メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

AOR

L.A Reflection / AOR (2002)

0426L.A Reflection









フレデリック・スラマの主宰するプロジェクトAORの3rdアルバム。これまで通りウェストコーストAOR一直線の作品となっています。しかしまあ、スラマさんは本当にAORという音楽が大好きなんですね。流行に振り回されることもなく、商業的成功を求めて音楽性を変えたりすることもなく、自分好みの音楽を自分好みのミュージシャン達と作っていくという、ある意味アマチュア的な姿勢は清々しいとさえ感じます。せめてせっせと購入して応援したい気持ちになるのです。

アルバム3枚目ともなると、メロディや曲展開のパターンも大体分かってきて、新鮮味という点では期待はできません。作っているほうもマンネリなんていうことは承知の上だと思うし、スラマさんの書くメロディ自体好きなので問題無しですが、1st、2ndと同様やはりボーカルの弱さはなんとかしてもらいたいところです。ただ、メインのデヴィッド・チェンバリンという人は相変わらずダメですが、今回はヨラン・エドマンその他実力派が何曲か歌っているのが一歩前進です。また、トミー・デナンダーが全面的に関与しているようで(All Instrumentsとクレジットされています)、前2作よりサウンドがグッとハードになってRadioactiveに近い感じになっています。このプロジェクトのアルバムは、参加ミュージシャンがずらっとクレジットされているのものの、ボーカルを除いて曲ごとの担当はごく一部しか記されていません。また、既発曲のバージョン違いが収録されていることも多く、その辺がちょっと分かりづらい。どうも、既発曲の一部または全パートを再録音して収録するパターンと、再発の際に既発アルバム収録曲の同一トラックをボーナスとして収録するパターンがあるようです。というわけで、自分自身の覚書も兼ねていくつかの曲について書いておきます。なお、筆者の持っているのは2012年ドイツYesterrockからの再発盤です。

#3"Never Gonna Let Her Go"
1stL.A. Concessionの本編にジョン・フルカーの歌うバージョン、ボーナス・トラックにインスト・バージョン、2ndNext Stop: L.A.ボーナス・トラックにジョン・フルカー・バージョン再収録、そして本作ではリック・リソの歌うバージョン収録。このトラックには、"Middle & End Guitar Solos by Steve Lukather"、"Rhythm Guitars by Michael Landau"という表記があります。

#14"Never Gonna Let Her Go (Michael Landau Mix)"
こちらには詳細なクレジットがあって、マイケル・ランドウ(G)、デヴィッド・ディッグス(Key)、トム・サヴィアーノ(Sax)、フセイン・ジフリー(B)、ヴィニー・カリウタ(Ds)がプレイしていることが分かります。つまり#3との違いは、ギター・ソロをスティーヴ・ルカサーが弾いているかマイケル・ランドウが弾いているかということです。1stL.A. Concessionボーナス・トラックかつRadioactiveのTakenにも収録されているインスト・バージョンは、ベーストラックはこの#14と同一で、更にトミー・デナンダーのリード&リズム・ギターが入りボーカルをカットしたものということになります。

#7"Worlds Away"
ボーカルはマイケル・ラフ。1stL.A. Concessionにダグ・セント・ジョンの歌うバージョンが入っていましたが、本作のトラックは全て新規録音だと思います。

#8"Leave Her to Heaven"
ボーカルはヨラン・エドマン。1stL.A. Concession本編と2ndNext Stop: L.A.ボーナス・トラックのジョン・フルカー・バージョンとはインスト・パートも異なっていて新規録音に聴こえます。

#12"5492 (instrumental)"
ジェフ・ポーカロ(Ds)、マイケル・ポーカロ(B)、スティーヴ・ポーカロ(Key)、デヴィッド・ペイチ(P)、トミー・デナンダー(G)のクレジットがあるインスト・ナンバー。つまりルカサー抜きのTOTOでデナンダーがギターを弾いている状態。フレデリック・スラマはプレイにも作曲にも関わっていないので、なんで収録されているのか謎。ジェフ・ポーカロは1992年に死去しているので相当古い録音だと思われます。

