メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

Alien

Crash / Alien (1995)

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トニー・ボルグ(G)率いるスウェーデンのハードロック・バンドAlienの4thアルバムです。ラインナップはドラムがTalk of the Townのスタファン・シャリンに変わった以外は前作と変わっていません。さて、本作の内容はというと、1曲目の"Searching"、これにまず驚かされます。リフがRainbowの"Spotlight Kid"そっくりだし、ギターも梶山章顔負けのリッチー・ブラックモア憑依状態。2曲目"A Smooth Operator"も、いかにもリッチー好みのシャッフルで、中でも"Long Live Rock 'n' Roll"が一番似てるかな。いや、Deep PurpleやRainbowが好きなのは分かるし、リッチーの真似したくなるのも分かるけれど、ちょっとこれはやりすぎなんじゃないの?Alienはあの大傑作1stアルバムを生んだ実績あるバンドなわけで、今さら先輩バンドのあからさまな模倣に走らなくてもいいのでは?トリビュート盤出すとか、トニー・ボルグが自身のソロ作で洒落でやるとかなら分かるけれど。

3曲目以降はAlienらしいマイルドでメロディアスな曲が並んでいるので少し安心します。ただし、やはりギターは過去作に比べてリッチーの影響がよりストレートに出ていると感じました。地味だけれど味のある#3"Hold On"、1stアルバムの"Dying by the Golden Rule"を思わせる「小娘バック・ボーカル」がイイ感じの#4"Rolling Dice"、同じく1st路線の#6"Computerized Efficiency"などは佳曲だし、Van Halenの"Jump"みたいだけど明るく楽しい感じの#8"We Can Fly"、珍しく横ノリ#の9"Winning Touch"もいいですね。一方、ボーナス・トラックの#11"Back on My Feet "、#12"Got This Great Thing Coming"、#13"With Every Little Beat of My Heart "は、カッコいいけどどこかで聴いたことある感じです。まあ全体としては決して駄作とは言えませんが、褒めちぎることも出来ないアルバムでしょうね。Alienはこの後休眠(解散?)状態となり、次のオリジナル・アルバムの発表は10年後の2005年となってしまいます。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Searching (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
02. A Smooth Operator (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
03. Hold On (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
04. Rolling Dice (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
05. Looking for Love (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
06. Computerized Efficiency (Daniel Zangger Borch/Richard André)
07. Crash (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
08. We Can Fly (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
09. Winning Touch (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
10. Where There's A Will (Tony Borg/Conny Payne)
[Bonus Tracks]
11. Back on My Feet (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
12. Got This Great Thing Coming (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
13. With Every Little Beat of My Heart (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
14. Message for Japan

■Personnel
Tony Borg - Guitars
Daniel Zangger Borch - Lead Vocal
Conny Payne - Bass
Richard André - Keyboards
Staffan Scharin - Drums

Producer - Alien

クラッシュ
エイリアン
ゼロ・コーポレーション
1995-06-07

 

Alien / Alien (1993)

0377Alien









スウェーデンのメロディアス・ハードロック・バンドAlienの3rd、またもやセルフタイトル・アルバムです。ラインナップは一新されてオリジナル・メンバーはリーダーのトニー・ボルグ(Gt)だけになりました。ドラム、ベース、キーボードは前年(1992)にリリースされたトニー・ボルグのソロ作に参加していたミュージシャン達。ボーカルのDaniel Zangger Borch(ダニエル・ツァンガー・ボルク?)は、シンガーとしてより、スウェーデン王立音楽アカデミー等での音楽教育者、アーティストやアイドルの歌唱指導者としての実績と著名度があるそうです。

どうもこのアルバムは一般の評価が低いようですが、筆者としては大好きな一枚です。なんと言っても新ボーカルが好みのタイプなんです。Dreamtideのオラフ・ゼンクバイルやWhite Wolfのドン・ウルフなどと同様の、田舎のオヤジ然とした鼻にかかった声がなんとも魅力的。加えて、楽曲が微妙にヘンテコリンで耳に残るんです。トニー・ボルグのギターは相変わらずカッコいいし。超のつく名盤の1stアルバムと肩を並べるとまでは言いませんが、聴くほどに何故か好きになってしまう珍名盤もしくは名迷盤ではないかと思います。

