メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

Pete Sandberg

Silver Seraph / Silver Seraph (2001)

0490Silver Seraph









Alien、Midnight Sunなど数多くのメロハー系バンドでボーカリストを勤めてきたピート・サンドべリと、Majesticなどネオクラ、プログレ・メタル系のバンドを率いてきたキーボーディストのリチャード・アンダーソンがタッグを組んだプロジェクトSilver Seraphの唯一作です。他のメンバーは、Majesticにも参加していたピーター・ウィルドアー(Ds)、Pete Sandberg's JADEのメンバーだったヨルゲン・バーチ・イェンセン(G)、ピート・サンドべリのソロ2作目 Push に参加していたイェンス・ルンダール(B)という面々です。

アルバムの内容は、Deep Purple、Rainbow、Uriah Heepといったバンドを髣髴とさせる伝統的なオルガン入りハードロック。いわゆる「様式美」ってやつです。こういう音は好みなのですが、本作に関してはいささか否定的な感想を持ってしまいました。新人バンドならともかく、ピート・サンドべリとリチャード・アンダーソンという、実績と実力を兼ね備えたミュージシャンが今さらこれなのか?アラビア風の音階で「バビロぉ~ン」とか、マイケル・シェンカーの"Into the Arena"の焼き直しのようなインストとか。最悪なのは、リフもリズムも露骨にZEPの「移民の歌」で、歌詞まで"We come from the land of the ice and snow"の"We"を"I"に変えただけの曲。他にも聴いたことのあるようなフレーズやメロディばかり。くどいようですが、ピート・サンドべリともあろう人が、なんで今さらこんな手垢の付いたような曲を集めてアルバム制作しなくてはならないのか?歌唱や演奏のクォリティは申し分ないのに、心底がっかりしてしまいました。

評価 ★★☆☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作 
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Aftermath
02. 7th Day of Babylon
03. Cry From Hell
04. Desperate Heart
05. Shadowland
06. Shadow
07. Nosferatu
08. In the Dark
09. Black Rain
10. Loving You
[Bonus Track]
11. Constant Reminder

■Personnel
Pete Sandberg - Vocals
Richard Andersson - Keyboards
Peter Wildoer - Drums
Jens Lundahl - Bass
Birch (Jörgen Birch-Jensen) - Guitars

Magnus Sedenberg - Lead Guitar
Jens Friis Hansen - Harmony Vocals
Anders Waldemarsson - Bass
M. Sahlström - Guitar

Producer - Magnus Sedenberg
Executive-Producer - Per Gyllenbäck

シルヴァー・サーペント
シルヴァー・セラフ
EMIミュージック・ジャパン
2001-12-19




Origin / Pete Sandberg's JADE (2001)

0385Origin









ピート・サンドべリ率いるスウェーデンのメロハー・バンドPete Sandberg's JADEの2枚目の作品。この名義ではラスト・アルバムとなります。バンド・メンバーは前作と同じ、またMidnight Sun人脈のヨナス・レインゴールド、ハイメ・サラザール、アンダース・テオ・ティアンデルがバック・アップしているのも同様です。楽曲ごとの細かなクレジットは無いので詳細は不明ですが、フレットレス・ベースを弾いているのはヨナス・レインゴールドかなと思います。バンド形態となっているものの、やはりピートのソロ・プロジェクトということでしょう。