#13"Secrets in Her Heart"
ボーカルはデヴィッド・チェンバリン。1stL.A. Concessionのボーナスと同一トラックです。本作でも何故かボーナス・トラック。

#15"Listen to Your Heart"
#16"Mary Ann"
ボーカルはマイケル・キスール。サウンド的にも音質的にもデモ録音以下のクォリティ。おそらくスラマさんがメモ代わりに一人で制作した音源に仮ボーカルを入れただけではないかと思います。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. If No One Cared (Lead Vocals : David Chamberlin)
02. Sensation (Lead Vocals : Göran Edman)
03. Never Gonna Let Her Go (Lead Vocals : Rick Riso)
04. So Young and Innocent (Lead Vocals : David Chamberlin)
05. A Quiet Storm (Lead Vocals : Chris Antblad)
06. How Will She Find Her Way Back? (Lead Vocals : David Chamberlin)
07. Worlds Away (Lead Vocals : Michael Ruff)
08. Leave Her to Heaven (Lead Vocals : Göran Edman)
09. Dream Them Away (Lead Vocals : David Chamberlin)
10. I Know You Too Well (Lead Vocals : David Chamberlin)
11. Far Away From the Storm (Lead Vocals : David Chamberlin)
12. 5492 (instrumental)
Bonus Tracks
13. Secrets in Her Heart (Lead Vocals : David Chamberlin)
14. Never Gonna Let Her Go (Michael Landau Mix)
15. Listen to Your Heart (Lead Vocals : Michael Kisur)
16. Mary Ann (Lead Vocals : Michael Kisur)
All songs by Frédéric Slama
except #12 by Tommy Denander, Jeff Porcaro, Mike Porcaro

■Personnel
Frédéric Slama - Guitars, Keyboards
Tommy Denander - All Instruments
Göran Edman - Lead Vocals
Michael Ruff - Lead Vocals
Rick Riso - Lead Vocals
Chris Antblad - Lead Vocals
Michael Kisur - Lead Vocals
David Chamberlin - Lead Vocals
Rachel Diggs - Backing Vocals
Tom Bailey - Backing Vocals
Kristoffer Lagerström - Backing Vocals
Steve Lukather - Guitars
Michael Landau - Guitars
Bruce Gaitsch - Guitars
James Harrah - Guitars
André Harold - Guitars
David Diggs - Keyboards
Steve Porcaro - Keyboards
David Paich - Keyboards
Tom Saviano - Saxophone
David Boruff - Saxophone
Mike Porcaro - Bass
Eddie Watkins Jr. - Bass
Hussain Jiffry - Bass
Vinnie Colaiuta - Drums
Ed Greene - Drums
Jeff Porcaro - Drums

Producer - Frédéric Slama

L.A. Reflection
AOR
Yesterrock
2012-11-05

 

Next Stop: L.A. / AOR (2001)

0365Next Stop LA









フランス人マルチ・ミュージシャン、フレデリック・スラマのプロジェクトAORの2ndアルバム。プロジェクト名が「AOR」で、アルバム・タイトルには必ず「L.A.」が入っていて、中身はウェストコーストAORという、AORオタクとしか言い様の無いスラマ氏。今回もブレずに全く同じ趣向でやっております。インナー・スリーヴには"recorded & mixed in los angeles california"なんて書いてあります。さて中身ですが、前作(1st)のレビューでは曲と演奏はいいけれどボーカルが弱いという感想を書きました。本作も全く同様です。というか、前作で一番ダメだったデヴィッド・チェンバリンという人が今回のメインになっているので、更に悪くなったという印象です。声は細いわ、音程は怪しいわ、なんでこの人起用したのかな。

