メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

Baltimoore

Original Sin / Baltimoore (2000)

0461Original Sin









ビョルン・ローディンを中心とするスウェーデンのハードロック・バンドBaltimooreの6年ぶりの5thアルバム。3rdと4thで共演したニコロ・コツェフと袂を分かち、前身バンドSix Feet Underのギタリストで、Baltimooreの1stにも参加していたトーマス・ラーションが復帰しています。3rdと4thではニコロ・コツェフの影響で古典的な「様式美」的ハードロックをビシッとキメていましたが、タガが緩んだように本作はまた何でもあり状態に戻っちゃってますね~。それはそれとして、今回特筆すべきは、トーマス・ラーションのギターのカッコよさ。ニコロ・コツェフ同様リッチー的でもあり、一方ジェフ・ベック的なところもあって非常に魅力的です。ギターの音色が生々しいのも好みです。この人って前からこんなに上手かったっけ?もちろん、主役のビョルン・ローディンのボーカルも、ロバート・プラントを塩辛くしたような独特の味があって相変わらず達者だし、キーボードのラーズ・ポラックもオルガンにピアノに大活躍で、聴き応えのあるプレイを聴かせてくれています。

以下、特に印象に残った曲をピックアップしてみます。

#1"Conviction"
オープニングは、3rd、4thに近い「様式美」的スピード・チューン。トーマス・ラーションのソロが無茶苦茶カッコいいです。

#2"Indecision"
グルーヴィなリズムとちょっと不思議なメロディが印象的なミドルテンポのナンバー。ここでもまたトーマス・ラーションのギターがいい味を出しています。

#4"Contradiction"
ヴァイオリンの入ったトラッド風の曲です。全くハードロックではありませんが、いかにもヨーロッパ的な雰囲気が魅力的。

#5"Recognition"
ブルージーで、かつ少しばかりジャズっぽいナンバー。うねるオルガン、鋭角的なギターが強く印象に残ります。

#7"Superman"
なんと、まるっきりジャズです。ジャズ風ではなくて、サックス入りの4ビート・ジャズ!渋過ぎ!バックのミュージシャンもジャズ畑のプレイヤーのようです。

#8"Omniscience"
グルーヴィでヘヴィなハードロック。押し寄せてくるようなサウンドにワクワクしてしまいます。

#9"Jealousy"
これまたカッコいい!第2期ジェフ・ベック・グループみたいな音です。

全体として、よく言えばバラエティに富んだ、悪く言ってしまえば散漫な作風です。しかし、元々このBaltimooreはビョルン・ローディンのワンマン・バンドないしはソロ・プロジェクト的色彩が強く、彼がやりたい放題やっているのが自然かもしれません。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Conviction
02. Indecision
03. Emancipation
04. Contradiction
05. Recognition
06. Retribution
07. Superman
08. Omniscience
09. Jealousy
10. Redemption
All songs written by Björn Lodin
Wards co-written by Allan Sjöholm (2, 3, 6, 7, 8, 10)

■Personnel
Björn Lodin - Vocals, Guitar (1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 10), Bass (3, 9)
Thomas Larsson - Lead Guitar (1, 2, 3, 5, 6, 8, 9, 10)
Kurt Lindbom - Lead Guitar (4, 7)
Joakim Larsson - Bass (1, 5, 6, 8)
Weine Johansson - Bass (2, 4, 10)
Kjell Dahl - Bass (7)
Jair-Rhome Parker - Bass Intro (9)
Lars Pollack - Keyboards
Eiron Johansson - Drums (1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9,10)
Thomas Tornefjäll - Drums (7)
Hans Röjås - Violin (3)
Villu Veski - Saxophone (7)

Producer - Björn Lodin

Original Sin
Baltimoore
Lion Music Finland
2009-06-02





Thought for Food / Baltimoore (1994)

0384Thought For Food









スウェーデンのハードロック・バンドBaltimooreの4thアルバム。実質的にはビョルン・ローディン(vo)のワンマン・バンドないしはソロ・プロジェクトなのですが、前作から参加したニコロ・コツェフ(g)の比重が一層高まり、サウンドのバンド感が増しています。ジャケットに二人の姿があしらわれているのもそのことを示しているようです。

内容は前作同様の古典的なオルガン入りハードロック。1曲目のスピード・チューン"Full Speed Ahead"から、ロバート・プラントとリッチー・ブラックモアが共演しているようなサウンド全開で、この手の音が好きなリスナーには堪りません。それぞれの書いた楽曲が交互に並んでいますが違和感なく融合しており、アルバムとしての統一感は十分です。ドラムは前作のジェイミー・ボーガーからイアン・ホーグランド(Europe)に替わっています。もちろん遜色ないプレイで安心して聴くことができます。ニコロ・コツェフのテクニックとセンスの素晴らしさは言うまでもありません。バンド全員がハイ・レベルで楽曲も佳曲揃い、前作より更に完成度の高いアルバムだと思いました。ただし、コントのようなふざけたセリフが入っている曲があるのが玉にキズ。テンション下がるので、こういうのはやめてもらいたいなと。それから、1曲か2曲バラードがあるともっとよかったかも。"Mistreated"や"Catch the Rainbow"みたいなやつが聴きたかったです。