内容はいつもながらのピート・サンドべリらしい低刺激のソフト・メロハー路線、耳なじみのよいメロディと甘く切ない歌唱が堪能できます。今回は彼の過去のキャリアの中で書いた曲が4曲含まれており、#1"Northern Light"はMadisonが1989年にリリースしたシングル曲、#2"Time"はVon Rosenが1987年にリリースしたシングルB面曲、#4"Love in Vain"はヨナス・レインゴールドとのユニットSand & Goldの未発表曲、#11"All in Disguise"はAlien時代の未発表曲です。その他にも、胸を締め付けられるようなバラード#8"Nights in Mexico"、ちょっと変わった味のギター・インスト#12"Moods"など、佳曲がぎっしり。まさに安定の高品質で、メロディアス・ロック愛好家なら文句無しの出来栄えです。ただし、ふざけているのか何なのか中途半端な曲がまたまた入っています。ラストの#13"Me and My Piano"は、咳払いなんかが入っている曲未満のセッションで、こういうのはやめてもらいたいなぁ。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作 
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Northern Light (P. Sandberg, A. Karlsson, Müllinen, P. Fredriksson, C. Sundqvist)
02. Time (P. Sandberg, J. Jidhed, M. Olausson)
03. No Way Out (P. Sandberg, J. Birch)
04. Love in Vain (P. Sandberg, J. Reingold)
05. Power of Gold (P. Sandberg)
06. Where There Is a Will (P. Sandberg)
07. Time and Again (P. Sandberg)
08. Nights in Mexico (P. Sandberg)
09. Can't Stop Lovin' You (P. Sandberg, J. Reingold)
10. Alone (P. Sandberg)
11. All in Disguise (P. Sandberg)
12. Moods (Instrumental) (J. Birch)
13. Me and My Piano (Acoustic Jam) [Bonus Track] (P. Sandberg)

■Personnel
Pete Sandberg - Vocals
Jörgen Birch-Jensen - Guitars
Johan Helgesson - Drums
Joakim Sandin - Bass

Jonas Reingold - Bass, Backing Vocals
Jaime Salazar - Drums
Robert Uhlmann - Keyboards
Anders ”Theo” Theander - Percussion

Producer - Anders ”Theo” Theander

オリジン
ピート・サンドベリズ・ジェイド
マーキー・インコーポレイティド
2001-02-21

 

Pete Sandberg's JADE / Pete Sandberg's JADE (1999)

0315Pete Sandberg's JADE









当時まだMidnight Sunに在籍していたピート・サンドべリが、Pete Sandberg's JADEというバンド名義で発表したアルバム。Bai BangのメンバーらがやっていたJADEというバンドにそのまま乗っかったということらしいのですが、全曲ピート・サンドべリの楽曲だし、彼の趣味・嗜好が色濃く反映しているので実質ソロ3作目でしょう。ハードロックから、AORバラード、レトロ・ポップス、アーシーでブルージーなものまで、幅広い持ち味の楽曲が詰め込まれているのは1stソロ作Back in Businessと同様の趣向です。なんでこれがバンド名義で出されたのか良く分かりません。前作のPushのほうがサウンドに統一感があって、よっぽどバンド・サウンド然としています。レコーディングにはヨナス・レインゴールド、ハイメ・サラザールが加わり、プロデュースもアンダース・テオ・ティアンデルと、Midnight Sun関係者が大挙参加しています。逆にJADEのメンバーがどの程度関わっているのか気になるところです。しかし、考えてみるとこの1999年はMidnight SunのNemesis、2ndソロPush、そしてこのアルバムと3枚立て続けにリリースしてるんですよね。ピート・サンドべリ、すごいパワフルです。

前述のように、楽曲のバリエーションが豊富過ぎてまとまりが無くなりかねないところを、違和感無く聴かせてしまうのがピート・サンドべリの実力。大したものだと思います。筆者のお気に入りは、甘く切なくどこかレトロな#8"Distant Love"。こういうのを歌ってピッタリ来るのはピート・サンドべリと、あとはミカエル・アーランドソンかな。ボーナストラックのインスト曲#12"Illuision"はちっとも面白くないので無くても良かった。この人絡みのアルバムは、時間の埋め草的なつまらない曲が1曲か2曲あるのが難点です。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作 
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Badlands (P. Sandberg)
02. Restless Child (P. Sandberg)
03. Cry for You (P. Sandberg)
04. Stranger (P. Sandberg)
05. Going Down (P. Sandberg)
06. Venedigen Blind (P. Sandberg)
07. Little Bit of Lovin' (P. Sandberg, J. Svensson)
08. Distant Love (P. Sandberg)
09. House of Love (P. Sandberg)
10. Sweet, Sweet (P. Sandberg)
11. Past the Mountains (P. Sandberg)
12. Illuision (Birch, P. Sandberg) [Bonus Track] 