この作品でもそうなのですが、このAORというプロジェクトのアルバムには同じタイトルの曲が度々収録されています。一部インストパートやボーカルを差し替えたり、ミックスを変えていたり、全く異なるバージョンだったりするみたいですが、面倒臭いので一々確認はしていません。インナー・スリーヴに「いくつかのトラックは80年代に録音した」という意味のことも記されているので、どうやら色々な年代に録音したトラックを加えたり削ったり、チマチマ編集しながら曲を仕立てていると思われます。楽曲やサウンドが古いとか新しいとかいうことは、全くスラマ氏の眼中に無いということですね。聴く方もそのつもりで聴かないといけません。それから、ミュージシャンのクレジットが2箇所に記されていて微妙に異なっていたり、トミー・デナンダーっぽいギターや、トニー・フランクリンっぽいベースが聴こえるのですが、クレジットにはなかったりします。クレジットもあまりあてにならないので参考程度と考えたほうが良さそうです。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks (All songs by Frédéric Slama)
01. You're My Obsession (Lead Vocals : David Chamberlin)
02. Just Like a Shadow (Lead Vocals : David Chamberlin)
03. Desperate Dreams (Lead Vocals : David Chamberlin)
04. Let Her Go (Lead Vocals : David Chamberlin)
05. It's Just Too Easy (Lead Vocals : Michael Kisur)
06. The Way You Love Me (Lead Vocals : David Chamberlin)
07. Teach Me How to Love You Again (Lead Vocals : Doug St John)
08. Can One of Your Kiss Do All This? (Lead Vocals : David Chamberlin)
09. On a Distant Path (Lead Vocals : Doug St John)
10. The Only Thing I Ask (Lead Vocals : David Chamberlin)
Bonus Tracks
11. Leave Her to Heaven (Lead Vocals : John Fluker)
12. Never Gonna Let Her Go (Lead Vocals : John Fluker)

■Personnel
Frédéric Slama - Lead & Rhythm Guitars, Keyboards
Doug St John - Lead & Background Vocals
Michael Kisur - Lead & Background Vocals
John Fluker - Lead & Background Vocals
David Chamberlin - Lead Vocals, Guitars, Keyboards
Peter Hume - Keyboards, Guitars, Bass, Drums

Michael Thompson - Additional Guitars (Leave Her to Heaven)
Jim Horn - Saxophone (It's Just Too Easy)
Carlos Vega - Drums Programming (Never Gonna Let Her Go)
Richard Page - Additional Background Vocals (Teach Me How to Love You Again)
Steve George - Additional Background Vocals (Teach Me How to Love You Again)

Producer - Frédéric Slama

アマゾン商品ページへのリンク
  Next Stop: L.A.

L.A. Concession / AOR (2000)

0280LA Concession









フレデリック・スラマの主宰するプロジェクト・バンドAORの第一作。フレデリック・スラマはフランス生まれでジャーナリスト出身という変り種、「フランスにウェストコーストAORを普及させる」ことを目的に、80年代からFM番組やクラブ・イヴェントを行ったりしてきたそうです。1992年にプロモ盤としてL.A Rendez Vousを制作、そして2000年いよいよ1stアルバムL.A. Concessionをリリース。当初はFS Recordsという彼自身のレーベルから、しかもCD-Rでのリリースでした。2006年になってドイツのメロディック・ロック・レーベルMTM Musicにより、リマスターの上ボーナス・トラック4曲を追加したプレスCDが発売され、一般にはこのリイッシュー盤が流通しています。

さて中身はというと、本場L.A.のミュージシャンを中心に豪華としか言いようのないメンツを揃え、曲といい演奏といい完全なるウェストコーストAORがぎっしり詰まったアルバムです。AORというジャンルの音楽を、AORという名のプロジェクトでやってしまうという、スラマ氏のAORオタクっぷりには全く舌を巻きます。参加プレイヤーは、トミー・デナンダー、スティーヴ・ルカサー、マイケル・ランドウ、ピーター・フリーステット、マイケル・トンプソン、トニー・フランクリン、ヴィニー・カリウタ、ジェフ・ポーカロ、カルロス・ヴェガ、グレッグ・ビソネット、レニー・カストロ、リチャード・ペイジ等々。まあ、AORやAOR寄りのメロハーが好きな方なら間違いなく気に入るアルバムだと思います。筆者ももちろん楽しめましたが難点もありました。まず、ボーカル陣が弱いこと。演奏はオールスター・キャストで、ボーカルが二軍レベルはないでしょう。AORはなんだかんだ言っても歌モノなわけで、いくらバックが良くても歌がイマイチでは陶酔できないのです。それからバラード多過ぎ、サビの繰り返しがクド過ぎでややゲンナリします。