01. Take Me to Heaven (T. Borg, D. Zangger Borch)
最初の曲がバラードで意表をつかれますが、穏やかなメロディと温か味のある歌唱、エモーショナルなギター・ソロが素晴らしい。普通にいい曲です。

02. Number One (T. Borg, D. Zangger Borch)
どこか土臭いメロディと歌唱が味わい深いミドル・テンポのソフトなナンバー。

03. A World Full of Dreams (T. Borg, D. Zangger Borch)
アップ・テンポのメロディアス・ハード。1stに入っていてもおかしくない名曲です。サビ前の「はい!はい!はい!」と、サビ中の「おーおーおーおー」という合いの手が野暮ったくて最高!

04. Standin' Alone (T. Borg, D. Zangger Borch)
ソウルフルな歌唱が魅力的なミドル・ナンバー。マイルドな曲調と対照的にギター・ソロはかなり尖っています。

05. Just a Man (T. Borg, D. Zangger Borch)
まるっきりソフト&メロウ。時代がかったキーボードが印象的です。歌がなければまるでフランシス・レイとかポール・モーリアあたりのイージー・リスニング音楽ですね。

06. My Love (T. Borg, D. Zangger Borch)
アップ・テンポでややハードな曲。中盤の「おーおーおーおーおー」からギター・ソロへの展開がドラマチックです。

07. A Little Ain't Enough (T. Borg, D. Zangger Borch)
ゆったりとしたスロー・ナンバー。聴き所はサビのヘンテコなメロディと合いの手コーラス、そしてリッチー・ブラックモア風に突き刺さってくるギターです。

08. Strong Like a Warrior (T. Borg, D. Zangger Borch)
勇ましいタイトルとは裏腹な美しいメロディが印象的。マンドリンかツィターかリュートだかよく分かりませんが古楽器のような音が聴こえます。あとサビのピアノ?チェンバロ?音もなんか古めかしい。ラストのギター・ソロで弾きまくっているうち、"Child in Time"のフレーズが出てきちゃうのは笑いました。

09. Song of a Renegade (T. Borg, D. Zangger Borch, C. Payne)
これは全然ハードロックではないです。スウェーデンのトラッド音楽というのは全く知らないのですが、強く土俗的な香りがします。古楽器のような音、古色を帯びたメロディが心地良いなぁ。

10. Lets Go Dancin' (T. Borg, D. Zangger Borch)
一転してハードなロックン・ロール・ナンバー。本作の中では異色な曲ですし、あまりバンドのカラーに合っていないような気がします。中盤のインスト・パートは明らかにDeep Purple風。

11. Open Your Eyes (T. Borg, D. Zangger Borch)
サビのメロディがMott the Hoople(作曲はデヴィッド・ボウィ)の"All the Young Dudes"邦題「すべての若き野郎ども」クリソツ。驚きです。あんな歴史的ロック・アンセムをパクってはいけません。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
Tony Borg - Guitar, Backing Vocal
Daniel Zangger Borch - Lead Vocal
Conny Payne - Bass, Backing Vocal
Richard André - Keyboards, Backing Vocal
Michael Wikman - Drums

Producer - Alien
Executive Producer - Örjan Englund
 

Shiftin' Gear / Alien (1990)

0292Shiftin' Gear









スウェーデンのメロディアス・ハードロック・バンドAlien(エイリアン)の2ndアルバム。1stと同じく大手のVirginからのリリースですが、メンバーはリーダーのトニー・ボルグ(Gt)と ピート・サンドべリ(Vo)の二人だけに減ってしまっています。トニー・ボルグがベースも兼任、足りないパートは助っ人ミュージシャンと打ち込みで間に合わせています。助っ人メンバーは、キーボードにベルント・アンダーソン、ドラムにイムレ・ダウン、プログラミングはプロデューサーのラース・ディドリクソン。ディドリクソンはSnowstorm、Don Patrolといったバンドのボーカリストでもありましたが、2017年の3月に亡くなっているようです。バック・ボーカルには、旧メンバーのジム・ジッドヘッド、加えて ヨラン・エドマンも参加しています。

