メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

White Wolf

It's About Time / Point of Power (1992)

0492It's About Time









White Wolf解散後にドン・ウルフ(ドン・ウィルク)が結成したPoint of Powerの唯一作です。メンバーのクレイグ・ブルックス(Ds)とスティーヴ・クレイン(G)は、よくドン・ウルフやケニー・ケイオス・ロニー関連作でプレイしているプレイヤー。ゲストのポール・レインはもちろんDanger Danger、The Defiantsのボーカリスト、ダグ・ジョンソンはLoverboyのキーボーディスト、ジョージ・クリストンはKick Axeのボーカリスト、一部のギターとプロデュースはKick Axeのアルバムもプロデュースしてきたレイ・ハーヴェイです。また、プレイには参加していませんがケニー・ケイオス・ロニーが曲作りに関わっています。といったように、カナダのミュージシャンが大挙馳せ参じた作品となっています。

White Wolfと比べるとメタル色はほとんど感じられず、アメリカン・ハードロック的なサウンドとなっており、その上スピードチューンやリズムがはねている曲が多く、やたら元気な印象です。曲はどれも良く出来ていますが、ファンキーなリフがかっこいい#3"Come See the Doctor"、#7"Love Takes Time"、スワンプ的な粘っこい味わいのある#4"Make Up Your Mind"、#9"Push and Shove"、メロディアスなスピード・チューン#5"Kick It Out"、#10"Take It to the Limit"、いかにもケニー・ケイオスの曲らしいドラマチックな#12"Safe and Warm"あたりは特にお薦めしたい曲です。そして、曲の良さもさることながら、なんと言ってもドン・ウルフがやはり素晴らしい!サウンドや曲調が変化しても、鼻詰り気味のおっさんっぽい声と朗々とした歌唱の魅力は変わることはありません。

結局このPoint of Powerは本作だけで解散。その後ドン・ウルフのキャリアは、ケニー・ケイオスとのProject Xやソロ活動を経てWhite Wolf再結成へ繋がっていきます。

 評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. The Hunky Dory Orgy (Brooks, Crane, Harvey, Oulster, Webster, Wilk)
02. Going Strong (Words : Brooks, Wilk / Music : Crane, Langen, Wilk)
03. Come See the Doctor (Words : Brooks, Langen, Wilk / Music : Brooks, Crane, Wilk)
04. Make Up Your Mind (Words : Brooks, Wilk / Music : Brooks, Crane, Reno, Wilk)
05. Kick It Out (Words : Brooks, Kaos, Wilk / Music : Brooks, Kaos, Webster, Langen, Wilk)
06. Lovin' You (Is All I Wanna Do) (Words : Brooks, Harvey, Wilk / Music : Brooks, Crane, Wilk)
07. Love Takes Time (Words : Brooks, Wilk / Music : Brooks, Crane, Wilk)
08. Deeper in the Hole (Words &Music : Brooks, Kaos, Wilk)
09. Push and Shove (Words : Brooks, Harvey, Wilk / Music : Brooks, Crane, Oulster, Webster, Wilk)
10. Take It to the Limit (Words : Brooks, Wilk / Music : Brooks, Crane, Langen, Wilk)
11. School of Hard Knocks (Words : Brooks, Harvey, Wilk / Music : Harvey)
12. Safe and Warm (Words &Music : Brooks, Kaos, Wilk)

■Personnel
Craig Brooks - Drums
Steve Crane - All Guitars, Background Vocals
Paul McEwan - Keyboards, Background Vocals
Peter Oulster - Bass, Background Vocals
Donnie K. Wilk - Vocals

Paul Laine - Extra Vocal on #11
Doug Johnson - Additional Keyboards on #4
George Criston - Harp Solo on #9
Ray Harvey - Extra Lead Guitar Solo on #9

Producer – Raymond Arthur Harvey

It's About Time
Point of Power
Imports
1996-04-18


Endangered Species / White Wolf (1986)

