メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

Y&T

Mean Streak / Y&T (1983)

0469Mean Streak









アメリカン・ハードロック・バンドY&Tの改名後3枚目のアルバム。いわゆる初期三部作の最後を飾る作品です。メンバーはYesterday and Today時代から変わっておらず、デイヴ・メニケッティ(Vo, G)、ジョーイ・アルヴィス(G)、フィル・ケネモア(B)、レオナード・ヘイズ(Ds)の4人です。プロデュースはゲイリー・ムーア、Thin Lizzy、Tygers of Pan Tangなど多くのHR/HM系アーティストを手がけてきたクリス・タンガリーディスが担当しています。

さてこのアルバム、Earthshaker、Black Tiger と比較するとややパワー・ダウンしてきた感は否めませんが、それでもこのバンド特有のスリリングで骨太なサウンド、泣きのメロディは健在です。特筆すべきはやはり#4"Midnight in Tokyo"の素晴らしさ!1982年の初来日公演後のバンドの感動と興奮をその場で曲にしたというのはファンには有名なエピソードです。ある意味、クサさ、ダサさの極みのような曲ですが、これほどに熱い魂を直球でぶつけられると、心を揺さぶられずにはいられません。バース部分がこのバンドには珍しくオシャレっぽいのもいい。Y&T屈指の名曲でしょう。その他の曲も概ね彼ららしいメロディとサウンドが堪能できる佳曲が揃っていると思います。惜しむらくはラストの"Down and Dirty"。これだけはタイトル通りダーティでバカっぽく、ちょっとLAメタルを思わせるような曲でアルバムの中で浮いています。これ以降の音楽性の変化を知っている身としては、バンドの路線修正を予感させる曲なわけですが。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Mean Streak
02. Straight Thru the Heart
03. Lonely Side of Town
04. Midnight in Tokyo
05. Breaking Away
06. Hang 'Em High
07. Take You to the Limit
08. Sentimental Fool
09. Down and Dirty
All songs written by Y&T

■Personnel
Joey Alves - Guitar, Vocals
Dave Meniketti - Lead Guitar, Lead Vocals
Phil Kennemore - Bass, Vocals
Leonard Haze - Drums, Percussion

Producer - Chris Tsangarides

MEAN STREAK
Y & T
ROCCA
2018-07-13


Black Tiger / Y&T (1982)

0414Black Tiger









サンフランシスコ出身のハードロック・バンドY&Tの4thアルバム。レコーディング・メンバーはYesterday and Today時代から変わっておらず、デイヴ・メニケッティ(Vo/G)、ジョーイ・アルヴィス(G)、フィル・ケネモア(B)、レオナード・ヘイズ(Ds)の4人です。Y&T初期三部作と言い習わされる名盤3枚の第二弾となる本作は、哀愁という表現では追いつかないクサイまでの泣きメロディ、スリルとドラマ性に拘ったアレンジ、骨太で突進力のあるサウンド、全ての要素が前作と同水準に達しています。特にデイヴ・メニケッティのギター・ソロは全曲が名演。Earthshakerを気に入った人ならこのBlack Tigerも聴きのがしてはいけません。

#1"From the Moon"
後で出てくる"Forever"のイントロを、ギター・オーケストレーション的手法でアルバム全体の序曲に仕立てた短いインスト曲。いやが上にも期待感が高まってきます。

#2"Open Fire"
本編1曲目はY&Tの魅力が全て詰まったスピード・チューン。疾走感にワクワクが止まりません。

#3"Don't Wanna Lose"
哀愁メロディが印象的なミドル・テンポのナンバーです。

#4"Hell or High Water"
横ノリのグルーヴがカッコいいナンバー。シンプルな曲ですがギター・ソロ部分で変化をつけています。

#5"Forever"
LPだとA面ラストの曲。歌メロといい、ギター・ソロといい、Y&Tお得意の「泣き」がMAXに達しています。本作のハイライトであると同時にY&Tを代表する名曲の一つでしょう。

#6"Black Tiger"
B面アタマはタイトル・トラック。スリリングでスピード感溢れる名曲です。

#7"Barroom Boogie"
なんとなく70年代のYesterday and Todayを思わせるラフなロックン・ロール・ナンバー。

#8"My Way or the Highway"
これも70年代っぽいハード・ブギー。ZZ TopとかFoghatみたいな感じかな。

#9"Winds of Change"
本編の最後を飾る哀愁バラード。前作のラストの曲"I Believe in You"に匹敵するような「泣き」の名曲です。

#10"Somebody for Me"
最近のリイッシュー盤に入れられるようになったボーナス・トラックです。曲はイマイチですが、やっぱりギターはカッコいい!
 