本作は2013年にドイツのAOR Heavenによってリマスター・リイッシューされています。そのライナーを見ると、1stリリース後Virginレーベルからのツアーや新作制作へのプレッシャーに疲れてメンバーは次々離脱。トニー・ボルグはバンドを休止してソロ作品を作りたかったのに、レーベル側の強い要請でピート・サンドべリと二人だけで2ndのレコーディングを余儀なくされたらしいのです。そんな状態で制作された割には、楽曲の出来も良く聴き応えのあるアルバムとなっています。大名盤である1stに比肩するとまでは言えないものの、スロー~ミドル・テンポを主体としたマイルドな曲調、対照的にリッチー風にとんがったトニー・ボルグのギター、そしてピート・サンドべリの切なくエモーショナルな歌唱は、1stで焼き付けられたバンドのイメージを損なっていません。数々の名作を復刻しているAOR Heaven Classixシリーズのラインナップに取り上げられたのも納得です。なお、AOR Heaven盤にはデモ・バージョン4曲が追加収録されています。タイトルやアレンジが一部異なりますが3曲は本編収録曲、#13"Name of Love"のみ本編未収録で、なんで外されたのか分からないくらい良い曲です。

オリジナルの他にカバー曲が2曲入っていますので、最後に簡単に触れておきます。#9"Don't Turn Me Away"はサザン・ロック・バンドWet WillieのアルバムManorisms (1977)収録曲。オリジナルを歌っているのはこのところジェフ・ベックと行動を共にすることの多いジミー・ホールです。#11"Hello How Are You"はオーストラリアのバンドThe Easybeatsの1968年のヒット曲。作曲はThe Easybeatsのメンバーで後に作曲チームとなるハリー・ヴァンダ&ジョージ・ヤングで、ちなみにこのジョージさんは、AC/DCのヤング兄弟のお兄さんです。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Hold On Move On (Borg, Sandberg)
02. Give It Up (Borg, Sandberg)
03. Desperate Dreams (Borg, Sandberg)
04. Angel Eyes (Borg, Sandberg)
05. In the Dead of Night (Borg, Sandberg)
06. Intro - Midnight Jam
07. Turn on the Radio (Borg, Sandberg)
08. Strangers in a No-Man's-Land (Borg, Sandberg)
09. Don't Turn Me Away (Duke)
10. Neon Lights (Borg, Sandberg)
11. Hello How Are You (Vanda, Young)
12. Desperate Dreams (Studio Bonus Demo)
13. Name of Love (Studio Bonus Demo)
14. Dead of Night (Studio Bonus Demo)
15. Hold On (Studio Bonus Demo)

■Personnel
Tony Borg - All Guitars, Bass
Pete Sandberg - Lead Vocals

Berndt Andersson - Hammond, Keyboards, Melodica
Imre Daun - Drums
Göran Edman - Backing Vocals
Jim Jidhed - Backing Vocals
Lars "Dille" Diedriksson - Drums & Keyboards Programming

Producer - Tony Borg, Lars "Dille" Diedriksson
Executive Producer - Karl Onsbacke


 

Alien / Alien (1989)

0208Alien1989









Alien(エイリアン)のデビュー・アルバムのワールド・ワイド盤として1989年にリリースされたアルバム。USエディション、人面ジャケとか呼ばれているやつですね。。この時点でボーカルのジム・ジッドヘッドは既に脱退しており、新ボーカリストとして元Madisonのピート・サンドべリが加入しています。オリジナル盤から"Wings of Fire"、"Dying by the Golden Rule"、"Dreamer"、"Mirror"の4曲がカットされ、かわって新規に録音された2曲を収録。オリジナル盤収録曲もリミックスされて、よりすっきりした音となりました。ただ、オリジナル盤と違ってこのワールド・ワイド盤には細かなクレジットがあるのですが、"Jaimie Remember"、"Brave New Love"、"Touch My Fire"の3曲にはリミックス表記がありません。実際は表記ミスで全曲リミックスされているのか、それともリミックスは5曲のみで、音の印象が違うのはリマスターの効果なのか、そのあたりは不明です。なお、この人面ジャケにも赤盤と青(紫)盤が存在し、どうやら青盤の中身はオリジナル盤と同一で12曲入りらしいです。ややこしいですね。

