メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

Millenium / Eyewitness

Angelfire / Millenium (1999)

0413Angelfire









故ラルフ・サントーラ率いるアメリカのハードロック・バンドMilleniumの2ndアルバム。と言っても、前作は前身バンドEyewitnessの未発表音源をかき集めたものだったので、実質的には本作がMillenium名義で録音した最初のアルバムということになります。メンバーは、Eyewitness以来のラルフ・サントーラ(G, Key)、トッド・プラント(Vo)、オリヴァー・ハンソン(Ds)の3人に加え、新メンバーのシェーン・フレンチ(G)、マンフレッド・ビンダー(B)という5人編成。シェーン・フレンチはハードロック・バンドTeerのメンバー、マンフレッド・ビンダーはオリヴァー・ハンソンと同じくオーストリア出身でかつては一緒にバンドをやっていた仲だそうです。他にアディショナル・ミュージシャンとして、やはりTeerのメンバーのダン・セント・マイケル、EyewitnessとMonarchでラルフ・サントーラと共演しているショーン・フィリップス、後にラルフ・サントーラも加入するIced Earthのハワード・ヘルムが一部の曲に参加しています。

紆余曲折を経て制作されたこのアルバム、これまでの作品を上回る完成度を誇っています。どこまでもメロディアスな楽曲、骨太で重厚なサウンド、細部にまで神経の行き届いたアンサンブルに圧倒されます。Eyewitness時代には上手いとは思うけれどそれ以上とは感じなかったラルフ・サントーラのギター・プレイも、マイケル・シェンカー的リリシズムとネオクラ系の構築美を併せ持つ超一級品。場面ごとの微妙なトーン・コントロールも心憎いばかり。もうひれ伏すしかありません。

典礼音楽のように荘厳な序曲に導かれてスタートするドラマチックな#2"Shaman"、流麗なメロディが素晴らしい#3"Beyond the Pain"、哀愁メロディアスハードの極めつきで本作のハイライトとなる#4"Until the End of Time"、雲間から射す陽光のように神々しいタイトル曲#5"Angelfire"、しっとりした哀愁メロディと美しいギターが印象的な#6"Heaven Sent"、クラシカルでロマンチックなバラード#7"Julia"と息をもつかせぬ展開に圧倒されます。まさに名曲・佳曲のオンパレードです。アルバム後半の楽曲はやや見劣りしますが、それはあくまで前半に比較してのこと。捨曲・駄曲などということではありません。結論として、いわば「重厚長大系メロハー」の極北を示す傑作だと思います。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Nations (Santolla)
02. Shaman (Plant, Santolla)
03. Beyond the Pain (Plant, Santolla, Hanson)
04. Until the End of Time (Plant, Santolla, Hanson)
05. Angelfire (Plant, Santolla)
06. Heaven Sent (Plant, Santolla, Binder, Hanson)
07. Julia (Plant, Santolla)
08. Bound for Glory (Plant, Santolla)
09. Run (Plant, Santolla)
10. Waiting for Godot (Plant, Santolla)
11. Remember (Santolla)
12. Saving Grace (Plant, Santolla, Hanson)
13. The Color of Night (Santolla)
14. Hide Behind My Face (Plant, Santolla, Hanson)
15. Dawn (Santolla)

■Personnel
J. Todd Plant - Lead & Background Vocals
Ralph Santolla - Guitars, Keyboards
Shane French - Rhythm Guitar
Manfred Binder - Bass
Oliver Hanson - Drums, Percussion

Sean Phillips - Rhythm Guitar on #5, 8
Howard Helm - Fender Rhodes on #14
Angie Campbell - Additional Vocal on #2
Dan St.Michael - Piano on  #2

Producer - Ralph Santolla, Oliver Hanson

Angelfire
Millenium
Frontiers Italy
2006-11-27

 

Millenium / Millenium (1997)

0327Millenium









アメリカのハードロック・バンド、Milleniumの1stアルバム。と言っても中心人物のラルフ・サントーラ(gt)以下、トッド・プラント(vo)、オリヴァー・ハンソン(ds)、ショーン・フィリップス(gt)はいずれもEyewitnessのアルバム・レコーディングに参加していたメンバー。Eyewitnessが2ndアルバムでダーク&ヘヴィ路線に舵を切りファンの不評を買ったため、苦肉の策として、平行して別バンドでEyewitnessの1stのメロハー路線を継続するため結成されたのがこのMilleniumということらしいです。分かったような分からないような話ですが、結果として本筋のEyewitnessは2ndを出したきりで消滅、Milleniumのほうが生き残って4枚のアルバムを残すという皮肉な結末となっています。で、このアルバム、詳細は不明ですがどうやらMilleniumとして新たにレコーディングしたものではなく、Eyewitnessのデビュー前90~93年にかけての古いデモ音源をかき集めてアルバムに仕立て上げたものらしい。というわけで、本作はMillenium名義の1stアルバムですが、実質はEyewitnessの3rdアルバムで、録音時期はEyewitnessの1stと同じ。なんだかな~。。。