評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. From the Moon
02. Open Fire
03. Don't Wanna Lose
04. Hell or High Water
05. Forever
06. Black Tiger
07. Barroom Boogie
08. My Way or the Highway
09. Winds of Change
10. Somebody for Me [Bonus Track]
All songs written by Y&T

■Personnel
Joey Alves - Electric Guitar, Acoustic Guitar
Dave Meniketti - Lead Guitar, Lead Vocals
Phil Kennemore - Bass Guitar, Vocals
Leonard Haze - Drums, Percussion

Producer - Max Norman
BLACK TIGER
Y & T
ROCCA
2018-07-13

ブラック・タイガー +1(限定盤)
Y&T
Universal Music
2022-01-26

 

Earthshaker / Y&T (1981)

0368Earthshaker









アメリカン・ハードロック・バンドY&Tの3rdアルバム。Yesterday and TodayからY&Tに改名してから初のアルバムです。メンバーはYesterday and Today時代と変わらずデイヴ・メニケッティ(Vo/Gt)、ジョーイ・アルヴィス(Gt)、フィル・ケネモア(B)、レオナード・ヘイズ(Ds)の4人です。ここ数年で次々と亡くなり、生き残っているのはデイヴ・メニケッティだけとなり寂しい限りです。

さて、本作は前2作の良くも悪くもB級然とした音から、熱さと男臭さはそのままに曲のクォリティだけは飛躍的に向上しました。練りに練られたメロディと計算しつくされたアレンジ、全曲に配置された見せ場が心憎いばかりです。スピード・チューンは徹頭徹尾スリリングに、バラード~ミドル・チューンは泣きまくり。心を鷲づかみにされて、聴いているとじっとしていられなくなります。装飾やギミックの一切無いシンプルなサウンド・プロダクションも実に清々しい。古くからのハードロック・ファンの間では名作の誉れ高く、聴いたことがない人は少ないのではないでしょうか。筆者としても、Y&Tの最高傑作であると同時にハードロック史上に残る名盤だと思っています。

このアルバムは後半に行くに従って尻上がりに良くなるという特徴があります。特に#7~#9は息つく暇がなく、途中で止めることが出来ないほど。

#5"Rescue Me"
哀愁を帯びた歌メロ、叙情的なギター・ソロが素晴らしい名曲。本作のハイライトの一つで、バンドの代表曲にもなっています。

#7"Hurricane"
タイトル通り怒涛のリフからスタートする疾走曲。弾きまくりのギターが目茶苦茶カッコいい!それから、忘れてはならないのは腹にズシズシ来るドラムです。

#8"Let Me Go"
リリカルな歌メロ、泣きのギター、叩き込むドラム、Y&Tの3点セットが素晴らし過ぎるミドルテンポの曲。

#9"Knock You Out"
スリル満点の疾走曲。ハードロックにおける「ブレイク」のカッコよさの典型が聴けます。

#10"I Believe in You"
Y&T得意の泣きまくりバラード。熱さ、クサさ、クドさが最高潮に達して思わず悶絶、そして中々終らないエンディングで昇天必至!締めくくりにふさわしい名曲ですな。
 
評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Hungry for Rock (J. Alves, D. Meniketti, P. Kennemore, L. Haze, D. Sieff, R. Shulman)
02. Dirty Girl (D. Meniketti, P. Kennemore, J. Alves, L. Haze, D. Sieff, R. Shulman)
03. Shake It Loose (D. Meniketti, J. Alves, P. Kennemore, L. Haze, D. Sieff, R. Shulman)
04. Squeeze (D. Meniketti, P. Kennemore, L. Haze, J. Alves)
05. Rescue Me (P. Kennemore, J. Alves, D. Meniketti, L. Haze, D. Sieff, R. Shulman)
06. Young and Tough (D. Meniketti, P. Kennemore, J. Alves, L. Haze, D. Sieff, R. Shulman)
07. Hurricane (J. Alves, D. Meniketti, P. Kennemore, L. Haze)
08. Let Me Go (D. Meniketti, J. Alves, P. Kennemore, D. Sieff, R. Shulman, L. Haze)
09. Knock You Out (D. Meniketti, P. Kennemore, J. Alves, L. Haze)
10. I Believe in You (D. Meniketti, J. Alves, P. Kennemore, L. Haze)

■Personnel
Joey Alves - Electric Guitar, Acoustic Guitar, Vocals
Dave Meniketti - Lead Guitar, Lead Vocals
Phil Kennemore - Bass Guitar, Vocals (Lead Vocals on "Squeeze")
Leonard Haze - Drums

Producer – Robert Shulman, David Sieff, Y&T

EARTHSHAKER
Y & T
ROCCA
2018-07-13

 

Struck Down / Yesterday and Today (1978)

0340Struck Down









アメリカン・ハードロック・バンドYesterday and Todayの2ndアルバム。レコーディング・メンバーは1stと同じくデイヴ・メニケッティ(Vo/Gt)、ジョーイ・アルヴィス(Gt)、フィル・ケネモア(B)、レオナード・ヘイズ(Ds)の4人です。サウンドは基本的に前作と同様の、いい意味でラフで荒々しいもの。アメリカン・ハードとは言ってもチャラャラした感じや悪ふざけ的要素が全く無いところに好感が持てます。1曲目のタイトル・チューン"Struck Down"に典型的なように、MountainだとかMontrose、あるいはイギリスのFreeなども想起させるようなヘヴィさ(今風のヘヴィネスとは違う)が特徴ですね。前作と比べると、看板のデイヴ・メニケッティのギターの泣きの要素が強まり、より叙情的になってきた印象があります。それから、レオナード・ヘイズのドラムがとにかく重くてカッコいい!このバンドのサウンドをより強力なものにするのに大きく貢献していると感じます。ツーバスのように聴こえるけど実はワンバスでやっているというのがまた凄い。

