メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

Nuclear Valdez

In a Minute All Could Change / Nuclear Valdez (2001)

0405In A Minute All Could Change









アメリカのメロディック・ロック・バンドNuclear Valdez、10年ぶり3枚目のアルバムです。メンバーはフロイラン・ソサ(vo)、ホアン・ルイス・ディアス(b)、 ロバート・スレイド・ルモン(ds)の3人はこれまで通り、リード・ギタリストのみダン・チェラテッリという人に替わっています。4人編成は変わりないのにジャケット写真には何故か3人しか写っていません。メンバーがカリブ海諸国からの移民ということで、ラテン・ロックのフレーバーが濃厚なサウンドが特徴でしたが、本作ではラテン色はいくらか薄れました。ただし、このバンドの魅力である物悲しいメロディは健在で、むしろメロディはこれまでで一番良いかもしれません。以下お気に入りの曲をピックアップしてみます。

#2"Remember"
このアルバムの中では最もラテン色が強く、マイナー・キーの哀愁メロディが胸に迫ります。

#3"Still Won't Let You Go"
フロイラン・ソサの憂いを含んだ声質と歌い方のせいか、メジャー・キーでありながら寂しさ切なさを強く感じさせ、なんだか泣きたくなってしまうほど。本作で一番好きな曲です。

#4"Goodbye Mary"
アコースティカルでフォーク・ロック調の曲。何気ない曲ですがこれもまた物悲しい。

#6"Someone to Believe In"
そこはかとなくラテン・ロックの香りと哀愁が漂う曲。寂寞感や空虚さを感じさせるギターがピーター・グリーンのようです。

#12"Only Yesterday"
これもラテン風味が感じられる曲。日本の歌謡曲を思わせる分かりやすい哀愁メロディが印象的。

このアルバムの後に2017年になって新作が出ているのですが、何故かLPのみのリリースということで今のところ聴けていません。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Wonderland (Diaz, Sosa, LeMont, Barcala)
02. Remember (Diaz, Sosa)
03. Still Won't Let You Go (Diaz, Sosa, Ceratelli, LeMont)
04. Goodbye Mary (Diaz, Sosa)
05. Save Me (Diaz, Sosa, LeMont, Barcala)
06. Someone to Believe In (Sosa)
07. Stem of Tragedy (Diaz, Sosa, LeMont, Barcala)
08. Love Is Not Enough (Diaz, Sosa)
09. In a Minute All Could Change (Diaz, Sosa, LeMont, Barcala)
10. Walk Away (Diaz, Sosa, Ceratelli, LeMont)
11. Since You've Been Leaving Me (Diaz, Sosa, LeMont, Barcala)
12. Only Yesterday (Diaz, Sosa)
13. Remember (Spanish Version)
14. Goodbye Mary (Spanish Version)
15. Save Me (Spanish Version)
16. Stem of Tragedy (Spanish Version)

■Personnel
Fro Sosa - Lead & Background Vocals, Guitars, Keyboards
Juan Diaz - Bass
Robert Slade LeMont - Drums, Percussion
Dan Ceratelli - Lead Guitars

Diane Ward - Background Vocals
Cheryl Victor - Background Vocals
Rachelle Coba - Background Vocals
Nicole Henry - Background Vocals

Producer - Fro Sosa

In a Minute All Could Change
Nuclear Valdez
One Way Records Inc
2002-08-13

 

Dream Another Dream / Nuclear Valdez (1991)

0314Dream Another Dream









キューバ、ドミニカからの移民によるバンドNuclear Valdezの2ndアルバムです。メンバーは前作と変わらずフロイラン・ソサ(vo)、ホアン・ルイス・ディアス(ba)、 ロバート・スレイド・ルモン(ds)、ホルヘ・バルカラ(gt)の4人。プロデューサーはイギリスのベテラン、スティーヴ・ブラウンに交代しています。プロデューサーの指示なのか、バンドの意向なのか分かりませんが、1stに比べるとラテン色が強まりました。カリビアン・ミュージックやフォルクローレのエッセンスまで含んでいるので、ラテン色というよりもっと広くエスノ、ワールド・ミュージック的傾向が強まったと言った方がいいかもしれません。結果として、角が取れてなんだかちょっとオシャレな音楽になっています。オーガニック・カフェのBGMで流れていそうな。うーん、悪くはないんですよ、これも。#2"(Share A Little) Shelter"なんかは「カリブのU2」って感じでカッコいいし。しかし、1stアルバムにあったロック本来の生々しさ、荒々しさはすっかり影を潜めてしまいました。"Summer"があまりにも強烈だったので、あれに比べれば印象が弱くなるのは致し方ない訳だけど。音楽に何を求めるかは人それぞれですが、切々とした歌声に心を揺さぶられたり、チョーキング一発で鳥肌が立ったり、筆者はそういうのが好きなので、やっぱりこの2ndよりは1stを推したいですね。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. The Will
02. (Share a Little) Shelter
03. I Think I Fell
04. Dream Another Dream
05. Aragón
06. Dance Where the Bullets Fly
07. Eve '91
08. Without Words
09. Sense Her All Around
10. Oba Lube
All songs written by Nuclear Valdez