両雄並び立たずと言うことなのか、結局このアルバムを最後にビョルン・ローディンとニコロ・コツェフは袂を分かち、ニコロさんは自身のプロジェクトであるBrazen Abbotでの活動を始めることになります。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Full Speed Ahead (Björn Lodin)
02. White Queen (Nikolo Kotzev)
03. With a Will of My Own (Björn Lodin)
04. Alone (Nikolo Kotzev)
05. Take Me to the Top (Björn Lodin)
06. Lucky River (Nikolo Kotzev)
07. It's Just My Attitude (Björn Lodin)
08. Try Change to Better (Björn Lodin)
09. Rich Man (Nikolo Kotzev)
10. Calling You Closer (Björn Lodin)
11. Men We Trust (Nikolo Kotzev)
12. Like Rolling a Cigarette (Björn Lodin)
13. Pictures I Have Seen (Nikolo Kotzev)

■Personnel
Björn Lodin - Vocals, Percussion
Nikolo Kotzev - Guitars, Synthesizers, Percussion
Weine Johansson - Bass
Lars Pollack - Organ, Piano, Synthesizers
Ian Haugland - Drums

Producer - Björn Lodin, Nikolo Kotzev

Thought for Food
Baltimoore
SPV Germany
1995-04-20

 

BaltimooreⅢ Double Density / Baltimoore (1992)

0297Double Density









ビョルン・ローディン率いるBaltimooreの3枚目のアルバム。本作から相方としてブルガリア人のニコロ・コツェフが迎えられています。後にBrazen Abbotで活躍する凄腕ギタリストですね。音のほうは、煮え切らないZep風なものから、スピードとキレを重視したスタイリッシュなハードロックへと一新されました。前身バンドのSix Feet Underの路線へと先祖帰りしたのかというとそうではありません。あれはモロにDeep Purpleでしたが、今度はRainbowスタイルです。ニコロ・コツェフの書いた曲はもちろん、アレンジとプロデュースにニコロさんが加わっているせいかビョルン・ローディンの曲もそっちに寄っています。ボーカルは相変わらずロバート・プラントのまんまなので、ちょっと面白いサウンドになってますね。

特筆すべきはやはりニコロ・コツェフのギターで、アーミング、タップ、スウィーブを駆使して凄まじいまでのプレイを聴かせます。Brazen Abbotの時よりもむしろ好き勝手に弾きまくっている印象です。#7"Snakefight "なんていうギター・インスト曲まで収録されています。ただ、インストだとあまり面白くないのが不思議です。それから、ドラムはジェイミー・ボーガーでこれがまた上手い。バンドの音の安定感とスリリング感の両立に大きく寄与していると感じました。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. My Kind of Woman (Kotzev, Lodin)
02. Do Another (Lodin)
03. Never Gonna Let You In (Kotzev, Lodin)
04. Pain & Pleasure (Lodin)
05. Hello Again (Lodin)
06. Love Me or Leave Me (Kotzev, Lodin)
07. Snakefight (Kotzev)
08. Outdo (Lodin)
09. 'Til the End of Day (Lodin)
10. Wish I Could Do Better (Kotzev, Lodin)
11. Bite by Bait (Kotzev, Lodin)
12. My Blue Moon (Larsson, Hjalmarsson)

■Personnel
Björn Lodin - vocals
Nikolo Kotzev - guitars, keyboards
Koko & Weine Johansson - bass
Jamie Borger - drums

Producer - Björn Lodin, Nikolo Kotzev

III Double Density
Baltimoore
Spv Germany
2003-01-01

 

Freak / Baltimoore (1990)