0358Endangered Species









カナダのメロディアス・ハードロック・バンドWhite Wolfの2ndアルバム。メンバーはボーカルのドン・ウルフ(ドン・ウィルク)以下前作と変わらず、カム・マクラウド(G)、リック・ネルソン(G)、レス・シュワルツ(B)、ロリス・ボルゾン(Ds)という布陣です。レコーディングはオランダで行なわれ、オランダの大御所バンドGolden Earringを手がけていたシェル・ シェルケンスがプロデューサーを務めています。音のほうは1stに比べてややメタル色が薄れて、よりメロディアスハード的なサウンド、曲調になりました。ただドン・ウルフのボーカル・スタイルはメタル風な大仰さが残っており、鼻にかかった声と相まって、昔の北欧メタルに通じるなんとも言えないイモくささがあり、それが大きな魅力となっています。カム・マクラウドのギターソロは、引っかかりながら下降・上昇するフレーズが、まんまリッチー・ブラックモア。やり過ぎ感はありますがそこがまたイイのです。

#1"Time Waits for No One"
少しメタルっぽいミドル・テンポのナンバー。鼻の赤い田舎の鍛冶屋が酒場で自慢の喉を披露しているような歌いっぷりが最高です。歌い終わってからいい気分で「アハハハッ」と笑うところがまた好ましい。

#2"Run for Your Life"
これもミドル・テンポのノリノリの曲。女性バックボーカルがいいですね。鍛冶屋の女房と娘が合いの手を入れて親父を囃す様が目に浮かぶようです。

#3"Ride the Storm"
ミドル・テンポで三連発。勇壮だけど哀愁を感じさせる歌いまわしは、メタルの名残を強く留めています。メロディアスで叙情的なギター・ソロも聴き所。

#4"Just Like an Arrow"
英国の老舗メロディック・ロック・バンドMagnumのカバー。キャッチーでポップ、それでいてそこはかとない哀愁が漂う名曲です。比較的原曲に忠実ですが、やはりドン・ウルフの個性は強く出ていますね。本家もWhite Wolfもシングル・カットしています。

#5"Cryin to the Wind"
出だしがUFOの"Doctor Doctor"かと思わせるバラード。ドン・ウルフの悲哀に満ちたドラマチックな歌唱も、慟哭するかのようなギターも絶品。クサ過ぎる?いや、だからいいのです。

#6."She"
これもシングル・カットされています。アップ・テンポでキビキビしたハードなナンバー。アーミングを駆使したギター・ソロが印象的。

#7"Holding Back"
「漢」と書いて「おとこ」と読む。そんなドン・ウルフが真骨頂を発揮したヘヴィなナンバー。拳を突き上げたくなりますな。

#8"One More Time"
濃すぎない哀愁メロディのヴァース、一緒に歌いたくなるコーラス、これぞWhite Wolfのメロディアスハードという感じ。

#9"All Alone"
1曲目と同傾向の硬質なミドル・ナンバー。哀愁のメロディラインと骨太な歌唱が絶品。

#10"Snake Charmer"
オリエンタル風の旋律がロニー在籍時のRainbowを思い起こさせます。そう言えばRainbowにも同名の曲がありましたが、あれよりはスローでヘヴィな曲調です。

White Wolfは本作を最後に一旦解散となります。他のバンドには無い絶妙な個性を持ったバンドだと思うのですが、結局あまり売れなかったということなのでしょうか。なお、現在本作は単独で売られているものの他に、復活後の所属レーベルEscapeからリリースされた1stとのカップリング盤もありますので、入手の際にはそれも選択肢の一つになるかと思います。

 評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Time Waits for No One (C. MacLeod - D. Wilk)
02. Run for Your Life (C. MacLeod - D. Riley)
03. Ride the Storm (C. MacLeod - D. Wilk)
04. Just Like an Arrow (T. Clarkin)
05. Cryin to the Wind (C. MacLeod - D. Wilk)
06. She (C. MacLeod - D. Lowe - D. Wilk - B. Steckel)
07. Holding Back (C. MacLeod - D. Lowe - D. Wilk - B. Steckel)
08. One More Time (C. MacLeod - D. Lowe - D. Wilk - B. Steckel)
09. All Alone (C. MacLeod - D. Wilk)
10. Snake Charmer (C. MacLeod - D. Wilk)

