メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

Praying Mantis

Live at Last / Praying Mantis & Paul Di’Anno and Denis Stratton (1990)

0007Live at Last

NWOBHM10周年にあたって伊藤政則氏などが企画し、プレイング・マンティスのティノ・トロイとクリス・トロイ、元アイアン・メイデンノのポール・ディアノとデニス・ストラットン、そして元ウェポンのブルース・ビスランドというラインナップで実現した日本でのコンサートのライブ。1990年4月18日中野サンプラザでの録音です。プレイング・マンティスのレパートリーから6曲、アイアン・メイデンのレパートリーから6曲、そしてデニス・ストラットンがメイデン脱退後に結成したライオンハートの曲が2曲収録されています。マンティスとメイデンは作風は対照的ですが、NWOBHMの立役者となったDJニール・ケイのバックアップで一緒にツアーをしたり、メンバー間の交流もあったようで、NWOBHM初期を代表するバンドだったと思います。そういう意味で、当時を知るファンにとってこのライブは感慨深いのは間違いないのですが、残念ながらその内容は絶賛できる水準ではありません。マンティス組もメイデン組も、元々抜きん出た演奏力があったわけではないので、演奏自体はまあ許容範囲内ですが、ポール・ディアノも含めて全員の歌唱があまりに情けない。特にディアノが歌うマンティスの曲はひどすぎます。高音部が全然歌えていないし、変なビブラートが気持ち悪くて、聴くのが苦痛になります。蛇足ですが、ライオンハートの曲はまったく面白味がなく論外です。

とは言うものの、このライブがきっかけとなって、ディアノ以外の4人でプレイング・マンティスが再結成されたのは事実です。今から考えれば、このライブがなかったとしたらトロイ兄弟は歴史に埋もれてしまっていたかも知れず、マンティスの音楽を愛する者にとっては実にありがたい出来事だったと思います。

評価 ★☆☆☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作

■Tracks
01. Panic in the Streets (S. Vermeulen, S. Carroll, T. Troy)
02. Dangerous Game (D. Stratton, R. Newton, S. Mann)
03. Children of the Earth (C. Troy, T. Troy)
04. Lovers to the Grave (C. Troy, T. Troy)
05. Flirting With Suicide (C. Troy, D. Potts, S. Carroll, T. Troy)
06. Hot Tonight (D. Stratton, K. Stewart, R. Newton, S. Mann)
07. Running for Tomorrow (C. Troy, D. Potts, S. Carroll, T. Troy)
08. Wrathchild (S. Harris)
09. Murders in the Rue Morgue (S. Harris)
10. Remember Tomorrow (S. Harris, P. Di’anno)
11. Phantom of the Opera (S. Harris)
12. Iron Maiden (S. Harris)
13. Cheated (S. Carroll, T. Troy)
14. Running Free (S. Harris, P. Di’anno)

■Personnel
Tino Troy - Guitar, Vocals on 1,4,5
Chris Troy - Bass, Vocals on 3
Dennis Stratton - Guitar, Vocals on 2
Bruce Bisland - Drums
Paul Di’anno - Lead Vocals on 6-14

Producer - Dennis Stratton, Tino Troy
Executive Producer - Masa Itoh, Tsuneyoshi Kamijo, Tom Sassa

Live at Last
Praying Mantis
Zoom Club
2002-03-09

Time Tells No Lies / Praying Mantis (1981)

0006Time Tells No Lies

NWOBHM勃興期にデビューしたプレイング・マンティス、その伝説の1stアルバム。筆者にとっては、LP発売当時から数え切れないほど聴き続けた思い出深いアルバムです。NWOBHMというと、アイアイ・メイデンに代表されるように荒々しいリフで押しまくるイメージがありますが、マンティスの音楽性はNWOBHMの中ではかなり異色です。叙情的な歌メロ、ツインリードギターの優美なハーモニーは、むしろウイッシュボーン・アッシュあたりのサウンドを彷彿とさせます。日本ではこういった叙情的なハードロックは一定の人気を集めるのですが、本国では苦戦したようで、やがて彼らはシーンから姿を消してしまいます。そしてなんと10年後に、日本でのコンサートをきっかけに再始動、中心メンバーのトロイ兄弟(ティノ・トロイ、クリス・トロイ)は現在でもプレイング・マンティスとしての活動を継続しています。

大好きなアルバムなので、欠点を書くのは忍びないのですが敢えて挙げれば、2曲目のキンクスのカバー"All Day and All of the Night"が邪魔なこと。出来損ないのヴァン・ヘイレンかと言いたくなるほど下品で、プレイング・マンティスの音楽の持つ美しさと生真面目さを傷つけ、このアルバムの統一感を壊てしまっているように感じます。それから、トロイ兄弟とギターのスティーヴ・ キャロルの3人のボーカルがどうしても力不足なこと。これは痛いです。復活後の3作目からは専任ボーカリストをメンバーに入れて、格段に歌唱が安定しています。また、最近バンドの30周年を記念して発表されたEPでは、嬉しいことにこの1stに収録された曲も含めて初期の作品を最新メンバーで録音しなおしています。
なお、このアルバムのプロデュースはティム・フリース-グリーン(Tim Friese-Greene)で、Touchの1stアルバムもプロデュースしています。

※筆者が聴いているのは1998年国内盤で、ボーナス・トラックとして1981年1月リリースのアナログ・シングル盤"Cheated"カップリング曲"Thirty Pieces of Silver"、"Flirting With Suicide [Live] "、"Panic in the Streets [Live]"の3曲入り。2012年にイギリスの再発レーベルRock Candyから、さらに1980年6月リリースのシングル曲"Praying Mantis"とB面"High Roller"を追加し、計5曲のボーナス・トラックを収録した最新リマスター盤が出ています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Cheated (S. Carroll, T. Troy)
02. All Day and All of the Night (Ray Davies)
03. Running for Tomorrow (C. Troy, D. Potts, S. Carroll, T. Troy)
04. Rich City Kids (C. Troy, T. Troy)
05. Lovers to the Grave (C. Troy, T. Troy)
06. Panic in the Streets (S. Vermeulen, S. Carroll, T. Troy)
07. Beads of Ebony (T. Troy)
08. Flirting With Suicide (C. Troy, D. Potts, S. Carroll, T. Troy)
09. Children of the Earth (C. Troy, T. Troy)
※Bonus Track
10. Thirty Pieces of Silver (C. Troy, D. Potts, T. Troy)
11. Flirting With Suicide [Live]    
12. Panic in the Streets [Live]

■Personnel
Tino Troy - guitars, vocals
Steve Carroll - guitars, vocals
Chris Troy - bass, vocals
Dave Potts - drums

Tim Friese-Greene - Piano

Producer - Tim Friese-Greene
Except Track 11, 12 Produced by Adam Sieff

Time Tells No Lies
Praying Mantis
Rock Candy
2012-02-20

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