ブックレットにはレコーディングに関するデータも、リード・ボーカル以外の曲ごとの参加ミュージシャンも記されていないので、録音年月日や録音場所などの詳細は不明です。ただ、1992年に亡くなったジェフ・ポーカロがクレジットされているということは、少なくとも一部のトラックは92年以前に録られたものと思われます。また、唯一細かいパーソネル表記のあるボーナス・トラック#16"Never Gonna Let Her Go (New Instrumental Version)"には、フレデリック・スラマ自身は参加していません。トミー・デナンダーのプロジェクトであるRadioactiveのTaken(2005)に同じトラックが収録されており、後に本作リイッシュー盤に再収録されたと推測できます。とすると、クレジットのあるスティーヴ・ルカサーやピーター・フリーステットはこの曲だけの参加なのかもしれません。もうちょっと細かいこと書いておいて欲しいです、スラマさん。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks (All songs by Frédéric Slama)
01. Never Gonna Let Her Go (Lead Vocals : John Fluker)
02. On Dangerous Ground (Lead Vocals : Doug St John)
03. Caught Inside Your Heart (Lead Vocals : David Chamberlin)
04. Worlds Away (Lead Vocals : Doug St John)
05. In My Crystal Ball (Lead Vocals : David Chamberlin)
06. The Way of the Night (Lead Vocals : Doug St John)
07. Leave Her to Heaven (Lead Vocals : John Fluker)
08. Only in My Dreams (Lead Vocals : David Chamberlin)
09. From L.A to Tokyo (Lead Vocals : David Chamberlin)
10. Lost in Your Eyes (Lead Vocals : David Chamberlin)
11. Don’t Let Her Go (Lead Vocals : Doug St John)
12. Love Has Found Its Way (Lead Vocals : Doug St John)
Bonus Tracks
13. Can One of Your Kiss Do All This? (Lead Vocals : David Chamberlin)
14. Secrets in Her Heart (Lead Vocals : David Chamberlin)
15. The Spark of My Soul (Lead Vocals : Kristoffer Lagerström)
16. Never Gonna Let Her Go (New Instrumental Version)
Tommy Denander :  Lead Guitars, Steve Lukather : Guitars (Middle & end solo), Michael Landau : Rhythm Guitar, Peter Friestedt : Guitar Fills, David Diggs : Keyboards, Hussain Jiffry : Bass, Vinnie Colaiuta : Drums, Tom Saviano : Saxophone

■Personnel
Frédéric Slama - Guitars, Keyboards
David Chamberlin - Lead Vocals, Guitars
Kristoffer Lagerström - Lead Vocals
Doug St John - Lead Vocals
John Fluker - Lead Vocals
Tommy Denander - Guitars, Keyboards
Peter Hume - Guitars, Keyboards
Steve Lukather - Guitars
Michael Landau - Guitars
Peter Friestedt - Guitars
Michael Thompson - Guitars
David Diggs - Keyboards
Tony Franklin - Bass
Hussain Jiffry - Bass
Vinnie Colaiuta - Drums
Jeff Porcaro - Drums
Carlos Vega - Drums
Gregg Bissonette - Drums
Lenny Castro - Percussion
Tom Saviano - Saxophone
Dan Higgins - Saxophone
Richard Page - Backing Vocals
Steve George - Backing Vocals

Producer - Frédéric Slama, Tommy Denander(#15), David Diggs(#16)

L.A. Concession
AOR
Mtm
2006-11-13

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