ビョルン・ローディンを中心とするスウェーデンのハードロック・バンドBaltimooreの6年ぶりの5thアルバム。3rdと4thで共演したニコロ・コツェフと袂を分かち、前身バンドSix Feet Underのギタリストで、Baltimooreの1stにも参加していたトーマス・ラーションが復帰しています。3rdと4thではニコロ・コツェフの影響で古典的な「様式美」的ハードロックをビシッとキメていましたが、タガが緩んだように本作はまた何でもあり状態に戻っちゃってますね~。それはそれとして、今回特筆すべきは、トーマス・ラーションのギターのカッコよさ。ニコロ・コツェフ同様リッチー的でもあり、一方ジェフ・ベック的なところもあって非常に魅力的です。ギターの音色が生々しいのも好みです。この人って前からこんなに上手かったっけ?もちろん、主役のビョルン・ローディンのボーカルも、ロバート・プラントを塩辛くしたような独特の味があって相変わらず達者だし、キーボードのラーズ・ポラックもオルガンにピアノに大活躍で、聴き応えのあるプレイを聴かせてくれています。
以下、特に印象に残った曲をピックアップしてみます。
#1"Conviction"
オープニングは、3rd、4thに近い「様式美」的スピード・チューン。トーマス・ラーションのソロが無茶苦茶カッコいいです。
#2"Indecision"
グルーヴィなリズムとちょっと不思議なメロディが印象的なミドルテンポのナンバー。ここでもまたトーマス・ラーションのギターがいい味を出しています。
#4"Contradiction"
ヴァイオリンの入ったトラッド風の曲です。全くハードロックではありませんが、いかにもヨーロッパ的な雰囲気が魅力的。
#5"Recognition"
ブルージーで、かつ少しばかりジャズっぽいナンバー。うねるオルガン、鋭角的なギターが強く印象に残ります。
#7"Superman"
なんと、まるっきりジャズです。ジャズ風ではなくて、サックス入りの4ビート・ジャズ!渋過ぎ!バックのミュージシャンもジャズ畑のプレイヤーのようです。
#8"Omniscience"
グルーヴィでヘヴィなハードロック。押し寄せてくるようなサウンドにワクワクしてしまいます。
#9"Jealousy"
これまたカッコいい!第2期ジェフ・ベック・グループみたいな音です。
全体として、よく言えばバラエティに富んだ、悪く言ってしまえば散漫な作風です。しかし、元々このBaltimooreはビョルン・ローディンのワンマン・バンドないしはソロ・プロジェクト的色彩が強く、彼がやりたい放題やっているのが自然かもしれません。
評価 ★★★★☆
★★★★★ 傑作
★★★★☆ 秀作
★★★☆☆ 佳作
★★☆☆☆ 凡作
★☆☆☆☆ 駄作評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。
■Tracks
01. Conviction
02. Indecision
03. Emancipation
04. Contradiction
05. Recognition
06. Retribution
07. Superman
08. Omniscience
09. Jealousy
10. Redemption
All songs written by Björn Lodin
Wards co-written by Allan Sjöholm (2, 3, 6, 7, 8, 10)
■Personnel
All songs written by Björn Lodin
Wards co-written by Allan Sjöholm (2, 3, 6, 7, 8, 10)
■Personnel
Björn Lodin - Vocals, Guitar (1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 10), Bass (3, 9)
Thomas Larsson - Lead Guitar (1, 2, 3, 5, 6, 8, 9, 10)
Kurt Lindbom - Lead Guitar (4, 7)
Joakim Larsson - Bass (1, 5, 6, 8)
Weine Johansson - Bass (2, 4, 10)
Kjell Dahl - Bass (7)
Jair-Rhome Parker - Bass Intro (9)
Lars Pollack - Keyboards
Eiron Johansson - Drums (1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9,10)
Thomas Tornefjäll - Drums (7)
Hans Röjås - Violin (3)
Villu Veski - Saxophone (7)
Thomas Larsson - Lead Guitar (1, 2, 3, 5, 6, 8, 9, 10)
Kurt Lindbom - Lead Guitar (4, 7)
Joakim Larsson - Bass (1, 5, 6, 8)
Weine Johansson - Bass (2, 4, 10)
Kjell Dahl - Bass (7)
Jair-Rhome Parker - Bass Intro (9)
Lars Pollack - Keyboards
Eiron Johansson - Drums (1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9,10)
Thomas Tornefjäll - Drums (7)
Hans Röjås - Violin (3)
Villu Veski - Saxophone (7)