートリーともなじんでいて、違和感はまったくありません。

前述したとおり、このアルバムを最後にTNTは解散。本国ノルウェーと日本では売れたものの、アメリカでの成功に手が届かないことから、トニー・ハーネルとロニー・ル・テクロの間に確執が生じていたと伝えられています。後に再結成しますが、音楽性はかなり変わってしまいます。本作は選曲に難はあるものの、全盛期TNTの唯一のライブ盤として貴重なものでしょう。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Purple Mountain's Majesty (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Dag Stokke)
02. Hard to Say Goodbye (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)
03. Downhill Racer (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Morty Black)
04. As Far as the Eye Can See (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)
05. 10,000 Lovers (In One) (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Diesel Dahl)
06. Guitar Solo (Ronni Le Tekrø)
07. Indian Summer (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)
08. Lionheart (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Del James)
09. Seven Seas (TNT)
10. Mother Warned Me (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Del James)
11. Everyone's a Star (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)

■Personnel
Morty Black – bass
John Macaluso – drums
Ronni Le Tekrø – guitars
Tony Harnell – vocals

Dag Stokke – keyboards 

THREE NIGHTS IN TOKYO
TNT
イーストウエスト・ジャパン
1992-12-21

   

Realized Fantasies / TNT (1992)

0107Realized Fantasies
1992年にリリースされたノルウェーのHR/HMバンドTNTの5枚目のアルバム。1990年代初頭のグランジ・オルタナ・ブームに際して、多くのHR/HMが時流に乗り遅れまいとダーク&ヘヴィな方向に舵を切る中、TNTは何故かこのアルバムでLAメタル的な音にシフトしています。既にLAメタルも旧時代の遺物扱いされる時期なのに、どういう戦略なのか全く理解しがたい。もっとも次作Firefly (1997)でTNTも結局グランジ化するわけですが、1997年と言えばグランジ・オルタナ・ブームもとりあえず落ち着きを見せているわけで、このバンドどこかワン・テンポずれている感が否めません。

ジャケットの趣味は最悪だし、プロデューサーはホイットニー・ヒューストンやマライア・キャリーを手がけて実績はあるものの畑違いのリック・ウェイクだし、そんでもってなんで今更LAメタルなのか。謎は深まる一方ですが、筆者は世間で言われるほどこのアルバムを嫌いではありません。確かにメロディの質がモロにアメリカ指向になり、トニー・ハーネルもややガナリ気味に歌唱法を変えたことで、北欧HR/HM特有の水晶のごとく透明で美しいTell No TalesIntuition のイメージは大きく損なわれ、「汚れちまった悲しみ」を感じます。ニューヨークでのレコーディングのせいなのか、サウンドもやけにドライになりました。でも、 Firefly 以降別のバンドみたいになってしまった変化に比べたら、このバンドならではのメロディの輝きはまだまだ十分残っているし、とりわけラストの"Indian Summer"には過去の名曲に比肩しうる叙情性と美しさがあります。一般の悪評だけでこのアルバムを聴かないとしたら、それはすごくもったいないよな~。

ラインナップは、ロニー・ル・テクロ(gt)、トニー・ハーネル(vo)、モーティ・ブラック(ba)は前作と同じ。ドラムは前作に引き続きのメンバー・チェンジで、ケネス・オディーンからアメリカ人ドラマーのジョン・マカルーソに交代しています。サポート・ミュージシャンにまたジョー・リン・ターナーがクレジットされていますが、どの曲で歌っているのか今回も不明です。キーボードのダグ・ストッケは、この後レコーディングとライブの両方でTNTと行動を共にする準メンバー的な存在ですが、昨年(2011年)亡くなっています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Downhill Racer (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Morty Black)
02. Hard to Say Goodbye (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)
03. Mother Warned Me (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Del James)
04. Lionheart (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Del James)
05. Rain (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)
06. Purple Mountain's Majesty (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Dag Stokke)
07. Rock n' Roll Away (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Del James)
08. Easy Street (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Borge Pedersen, Del James, Bobby Icon)
09. All You Need (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Morty Black)
10. Indian Summer (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)