そんな訳ありのアルバムにも関わらず、これがまたすこぶる出来がいい。数次にわたる録音でミックスなどもラフなため音響的にはイマイチで統一感もありませんが、楽曲・演奏・歌唱の水準は非常に高いです。トッド・プラントの野太い声、ラルフ・サントーラの丸太ん棒のようにぶっといギター、おまけにメンバーのみなさんの体格まで太くてまあ暑苦しいことこの上ないのですが、それでもとにかく素晴らしい。ヘヴィなリフと対照的なテクニカルで華麗なギターソロが印象的な#1"Together as One"、キャッチーでポップなメロディが気持ちよい爽快系メロハー#2"Believe in Love"、サビの哀愁メロディが最高にカッコいい#3"Marianne"、ギターのクリーン・トーンも用いた繊細なアンサンブルが光る#7"Gabriella"、哀愁メロハーでありながら力強い#8"Gonna Let You Go"と#9"Invincible"など名曲・佳曲のオンパレード!いわばEyewitness1stのアウトテイク集なのに、その1stとなんら遜色ない出来です。中途半端なカバー曲がない分、むしろこちらの方が上かも知れません。恐るべしラルフ・サントーラ!

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
1. Together as One (Lyrics & Music R. Santolla)
2. Believe in Love (Lyrics K. Sterling/R. Santolla/T. Plant, Music R. Santolla)
3. Marianne (Lyrics J.Forte/Todd Plant, Music R. Santolla)
4. Come Back (Lyrics & Music R. Santolla)
5. Almost Made It to Heaven (Lyrics & Music R. Santolla)
6. Hold On (Lyrics & Music R. Santolla)
7. Gabriella (Lyrics J.Forte, Music R. Santolla)
8. Gonna Let You Go (Lyrics J.Forte, Music R. Santolla)
9. Invincible (Lyrics J.Forte, Music R. Santolla)

■Personnel
J. Todd Plant - lead vocals, backing vocals
Ralph Santolla - guitar, bass, keyboards, backing vocals
Oliver Hanson - drums
Wayne Koho - bass
Sean Phillips - rhythm guitar

Steve Gruden - backing vocals
Jesi Forte - backing vocals
Phil Cherry - backing vocals
Billy McKnight - backing vocals
Paul Prator - additional keyboards
Kent Smith - additional keyboards
Brian Benscoter - additional keyboards
Roger Stephan - drums on 7, 8, 9

Producer - Ralph Santolla
Millenium
Millenium
Mtm
1998-04-29





 

Messiah Complex / Eyewitness (1996)

0285Messiah Complex









アメリカのHR/HMバンドEyewitness(アイウィットネス)の1996年にリリースされた2ndアルバム。前年の1stが本国でパッとしなかったのか、2ndは日本盤のみのリリースとなっています。メンバーはラルフ・サントーラ(Gt)、トッド・プラント(Vo)、スティーヴ・ホドソン(B)、オリヴァー・ハンソン(Ds)で前作と変わりありません。1stはメロディアスな上にパワー感も十分な好盤でしたが、本作はこの当時のお決まりの迷い道=グランジ化にはまり込んでしまってます。1stを好意的に受け止めた日本のファンの多くは、えげつない流行便乗に拒絶反応しか示しませんでした。これを日本でしかリリースできなかったのは悲劇を通り越して喜劇的ですらあります。

何度も書いてきたことですが、グランジ/オルタナと呼ばれる音楽を率先して提示してきたミュージシャンは、そういう表現手法を採る内的必然性があるわけです。メロディアスHR/HM系のバンドが、表面的に真似してみても、ただただ中途半端な音楽になるのは目に見えています。濁った響きのコードを使ったり、メロディ・ラインを暗くしてみたって、それは形だけのこと。怒りや憂鬱や自省や破壊衝動とかと、延々とギター・ソロを見せびらかすような心性は全く別物です。聴いてる方だって、グランジ・バンドに求めるものとHR/HMバンドに求めるものは違うのが当たり前。なんでそれが分からなかったんでしょうか。。。