■Personnel
Pete Sandberg - Vocals
Birch - Guitars
Johan Helgesson - Drums
Joakim Sandin - Bass

J. Salazar - Drums
J. Reingold - Bass, Backing Vocals
A. Theander - Percussion
R. Uhlmann - Keyboard
T. Pettersson - Hammond
I. Ohlén - Backing Vocals

Producer - Anders ”Theo” Theander

Jade
Pete Sandberg
Point

 

Push / Pete Sandberg (1999)

0250Push









このブログでまとめたピート・サンドべリのディスコグラフィを見ても分かるように、2000年をはさむ前後2~3年にこの人は様々なバンドやプロジェクトで結構な数のアルバムを発表しています。そんなピート・サンドべリの音楽活動の絶頂期に出された、彼の2枚目のソロ・アルバムが今回ご紹介するPush 。本作リリース時点ではまだMidnight Sunに在籍していたようです。

さてこのアルバム、彼のキャリアの中では異色の音となっており、モダン・ヘヴィネスの影響だとか、グランジ化したとかの評価を目にすることもあります。実際そうなのかもしれませんが、筆者には特にグランジっぽく聴こえません。むしろリズムが跳ねている点ではTalismanを思い起こさせるし、一番似てると思ったのは日本のPink Cloud(Johnny, Louis & Char)です。ギターとベースがユニゾンでグリグリ迫ってくるところなんかそっくりですし、テンション・コードの入れ方やアーミングのセンス、空間系エフェクターの使い方とか、なんとなくチャーに似てるんです、これがまた。とにかくカッコいいアルバムなので騙されたと思って聴いてみてください。ただラストの2曲、チェロとフレットレス・ベース(ヨナス・レインゴールド)によるインストと、中近東っぽい独唱曲はいらなかったなぁ。意味分かりません。

バックのプレイヤーは、ギターにスヴェン・サーンスキ(Bad Habit etc)、ドラムにハイメ・サラザール(Bad Habit etc)、ベースにイェンス・ルンダール。スヴェン・サーンスキはSnake Charmerで、ハイメ・サラザールはMidnight Sunで、それぞれピートと組んでいました。また、サーンスキ、サラザール、ルンダールの3人はかつてBlakk Totemというバンドのメンバーだった間柄。サーンスキのソロ・プロジェクトTruthでも同じメンツが揃っています。制作はBad Habitを手がけてきたビョルン・ダールベリ。ピートの1stソロ作Back in Business ではエンジニアを務めていた人です。共同制作者にはサーンスキとBad Habitの僚友ハル・ジョンストンが名を連ね、ハル・ジョンストンは本作の曲作りにも一部関与しています。また、収録全14曲中6曲がサーンスキの単独作、4曲がピートとの共作で、アレンジもほぼサーンスキの仕事。さらにブックレットでのサーンスキの扱いが別格となっており、本作での彼の存在は非常に大きいものがあります。これらを考え合わせると、ピート・サンドベリのソロ名義ではあるものの、実態としてはBad Habit側がバックアップしたサーンスキ&サンドべリのプロジェクト作品と言えるかもしれません。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作 
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Machine (S. Cirnski)
02. Save Our Souls (S. Cirnski)
03. Strong Out (P. Sandberg, S. Cirnski)
04. Believe (S. Cirnski)
05. Love Hurts (B. Bryant)
06. Enough Is Enough (P. Sandberg, S. Cirnski)
07. Taking Your Time (S. Cirnski)
08. Crying (P. Sandberg, S. Cirnski)
09. Self Control (S. Cirnski)
10. Respect (S. Cirnski)
11. Captured by Heart (P. Sandberg, S. Cirnski)
12. Dirty Dog (P. Sandberg, H. Johnston)
13. Push (P. Sandberg)
14. Love  (P. Sandberg) [Bonus Track]