■Personnel
Morty Black – bass
John Macaluso – drums
Ronni Le Tekrø – all guitars, additional keyboards, 1/4 stepper guitar
Tony Harnell – lead and harmony vocals

Dag Stokke – keyboards
Rich Tancredi – keyboards
T.J. Kopetic – keyboards
Peter Wood – piano on "Easy Street"
Kyf Brewer – harp on "All You Need"
Joe Lynn Turner – background vocals

Producer - Ric Wake
 
Realized Fantasies
TNT
Music on CD
2019-11-01

 

Intuition / TNT (1989)

0080Intuition
IntuitionはノルウェーのHR/HMグループTNTの4thアルバム。TNTの代表作であると同時にメロディアス・ハードロックの名盤中の名盤として、リスナーの間では評価の定着している作品でしょう。リリースから四半世紀近く経過した現在の耳で聴いても、バンドのパフォーマンスはもちろん、サウンド・プロダクション(ビョルン・ネーショ)の面でも全く古さを感じさせない最高水準の仕上がりだと思います。ロニー・ル・テクロのギターの「変態度」とトニー・ハーネルのボーカルのエモーショナル度も最高潮に達しています。特にタイトル曲"Intuition"と"Tonight I'm Falling"は、楽曲・アレンジ・演奏・歌唱・プロダクションが精緻にかみ合い、奇跡的なほどの透明感とリリシズムが横溢しています。この2曲については、メロディアス・ハードロックの金字塔、不朽の名曲、どんなに賞賛の言葉を並べても追いつかない素晴らしさだと筆者も思っています。ただし、収録されている全ての曲が名曲かというとそれは疑問に感じるし、曲順ももっと工夫の余地があるのではないかと思ってしまうので、1枚のアルバムの評価としては前作Tell No Talesのほうに筆者は軍配を上げます。

アルバムは荘厳な#1"A Nation Free (Intro)"で幕を開け、続く#2"Caught Between the Tigers"はちょっと変わった雰囲気のミドル・テンポの曲。ロニーの奇妙キテレツなギター・ソロが印象的です。#3"Tonight I'm Falling"は冒頭に書いたようにこのアルバムのハイライトの一つとなっているハード・ポップ曲。気恥ずかしくなるほどロマンチックな歌詞とメロディが、いつ聴いても心を高揚させてくれます。ほんとに、ほんとにいい曲です。#4"End of the Line"は美しく切ないバラード。トニーの瑞々しい歌唱、ロニーのベック的突発性を想起させるギターが素晴らしいの一言です。#5はいよいよタイトル曲"Intuition"、ハード・ポップの名曲中の名曲。これほど心を揺さぶるメロディ、歌唱、演奏に出会えたことを音楽の神様に感謝したくなります。まさにパーフェクト!#6"Forever Shine On"はドラマチックでハードな佳曲。他のバンドでは中々こういう曲が見当たらない、非常に個性的な曲です。#7"Learn to Love"は再びロマンチックなハード・ポップ。"Tonight I'm Falling"、"Intuition"に次ぐメロディ・ラインの素晴らしさだと思います。次は問題の#8"Ordinary Lover"。何故このようなおふざけ的な曲を入れる必要があったのか。なぜ大して歌の上手くないロニーが歌っているのか。箸休め的な曲を挟むにしても、もっと他にやりようはあったのではないでしょうか。結果的にアルバムの完成度と品格を損なう、非常に残念な選曲だったと筆者は思ってしまいます。そんなこを考えてじくじくしていると、#9"Take Me Down (Fallen Angel)"は再びキャッチーなハード・ポップ。美しいボーカル・メロディと、対照的なヘンテコリンなギター・ソロ。これですよ、これ。この線でアルバム全体をまとめてほしかったな。最後は#10"Wisdom"。ドラマチックではあるけれど、やや陰鬱で心からは楽しめない曲でした。他にラストを飾る曲はなかったのかな。。。なんだか残念でなりません。