Yesterday and Todayの1stと2ndアルバムは、洗練とは程遠く、また当時としてもやや古臭さいサウンドと受け止められたかも知れません。しかし、次作の名盤Earthshakerで一気にジャンプすることになるY&Tの、ホップとステップとしてぜひ聴いておきたい作品だと思います。
 
評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Struck Down (Lyrics : L. Haze  Music : D. Meniketti)
02. Pleasure in My Heart (Lyrics : L. Haze  Music : D. Meniketti)
03. Road (Lyrics : L. Haze  Music : D. Meniketti)
04. Nasty Sadie (Lyrics : L. Haze  Music : D. Meniketti, J. Alves)
05. Dreams of Egypt (Lyrics : L. Haze  Music : D. Meniketti)
06. Tried to Show You (Lyrics & Music : D. Meniketti)
07. I'm Lost (Lyrics : D. Meniketti  Music : D. Meniketti, L. Haze, P. Kennemore)
08. Stargazer ( Round & Round ) (Lyrics & Music : P. Kennemore)

■Personnel
Dave Meniketti - Guitar, Lead Vocals
Joey Alves - Guitar, Backing Vocals
Phil Kennemore - Bass, Backing Vocals
Leonard Haze - Drums, Percussion, Backing Vocals

Cherie Currie - Backing Vocals on #6
Galen Cook - Organ on #8
Robert Russ - Piano on #8

Producer – Jimmy Robinson, Yesterday and Today
Executive Producer – Albert Louis Bramy

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OneTwo: Yesterday and Today / Struck Down - Y&T
 

Yesterday and Today / Yesterday and Today (1976)

0284Yesterday and Today









サンフランシスコ出身のハードロック・バンドYesterday and Today(後のY&T)のデビュー盤。1976年リリースです。メンバーはデイヴ・メニケッティ(Vo/Gt)、ジョーイ・アルヴィス(Gt)、フィル・ケネモア(B)、レオナード・ヘイズ(Ds)の4人。70年代の初頭から名無しのまま活動を続けていたバンドでしたが、ビートルズのアルバム・タイトルを借用してYesterday and Todayと名乗るようになります。70年代に2枚のアルバムをリリース後、80年代にY&Tと改名(省略?)してからは日本でもよく知られるバンドとなりました。残念ながら、リーダーのデイヴ・メニケッティ以外のオリジナル・メンバーは全員故人となっています。

さて、Y&TとしてリリースしたEarthshaker(1981)以降は、それなりに洗練されて、メロディアスかつキャッチーな音に変貌を遂げますが、この段階ではドカドカうるさいB級バンドという印象。楽曲の完成度もY&Tと比べればかなり開きがあります。録音も一発録り。勢い任せだったり妙にマッタリしてみたり、ギター・ソロなんかもアドリブで尺も決めてなさそうで、良い意味でも悪い意味でもライブ感覚に溢れています。興味のない人が聴けば、古臭くて大したことない70年代ハードロックだと感じるでしょうね。しかし、筆者は大好きです!とにかく、「オレたちハードロックが好きで好きでたまらないぜ!」と、全ての音が語っているんです。リズム・セクションは若気の至り的に突っ走り、デイヴ・メニケッティのギターは一音一音が生々しい。万人にお薦めできるようなものではありませんが、「ハードロックが好きで好きでたまらない」方なら、このアルバムに込められたスピリットに共振してしまうこと請け合いです。
 
評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Animal Woman (D. Meniketti, J. Alves, P. Kennemore)
02. 25 Hours a Day (D. Meniketti, J. Alves, L. Haze)
03. Game Playing Woman (D. Meniketti, L. Haze, P. Kennemore)
04. Come on Over (D. Meniketti, J. Alves, L. Haze)
05. My Heart Plays Too (D. Meniketti)
06. Earthshaker (D. Meniketti, L. Haze)
07. Fast Ladies (Very Slow Gin) (D. Meniketti, L. Haze)
08. Alcohol  (D. Meniketti, L. Haze)
09. Beautiful Dreamer  (D. Meniketti, L. Haze)

■Personnel
Dave Meniketti - Lead Guitar, Lead Vocals, Backing Vocals
Joey Alves - Rhythm Guitar, Backing Vocals
Phil Kennemore - Bass, Lead Vocals, Backing Vocals
Leonard Haze - Drums, Percussion, Lead Vocals, Backing Vocals

Producer – Albert Louis Bramy
 
Yesterday & Today
Yesterday & Today
Mondo
1992-10-30

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