■Personnel
Froilan Sosa -Vocals, Acoustic Guitars
Jorge Barcala - Electric Guitars, Charango
Juan Diaz - Bass Guitars
Robert Slade LeMont - Drums

Lester Mendez - Keyboards, Strings Arrangements
Tony Concepcion - Horn Solo on #4
Rafael Padilla - Percussion
Elin Michaels - Background Vocals
Jon Secada - Background Vocals
Valerie Tyson - Background Vocals
Jeff Ross - Background Vocals
Tina Payne - Spoken Dialogue on #4

Producer - Steve Brown
Executive Producer - Dan Rubin, Michael Caplan

Dream Another Dream
Nuclear Valdez
Sony
1992-01-21

 

I Am I / Nuclear Valdez (1989)

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キューバ、ドミニカからの移民で結成されたというマイアミのロックバンド、ニュークリア・バルデスの1stアルバム。メンバーは、フロイラン・ソサ(vo)、ホアン・ルイス・ディアス(ba)、 ロバート・スレイド・ルモン(ds)、ホルヘ・バルカラ(gt)の4人。ヒスパニック系移民ということで想像がつくように、やはりラテン・ロックの範疇に入る音です。といっても、サンタナやトライブ・オブ・ジプシーズのような、パーカッションがバシバシ入った濃厚なそれとは趣を異にして、割とオーソドックスなロックをやってます。そして上記2バンドと大きく違うのは、荒削りでアマチュアっぽさすら感じさせる点。移民の若者たちが楽器を手にして、自分たちの日常や内なる思いを歌った、そんな素朴さを漂わせています。だからなおのこと聴き手の心に音楽がストレートに入ってきて、感情を揺さぶるのです。もちろん、プロデューサーは百戦錬磨の超大物リチャード・ゴッテラーとトム・パヌンツィオなわけで、バンドの素朴さシロウトっぽさに着目してそれを際立たせ、プリミティヴな情動に訴えかける念の入った仕事をしているはずです。

1989年当時、#1"Summer"がシングル・カットされて結構ヒットしたらしいのですが、筆者の記憶にはありません。この曲に顕著なように、フロイラン・ソサのボーカルは決して上手いとは言えないと思いますが、歌声になんとも言えない物悲しい情感が込められている。その声でやるせないメロディを歌われると、胸が締め付けられるようです。また、ホルヘ・バルカラのギター、これがまた素晴らしい。パキパキしたトーン、深いリバーブ、すすり泣くようなフレーズが堪りません。"Summer"一発で完全にやられてしまいました。ラテン風味が強い#2"Hope"、ちょっとU2っぽい#3"Trace the Thunder"、悲しみに満ちた必殺のバラード#4"If I Knew Then"等々、どの曲もエモーショナルで強い印象を残すものばかりです。ハードロックの文脈では語れないバンドですが、本作に関しては哀愁メロハー・ファンならいけるアルバムだと思います。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Summer
02. Hope
03. Trace the Thunder
04. If I Knew Then
05. Unsung Hero (Song for Lenny Bruce)
06. Strength
07. Eve
08. Apache
09. Run Through the Fields
10. Where Do We Go From Here
11. Rising Sun [bonus track]
All songs written by Nuclear Valdez
except "Apache", "Rising Sun", "Strength" written by Froilan Sosa

■Personnel
Froilan Sosa -Lead vocals, Electric & Acoustic guitars
Juan Diaz - Bass guitar, Vocals
Jorge Barcala - Lead & Rhythm guitars
Robert Slade LeMont - Drums, Vocals

Producer - Richard Gottehrer, Thom Panunzio
Executive Producer - Dan Rubin, Michael Caplan

I Am I
Nuclear Valdez
Sony
1989-10-10

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