最後にレコーディング・ラインナップについて。ロニー・ル・テクロ(gt)、トニー・ハーネル(vo)、モーティ・ブラック(ba)は前作と同じですが、ドラムはディーゼル・ダールからケネス・オディーンにチェンジしています。キーボードのKjetil Bjerkestrandはシェティル・ビェルケストランと読むようです。ノルウェーでは結構有名なピアノ&オルガン奏者、作曲家らしく、ロック、ジャズから映画音楽、クラシックまで幅広く活躍しています。また、バッキング・ボーカルにジョー・リン・ターナーがクレジットされていますが、筆者にはどこで彼が歌っているのかはっきり聴き取れませんでした。。。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. A Nation Free (Intro)
02. Caught Between the Tigers
03. Tonight I'm Falling
04. End of the Line
05. Intuition
06. Forever Shine On
07. Learn to Love
08. Ordinary Lover
09. Take Me Down (Fallen Angel)
10. Wisdom
All songs written by Tony Harnell & Ronni Le Tekrø except 6 by Tony Harnell, Ronni Le Tekrø & Morty Black

■Personnel
Morty Black – bass, pedal synthesizer
Kenneth Odiin – drums, percussion
Ronni Le Tekrø – all guitars, 1/4 stepper guitar, lead vocals on "Ordinary Lover"
Tony Harnell – lead & background vocals

Kjetil Bjerkestrand – keyboards
Joe Lynn Turner – background vocals

Producer - Bjørn Nessjø

インテュイション
TNT
USMジャパン
2012-01-18

 

Tell No Tales / TNT (1987)

0073Tell No Tales
ノルウェーのHR/HMグループTNTの3rdアルバムTell No Tales。これは名盤以外の何物でもありません。続く4thIntuitionもまた名盤の呼び声が高く筆者も異論はありませんが、あちらは超名曲が入っている代わりに「?」な曲もまたあり、アルバムのトータルとしては、全曲名曲のTell No Talesのほうが好みです。いずれにしても、この3rdと4thがTNTの絶頂期の双璧をなす作品であることは衆目の一致するところとなっているようです。チャート的にはノルウェー本国で1位、アメリカで100位と、Intuitionをしのいで彼らのアルバムの中ではもっとも上位を記録しています。レコーディング・メンバーは前作Knights of the New Thunderと変わらず、トニー・ハーネル(vo)、ロニー・ル・テクロ(gt)、モーティ・ブラック(ba)、ディーゼル・ダール(ds)、プロデュースも1st、2ndに引き続きビョルン・ネーショ(Bjørn Nessjø 発音が正しいか不明)となっています。

同じメロハーと言っても、前作がヘヴィ・メタル色が強く、またいまだに垢抜けなかったのに比べ、本作はすっきりとしたハードポップ的な曲調がメインとなっています。サウンドを反映してジャケットもポップ。みんなどこかの王子様のようです。前作のアレとはえらい違いです。それはともかく、このアルバムは全編とにかく美しい。メロディも、トニー・ハーネルのハイトーン・ボーカルも、ロニー・ル・テクロのテクニカルなギター・ソロも、全てがうっとりするほど美しいのです。そしてビョルン・ネーショのサウンド・プロダクションも(Intuitionには及ばないものの)良好で、このアルバムを北欧クリスタル・サウンドを代表する1枚たらしめるのに大きく貢献しています。

ハードなリフとキャッチーなメロディの#1"Everyone's a Star"でツカミはOK、続く#2"10,000 Lovers"はノルウェーのシングル・チャート2位となったロマンチックなポップ・ソング。#3"As Far as the Eye Can See"は歌メロもギターソロも完璧なまでに美しいスピード・チューン。ここまで一気に息をつかせぬ展開の後、驚異的なロニー・ル・テクロのギター・インストゥルメンタルの小品#4"Sapphire"を挟んで、クラシカルなメロディが美し過ぎる至高のスロー・バラード#5"Child's Play"で一息つきます。再びアコギによるインストゥルメンタル曲#6"Smooth Syncopation"に続き、爽やかなハード・ポップ#7"Listen to Your Heart"。ここでのロニーのキテレツなギター・ソロも聴き所です。#8"Desperate Night"はややヘヴィなミドル・テンポの哀愁系ナンバー。#9"Northern Lights"はタイトル通り冷涼なノルウェーの空気感を漂わせる美しいバラード。クライマックスへの緊張感を掻き立てるインスト#10"Incipits"に続いて、ラストを飾る#11"Tell No Tales"は意表をつく完璧なまでにヘヴィ・メタリックな疾走曲。トータル・タイムは30分そこそこと短いのですが、曲の配置も完璧で、ダレずに至福の時間を過ごせるアルバムに仕上がっています。 