ピート・サンドべリによって歌われている新曲のうち"The Air That I Breathe"は、70年代に活躍したアメリカのシンガー・ソングライター、アルバート・ハモンドの曲で、1974年にはThe Holliesにカヴァーされてヒットしています。その他にもオリビア・ニュートン・ジョンなど多くのアーティストが取り上げている曲。ゆったりした穏やかな曲調が、ピート・サンドべリの優しい歌唱にピッタリです。もう一つの"Now Love"はバンドのオリジナルで、明るめでちょっとレトロなハード・ポップ。2曲ともいい曲だし、ピート・サンドべリも大好きなボーカリストなんですが、やはりジム・ジッドヘッドが良すぎるため、どうしても印象が薄くなってしまいます。

オリジナル盤、ワールド・ワイド盤ともに中古CDにプレミア価格がついてしまい、しばらくの間入手困難でしたが、2013年に2枚をカップリングし、オリジナル盤にボーナス・トラックとして"Feel My Love"と"Touch My Fire"の別バージョンを追加したAlien -25th Anniversary Edition が発売され、2枚一度に手に入れることが比較的容易となりました。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Tears Don't Put Out the Fire (remix)
(Pam Barlow/Janet Minto)
02. Go Easy (remix)
(Brad Bailey/Patrick Regan/Pam Barlow/Janet Minto)
03. I've Been Waiting (remix)
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
04. Jaimie Remember
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
05. Feel My Love (remix)
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
06. Only One Woman (remix)
(Barry Gibb/Maurice Gigg/Robin Gibb)
07. Brave New Love
(Gary Cambra/Pam Barlow/Janet Minto)
08. The Air That I Breathe
(Albert Hammond/Mike Hazelwood)
09. Touch My Fire
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
10. Now Love
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pete Sandberg/Max Stone)

■Personnel
Tony Borg – guitars
Jimmy Wandroph - keyboards
Ken Sandin – bass
Toby Tarrach – drums
Jim Jidhed – vocals
Pete Sandberg – vocals

Producer - Chris Minto (1, 2, 3, 4, 5, 7, 9), Mark Dearnley (6), Tony Borg & Dille (8, 10) 

Alien
Virgin
1989-08-02






Alien / Alien (1988)

0207Alien1988









スウェーデンのメロハー・バンドAlien(エイリアン)の1988年にリリースされたデビュー・アルバム。時を経てもいまだに名盤の誉れ高い傑作中の傑作です。まず第一に楽曲が素晴らしい。どの曲にも極上のメロディが溢れています。収録された12曲全てが名曲なんていうアルバムはそうそう無いでしょうね。第二に、ジム・ジッドヘッドの優しく包み込むような声、味わいのある歌唱が絶品です。まさにメロハー世界の九蓮宝燈、これを聴かずにメロディアス・ハードロックは語れないってくらいの伝説的作品でしょう。難点はこもり気味の音質と、ダントツのダサさのジャケット。ですが、それらさえ「味」の一つと感じてしまいます。メンバーはボーカルのジム・ジッドヘッドの他に、トニー・ボルグ(Gt)、ケン・サンディン(Ba)、ジミー・ワンドロフ(Key)、トビー・タラック(Ds)の5人。

本作には外部ライターが全面的に起用されています。HR/HM系グループとしては異色ですが、結果としてそれが楽曲の充実につながっていると思います。特に、カヴァー曲"Only One Woman"以外の全ての曲に関わっている、L.Aのソング・ライティング・コンビ、パメラ・ムーア・バーロウとジャネット・モリソン・ミントの才能は素晴らしい。自分たち自身もソロ、あるいはFake I.D.というグループで活躍しており、2014年オリジナル・ラインナップでのAlienの新作Eternity でも再び曲作りに参加しています。なお、トリビア的になりますが、ジャネット・モリソン・ミントはヴァン・モリソンの元妻です。

このアルバムのリリースの翌年、ジャケットを変え一部の曲を差し替えたリミックス(USエディション)盤がワールドワイドで発売されます。氷山ジャケのオリジナル(スカンジナヴィア・エディション)盤、人面ジャケのリミックス盤ともに長らく中古市場で高値安定状態が続いていました。2013年に2枚をカップリングし、ボーナス・トラックとして"Feel My Love"と"Touch My Fire"の別バージョンを収録したAlien -25th Anniversary Edition が発売され、入手困難だったこの名作もやっと手に入りやすくなりました。 