■Personnel
Pete Sandberg - Vocals

Sven Cirnski - Guitars
Jaime Salazar - Drums
Jens Lundahl - Bass

Additional players
Jonas Reingold - Fretless bass
Sara Heurlin - Backing Vocals
Tommy Falk - Hammond
Berit Hessing - Cello

Producer - Björn Dahlberg
Co-producer - Sven Cirnski, Hal Johnston

プッシュ
ピート・サンドベリ
ビクターエンタテインメント
2000-02-23

Back in Business / Pete Sandberg (1997)

0019Back in Business

ノルウェー生まれのスウェーデン育ち、ヴォン・ローゼン、マディソン、エイリアン、スネイク・チャーマー、ビワープ、ミッドナイト・サン、ピート・サンドベリズ・ジェイド、シルヴァー・セラフ、オパス・アトランティカと、数々の北欧HR/HMグループ、プロジェクトを渡り歩いてきたピート・サンドベリ。そのキャリアで初のソロ・アルバムのご紹介です。リリースは1997年、ちょうどミッドナイト・サンの1stが出たのと同時期です。その経歴から、日本人がステレオタイプに想像する北欧メタルを期待して聴くと肩透かしを食ってしまうような、ポップかつソウルフル、そしてマイルドなAOR寄りのサウンドに仕上がっています。ラスト・オータムズ・ドリームのM.アーランドソンをぐっとソウルフルにしたような、少しハスキーで甘く切ない歌声が極上です。この人の歌の上手さは定評がありますが、ほんとにどんなタイプの曲を歌わせても実に味わい深いですね。しかし、考えてみると、黒人音楽が歴史的土壌に根付いているわけでもない北欧の地に生まれ育った歌手が、ここまでソウルフルに歌えるのは驚くべきことだと思います。筆者はソウルやファンク・ミュージックも大好きなので、このアルバムはど真ん中にハマりました。全曲素晴らしいのですが、中でも特にお気に入りなのは、都会的でおしゃれな"Little Lover"、これぞメロハー×ファンクの"Big Bad Rap"、"Unchain Your Heart"、FMのナンバーを原曲以上にソウルフルに熱唱するバラード"Closer To Heaven"あたりです。

レコーディングに参加しているのは北欧メロハー/AOR界のセッション・ミュージシャンたちで、プロデュースも担当しているFredrik Bergengren、Johan Stentorp、Carl Colt、Thomas NybergはTime Galleryというバンドの元メンバー。というかJohan StentorpはThe Trampolinesのほうが有名なのかな?キーボードのTommy FalkはBad Habitのアルバムにも参加しているプレイヤーです。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. When The Night Comes (Pete Sandberg, Pontus Borg, Erik Olin)
02. Little Lover (Pete Sandberg, Jana Svensson)
03. Stay A While (Pete Sandberg, Jana Svensson)
04. Pretty Angel (Pete Sandberg)
05. Big Bad Rap (Pete Sandberg, Pontus Borg, Erik Olin)
06. Babe (Pete Sandberg)
07. River Of Tears (Pete Sandberg, Jana Svensson)
08. A December Monday (Fredrik Bergengren)
09. Cold Hearted Woman (Pete Sandberg)
10. Scared (Pete Sandberg)
11. Unchain Your Heart (Pete Sandberg, Pontus Borg, Erik Olin)
12. Closer To Heaven (Merv Goldsworthy, Pete Jupp, Steve Overland, Andy Barnett)
13. Need Your Lovin´ (Pete Sandberg, Pontus Borg, Erik Olin)

■Personnel
Pete Sandberg - Vocals
Patrik Alm - Bass, Backing Vocals
Fredrik Bergengren - Guitars
Stanley Hawk - Guitars
Carl Colt - Drums, Percussions
Tommy Falk - Keyboards, Organ
Johan Stentorp - Keyboards
Thomas Nyberg - Backing Vocals
Jonas Sandquist - Backing Vocals
Johan Dahlstrom - Backing Vocals

Producer - Fredrik Bergengren
 
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1997-09-10
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