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Everyone's a Star (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
02. 10,000 Lovers (In One) (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Morten "Diesel" Dahl)
03. As Far as the Eye Can See (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
04. Sapphire (Ronni Le Tekrø)
05. Child's Play (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
06. Smooth Syncopation (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
07. Listen to Your Heart (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
08. Desperate Night (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
09. Northern Lights (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Bjørn Nessjø)
10. Incipits (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
11. Tell No Tales (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Morten "Diesel" Dahl)

■Personnel
Tony Harnell – vocals
Ronni Le Tekrø – guitars, guitar synthesizer
Morty Black – bass guitar, pedal synthesizer
Morten "Diesel" Dahl – drums, percussion

Håkon Iversen – background vocals
Bård Svendsen – keyboards and programming
Bjørn Nessjø – keyboards and programming
Carlos Waadeland – keyboards and programming

Producer - Bjørn Nessjø

Tell No Tales
TNT
Rock Candy
2022-02-25


 

Knights of the New Thunder / TNT (1984)

0054Knights of the New Thunder

ノルウェーのHR/HMグループTNTの2ndアルバム。あまりと言えばあまりなジャケットなので、少し大きめでアップしてみました。音のほうはジャケと打って変わって素晴らしい出来栄えです。このアルバムからボーカルがアメリカ人のトニー・ハーネルに交代し、前作のドロっとしたB級メタル然としたサウンドから、ぐっと透明感のあるサウンドにチェンジしました。このアルバムも依然としてどこかイモ臭い印象は拭いきれない音ですが、同じバンドとは思えないほどのグレードアップぶりです。しかしそれにしても、このアルバムをリリースした1984年時点で、ロニー・ル・テクロもトニー・ハーネルもまだ21歳前後なわけで、サウンドに若々しさが漲ってるのがとてもいいです。

ライナーノートでは、前任者ダグ・インガーブリッツェンのレコーディング途中での解雇とトニー・ハーネル加入のいきさつ、ノルウェー国内に限られた活動からワールドワイドな活動(実質的にはアメリカ市場を意識したもの)へのステップアップについて書かれています。詳細は省略しますが、MSGを脱退したばかりのゲイリー・バーデンが新ボーカリストに決まりかけたところに、トニー・ハーネルのデモ・テープが届き、迷った末にバンドはトニーを選択したということのようです。その後の彼らのサウンドを考えると、透明感・清涼感に満ちたハイトーン・ボイスを持ち、音程も完璧なトニーを選んだことは、全く正しい選択だったと言えると思います。#8"U.S.A"とボーナス・トラックの#11"Eddie"は前作に収録されていた曲を再レコーディングしたもの。"U.S.A"のダサさはトニーが歌ってもあまり変わりませんが、"Eddie"は断然いい曲に聴こえます。おもしろいもんです。