■Personnel
Loris Bolzon - Drums
Cam MacLeod - Lead Guitar, Lead & Background Vocals
Rick Nelson - Rhythm & Lead Guitar, Background Vocals
Les Schwartz - Bass Guitar
Don Wilk - Lead Vocals, Keyboards

Julia Loko - Back Up Vocals on #2
Lisa Schulte-Nordholt - Back Up Vocals on #2
Jody Piper - Back Up Vocals on #2

Producer – Shell Schellekens


Standing Alone / Endangered Species (Dig)
White Wolf
Escape Music UK
2007-09-25

 

Standing Alone / White Wolf (1984)

0271Standing Alone









カナダの叙情派HR/HMバンド、White Wolf(ホワイト・ウルフ)の1stアルバム。いまだにジャケットに描かれた生物は謎のままですが、中身の方はメロハー好きにとっては傑作という呼び声が高い一枚です。このバンドは80年代に2枚のアルバムを残しており、どちらもアメリカ的な乾いたイメージとは無縁で、その湿り気のあるサウンドはブリティッシュ・ハードに近いものがあります。今回取り上げる1stは、メロディ自体はキャッチーなんですが、大仰な歌唱スタイルや、硬質なリフ、全体に漂う「様式美」臭からして、かなりメタル寄りの印象。HR/HMを嫌うような人からはダサさの極みのように言われるのは間違いないでしょうが、音楽を「これはダサい」「これはイケてる」とかで判断してるような奴、流行を追って流され続けているような奴の言うことに耳を貸す必要はありません。この素晴らしさが分からないなんて可哀相ねと同情してあげましょう。収録時間は38分弱と短いですが、緊張感と叙情性に満ちた音楽世界を堪能できる名盤だと筆者は思います。

さてレコーディング・メンバーですが、ボーカルは後にドン・ウルフと名乗ることになるドン・ウィルク。鼻にかかったような声と、力みのある歌唱が田舎臭くて、好感度3割増しになりますね。ギターはカム・マクラウドで、リッチー・ブラックモア+マイケル・シェンカー÷2といったリード・ギターがたまらなくカッコいいです。この人のプレイが楽曲の叙情性を2割増しにしている感じです。この二人は2000年代に入ってWhite Wolfを再始動させることになります。他のメンバーは、リック・ネルソン(Gt)、レス・シュワルツ(B)、ロリス・ボルゾン(Ds)、プロデュースはダニー・ロウとジャック・リチャードソン。ダニー・ロウは451°やPrototypeというバンドのギタリストでもあり、その関係からかPrototypeのブラッド・ステックラー、ブライアン・アイランド、ダグ・ライリーが#4"What the War Will Bring"にバック・ボーカルで参加しています。もう一人のジャック・リチャードソンは2011年に他界していますが、カナダの著名なプロデューサーで、Guess Who、Moxy、Brighton Rockといったカナダのバンドをはじめ、世界中の数多くのアーティストの作品をプロデュースしてきた人です。

なお、本作は単独で売られているものの他に、復活後の所属レーベルであるEscapeからリリースされた2ndとのカップリング盤もありますので、それも選択肢の一つになるかと思います。

 評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Standing Alone (MacLeod/Wilk)
02. Headlines (MacLeod/Wilk)
03. Shadows in the Night (MacLeod/Wilk)
04. What the War Will Bring (MacLeod/Wilk)
05. Night Rider (Wilk)
06. Homeward Bound (MacLeod/Wilk)
07. Metal Thunder (MacLeod/Wilk)
08. Trust Me (MacLeod/Wilk)

■Personnel
Cam MacLeod - Lead Guitar, Vocals
Don Wilk - Lead Vocals, Keyboards
Rick Nelson - Guitar, Vocals
Les Schwartz - Bass
Loris Bolzon - Drums, Vocals

Brad Steckler - Backing Vocals on #4
Brian Island - Backing Vocals on #4
Doug Riley - Backing Vocals on #4
Danny Lowe - Guitar on  #4

Producer – Danny Lowe (#1, #4, #5, #6), Jack Richardson (#2, #3, #7, #8)

Standing Alone / Endangered Species (Dig)
White Wolf
Escape Music UK
2007-09-25

 
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