0234Freak









「スウェーデンのロバート・プラント」、ビョルン・ローディン率いるBaltimooreの2nd。バンド名義となっていますが、ジャケットから伺えるように実質彼のソロ作品のようです。演奏とプロデュースはほぼ前作と同じメンツですが、Six Feet Underからビョルン・ローディンと活動してきたトーマス・ラーションは本作には参加していません。前作ではトーマス・ラーションがかなりソング・ライティングに関わっていましたが、今回は曲のほとんどをビョルン・ローディン単独で書いており、一部がギターのシュテファン・ベリストロムとの共作となっています。音のほうは前作とやや傾向が変わってハードポップ色は薄れ、AOR風、SSW風、またファンキーなものなどバラエティ豊かになっています。好き勝手にやっている感じはいかにもソロ作です。ただ、やはりツェッペリン風味というか、ロバート・プラントのソロ・アルバム的というか、それが全体を貫いているのは前作と同様です。ソフト目なサウンドなんですが、中々に味わい深いものがあります。もろツェッペリンの#2"Kahlua Confusion"、#6"Straight Line"とか、特にカッコいいです。どことなく"Stairway to Heaven"を思わせる#5"Without You"も、この人の「ツェッペリン愛」が感じられてイイです。ラストのビートルズの#10"Oh Darling"だけはつまらない。一曲だけ浮いちゃってるし、なんで入れたんだろう?選曲ミスじゃないかなぁ。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Memories Calling (Lodin)
02. Kahlua Confusion (Lodin)
03. Dying Alone (Lodin)
04. Don't Stop Running (Lodin, Bergström)
05. Without You (Lodin)
06. Straight Line (Lodin, Bergström)
07. Day to Come (Lodin)
08. What It Is (Lodin)
09. Fly So Gently (Lodin, Bergström)
10. Oh Darling (Lennon, McCartney)

■Personnel
Bjorn Lodin - lead vocals
Jenny Wikström - bass, backing vocals on 10
Rolf Alex - drums, percussion, backing vocals on 10
Mats Olausson - organ, keyboard
Stefan Bergström - guitar, mandolin
Micke Andersson - backing vocals except on 10
Ulf Wahlberg - strings on 9

Anders Gustavsson - saxophone on 1
Jalle Lorensson - harmonica on 7
Mats Glenngård - violin on 3

Producer - Rolf Alex
Executive Producer - Ulf Wahlberg, Bjorn Lodin

Freak
Baltimoore
Spv Germany
2003-01-01

There's No Danger on the Roof / Baltimoore (1988)

0190There's No Danger on the Roof









スウェーデンのメロディアス・ハードロック・バンド、バルチモア(Baltimoore)の1stアルバム。バンドと言っても、元シックス・フィート・アンダー(Six Feet Under)のボーカリスト、ビョルン・ローディンのソロ・プロジェクトのようです。この人、ロバート・プラントをちょっとハスキーにしたような声で、歌い方もよく似ています。本作の中にはツェッペリンを思わせる楽曲もありますが、基本的にブルース色の強いハード・ポップといった印象です。北欧スウェーデンのキラキラ感より、イギリス的な陰りを感じさせるのが面白いと思います。演奏のほうもしっかりしており、特にギターはテクニカルかつブルージーでカッコいいです。ビョルン・ローディンのクセのある声質と歌唱が苦手な方もいそうですが、筆者はOKだったので結構楽しめました。

主なバンド・メンバーは、ABBA等でプレイしてきたロルフ・アレックス(ds、key)。本作のプロデュースも担当しています。それから、シックス・フィート・アンダーでもビョルン・ローディンと一緒だったトーマス・ラーション(gt)。後にグレン・ヒューズ・バンドに加わる人です。シュテファン・ベリストロム(gt)、この人は後にアルフォンゼッティに参加。ピアノとオルガンでクレジットされているマッツ・オラウソンは、ご存知イングヴェイ・マルムスティーン・バンドで活躍することになる鍵盤奏者。キーボードとストリングス、そしてエグゼクティヴ・プロデューサーのウルフ·ヴァールベリは、スウェーデン音楽界で数多くの仕事をしているプロデューサー、ソングライター。ラスト・オータムズ・ドリームのアルバムでもクレジットされています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. My Blue Moon (Larsson, Hjalmarsson)
02. Can't Get You Out of My Mind (Larsson, Hjalmarsson)
03. Dance, Dance (Larsson, Hjalmarsson)
04. Hey Bulldog (Lennon, McCartney)
05. Rain (Lodin)
06. Ballerina (Lodin)
07. ...In Love (Lodin)
08. The Blues Is Just the Same (Wahlberg)
09. Little Bye (Lodin)
10. Happy Times (Lodin)

■Personnel
Bjorn Lodin - lead vocals

Rolf Alex - drums, keyboards, machines
Stefan Bergström - acoustic guitar
Thomas Larsson - acoustic and electric guitar
Lasse Jonsson - guitar
Mats Olausson - organ, piano
Ulf Wahlberg - keyboards, strings and string arrangement
Ulf Widlund - bass
Anders Åström - bass
Micke Andersson - backing vocals
Mikael Rickfords - backing vocals
Ronny "Dunderburk" Lahti - backing vocals

Producer - Rolf Alex
Executive Producer - Ulf Wahlberg

There's No Danger on the Roof
Baltimoore
SPV Germany
2009-02-10

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