ベースも交代しモーティ・ブラックが新たに参加しています。この後長年にわたってドラムのディーゼル・ダールと共にTNTのボトムを支えていくことになります。メンバー以外では、キーボードとバック・ボーカルでボード・スヴェンセン(Bård Svendsen)が参加しています。次作Tell No Talesの録音にも加わっているノルウェーのセッション・ミュージシャンです。プロデュースは前作に引き続きビョルン・ネーショ(Bjørn Nessjø 発音が正しいか不明)が担当しています。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Seven Seas (TNT)
02. Ready to Leave (Ronni Le Tekrø)
03. Klassisk Romance (Ronni Le Tekrø)
04. Last Summer's Evil (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, TNT)
05. Without Your Love (Tony Harnell, Dag Ingebrigtsen, Ronni Le Tekrø)
06. Tor with the Hammer (Dag Ingebrigtsen, Tony Harnell)
07. Break the Ice (Morten "Diesel" Dahl, Tony Harnell, Dag Ingebrigtsen)
08. U.S.A. (Gustav Alfheim, Tony Harnell, Dag Ingebrigtsen, Ronni Le Tekrø)
09. Deadly Metal (Gustav Alfheim, Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)
10. Knights of the Thunder (Morten "Diesel" Dahl, Tony Harnell, TNT)
11. Eddie [Bonus] (Gustav Alfheim, Dag Ingebrigtsen)

■Personnel
Tony Hansen (Tony Harnell) – Lead & Harmony Vocals
Ronni Le Tekrø – All Guitars
Morty Black – Bass & Synthesizer
Diesel Scan-Dahl (Morten "Diesel" Dahl) – Drums & Percussion

Bård Svendsen – Keyboards & Harmony Vocals

Producer - Bjørn Nessjø


KNIGHTS OF THE NEW THUNDER
TNT
Music On CD
2016-09-09

 

TNT / TNT (1982)

0020TNT

ノルウェーのハードロック・バンドTNTの1st。TNTというとT.ハーネル加入後の3枚目のTell No Talesや4枚目のIntuitionが有名ですが、透明感とリリシズムに満ちた「あの音」はここにはありません。ドタバタした耳障りなB級メタル全開。このアルバムでのTNTは、IntuitionのTNTとは別のバンドととらえたほうがよいと思います。ボーカルはDag Ingebrigtsenという人ですが、音程も怪しく、妙にささやいたり突然叫んだりして、なんというか、お手上げです。曲もほとんどこの人が書いてい て、メロディアスでないどころか、えー、、、お手上げです。おまけに、歌詞がノルウェー語で耳に馴染みがないせいか、いっそう聴きづらい印象を持ってしま うのです。

さんざん貶してしまいましたが、ロニー・ル・テクロのギターだけはこの1stでも既にその変幻自在ぶりをチラリと覗かせていますので、全く聴く価値のない アルバムとは言えないとは思います。ドラムのディーゼル・ダールは、この1stからTNTのオリジナル・メンバーで、一時的にバンドを離れる時期はありま すが、TNTのドラマーと言えばやはりこの人でしょう。プロデュースはビョルン・ネーショ(Bjørn Nessjø 発音が正しいか不明)、同じノルウェーのStage Dollsなども手がけている人です。TNTは4作目のIntuitionまでこの人をプロデューサーとしてアルバムを制作することになります。

評価 ★☆☆☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Harley-Davidson (Dag Ingebrigtsen, Gustav Alfheim)
02. U.S.A. (Dag Ingebrigtsen, Ronni Le Tekrø, Gustav Alfheim)
03. Bakgårdsrotter (Dag Ingebrigtsen, Gustav Alfheim)
04. Etyde i fuzz-mål (Ronni Le Tekrø)
05. Eddie (Dag Ingebrigtsen, Gustav Alfheim)
06. Showet er i gang (Dag Ingebrigtsen, Gustav Alfheim)
07. Pirrende Irene (Dag Ingebrigtsen, Gustav Alfheim)
08. Mafia (Dag Ingebrigtsen, Ronni Le Tekrø, Gustav Alfheim)
09. Eventyr (Dag Ingebrigtsen, Gustav Alfheim)
10. Varmt & Hardt (Dag Ingebrigtsen, Gustav Alfheim)

■Personnel
Dag Ingebrigtsen – lead vocals and rhythm guitars
Ronni Le Tekrø – lead guitars
Steinar Eikum – bass guitar
Morten "Diesel" Dahl – drums, percussion

Producer - Bjørn Nessjø

TNT
TNT
Music on CD
2021-05-28

 
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