■01. Brave New Love
(Gary Cambra/Pam Barlow/Janet Minto)
1988年のSF映画「The Blob」(「ブロブ/宇宙からの不明物体」)のサウンド・トラックに使われた曲。ゆったりしたテンポ、適度にハードなサウンド、ジム・ジッドヘッドのソウルフルなボーカルが心地よい、メロディアスなナンバー。
■02. Tears Don't Put Out the Fire
(Pam Barlow/Janet Minto)
1曲目よりさらにテンポを落としたAOR風の味わいのある曲。サビのメロディがとにかく素晴らしい。女性バック・コーラス、ふんわりしたキーボードがいい雰囲気です。
■03. Go Easy
(Brad Bailey/Patrick Regan/Pam Barlow/Janet Minto)
ややテンポの速い哀愁ハード・ポップ。名曲ぞろいの本作の中でも一、二を争う出来です。一度聴いたら忘れられないメロディ、情感のこもったボーカル、緩急あるギター・ソロ、計算され尽くしたコーラス・アンサンブル、全てに唸らざるを得ません。当時のPVを見ると、見事なオッサンと化した現在からは想像できないほどみんな若々しくてカッコいい!
■04. I've Been Waiting
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
再びミドル・テンポの哀愁メロハー。ここでも、艶やかなジム・ジッドヘッドのボーカルがメロディの良さをさらに引き立てています。トニー・ボルグのギターは、テクニカルでありながら歌心に溢れています。ラストでフェイド・アウトしていくフレーズも印象的。
■05. Jaime Remember
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
引き続きミドル・テンポのナンバー。ほんの少し「様式美」的要素の入った曲です。他の曲でもそうですが、自己主張は強くないものの、さりげなく漂う優しいキーボードの音がなんともいい感じです。
■06. Feel My Love
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
これも「The Blob」のサントラ曲です。本作の中では一番力強くハードな曲。歌メロ、ギター・ソロともにメロディアスで、哀愁と北欧的透明感が際立っています。
■07. Only One Woman
(Barry Gibb/Maurice Gigg/Robin Gibb)
穏やかで深みのあるジム・ジッドヘッドの声の力が遺憾なく発揮されたバラード。元々はイギリスのロック・デュオThe Marblesの1968年のヒット曲で作者はBee Gees。The Marblesにはグラハム・ボネットが在籍していて、1986年のAlcatrazzのアルバムDangerous Games でも再びレコーディングされています。Alienはこの曲をシングル・リリースしており、スウェーデンのチャートで1位を記録するヒットとなっています。
■08. Wings of Fire
(Brad Bailey/Patrick Regan/Pam Barlow/Janet Minto)
本作中では異色な明る目のハード・ポップ。ここでもキラキラ系キーボードと女性バック・コーラスが効果的に使われています。
■09. Dying by the Golden Rule
(Pam Barlow/Janet Minto)
ミドル・テンポの哀愁ハード・ポップ。サビのメロディがイキイキしていて、筆者の一番のお気に入りの曲です。投げやりっぽい女性バック・コーラスがおかしくて、何度聴いてもニヤニヤしてしまいます。
■10. Touch My Fire
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
地味目のヴァースとドラマチックなコーラスの対比が印象的な曲。トニー・ボルグのギターもよく歌っています。
■11. Dreamer
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
本作唯一のアップ・テンポでメタル要素の強い曲です。北欧メタルのイメージ通りの叙情的なメロディ展開、ドラマチックなギター・ソロが素晴らしい。
■12. Mirror
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
静謐なピアノをバックにジム・ジッドヘッドが歌い上げるバラード。アルバムのラストを飾るにふさわしい感動的なナンバーです。余韻に浸りつつもついつい、最初に戻ってまた聴きはじめることになってしまいます。。。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
Jim Jidhed – vocals
Tony Borg – guitars
Ken Sandin – bass
Jimmy Wandroph - keyboards
Toby Tarrach – drums

Producer - Chris Minto

Alien
Alien
No Remorse
2013-01-10






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