ただ、リリースから10年、20年経ってみると、「グランジ化して失敗したHR/HM」という一つのジャンルと括ることもできる作品群は、そういう耳で聴けばそれなりに面白いというか、興味深いのも確かです。グランジ/オルタナのファンにも、HR/HMファンにもとても薦められませんが、たまに聴いて「ふーん」とか「へー」となるアルバムですね、これも。なお、現在中古市場で出回っているCDにはオリジナル盤のほか、1stとのカップリング盤があります。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Messiah Complex (Words & Music: R. Santolla)
02. All We Are (Words: R. Santolla/T. Plant, Music: R. Santolla/O. Hanson)
03. The Servant Has Become the Master (Words: R. Santolla/T. Plant, Music: R. Santolla)
04. The Circle (Words & Music: R. Santolla)
05. Desert Rain (Words: T. Plant, Music: R. Santolla/S. Hodson/O. Hanson)
06. I Think I Wanna Die Now (Words: R. Santolla/T. Plant, Music: R. Santolla)
07. Cries for Mercy (Words: T. Plant, Music: R. Santolla/S. Hodson)
08. Out of Sight, Out of Mind (Words: T. Plant, Music: S. Hodson/R. Santolla)
09. Breaking Down the Walls (Words & Music: R. Santolla)
10. Sea of Sadness (Words: T. Plant, Music: R. Santolla/S. Hodson/O. Hanson)
11. The Blade (Words: T. Plant, Music: R. Santolla/S. Hodson/O. Hanson)
12. The Guiding Hand (Words & Music: R. Santolla)
13. Dreamscape (Words: T. Plant, Music: R. Santolla)

■Personnel
J. Todd Plant - All Lead & Backing Vocals
Ralph Santolla - Guitar
Steve Hodson - Bass
Oliver Hanson - Drums

Brian Benscoter - Keyboards
Phiil Cherry - Additional Guitar on "Breaking Down The Walls", Keyboards on "Cries for Mercy"
Mike Caruso - Additional Guitar on "The Blade"
Jack Owen - Left speaker Lead on "I Think I Wanna Die Now"

Producer – Ralph Santolla & Scott Burns

MESSAIAH COMPLE
アイウィットネス
アルファレコード
1996-10-23



Eyewitness / Eyewitness (1995)

0176Eyewitness









フロリダ州タンパを本拠地とするアイウィットネスの1stアルバム。タンパというと「デスメタルの聖地」とすぐ連想します。本作のプロデュースに関わったスコット・バーンズも、地元でデス・メタル系のプロデューサーとして数多くの仕事をしてきた人ですが、このバンドはオーソドックスなメロディアスHR/HMをやっています。バンドのメンバーは、有名なギタースクールGIT出身というラルフ・サントーラをリーダーに、トッド・プラント(Vo)、スティーヴ・ホドソン(Ba)、オリヴァー・ハンソン(Ds)の4人。数次にわたるデモ制作後のレコーディングのせいか、アディショナル・ミュージシャンが多数クレジットされており、ポール・プレイター(Autodrive)、ザック・スティーヴンス(Savatage、Circle II Circle)、ハワード・ヘルム(Zon、Refugee)といったところが目に付きます。

音のほうは、インスト・パートがかなりハードだし、トッド・プラントの歌声も太くて力強いので、メロハーと言っても冷涼・爽快系とは無縁の熱い(暑い)サウンドとなっています。ラルフ・サントーラのテクニカルなギターが売りとなっているようですが、むしろ曲の良さのほうが印象に残りました。特にお気に入りなのは#4"All I Wanted"、#7"Can't Stop"、#10"Arms of Love"の3曲。哀愁系のメロディがとにかく素晴らしい。UFOの"Only You Can Rock Me"、Zenoの"Far Away"のカヴァーは、まあそこそこかな。このバンド、次のアルバムでずっこけて、ミレニアム(Millenium)名義でウヤムヤに復活することになりますが、本作はラルフ・サントーラ&トッド・プラントの出発点として必聴盤だと思います。なお、現在出回っているCDにはオリジナル盤のほか、2ndとのカップリング盤があります。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Masters of the World (Ralph Santolla)
02. The Killing Words (Ralph Santolla/Oliver Hanson)
03. Still Half Alive (Ralph Santolla/J. Todd Plant)
04. All I Wanted (Steve Hodson/J. Todd Plant)
05. Far Away (Zeno Roth)
06. Communication (Brian Benscoter/Ralph Santolla)
07. Can't Stop (Ralph Santolla)
08. Life Goes On (Ralph Santolla)
09. Only You Can Rock Me (Michael Schenker/Pete Way/Phil Mogg)
10. Arms of Love (Jerry Dixon/Gaylin Walker)
11. Dorians Song (Ralph Santolla)
12. Rising Sun (Ralph Santolla)
13. A Very Minor King (Ralph Santolla)

■Personnel
J. Todd Plant - Lead & Backing Vocals
Ralph Santolla - Guitars, Backing Vocals
Steve Hodson - Bass
Oliver Hanson - Drums

Nick Bowcott - 1st solo on "Arms of Love"
Russell Farrow - Leeslie Guitar on "Still Half Alive"
Paul Prator - Keyboards on "Arms of Love"
Steve Gruden - Backing Vocals
Phiil Cherry - Backing Vocals, Keyboard programming
Billy McKnight - Backing Vocals
Zach Stephens - Backing Vocals
Leroy Myers - Backing Vocals
Sean Phillips - Additional Rhythm guitar on "Can't Stop", "Arms of Love"
Howard Helm - Organ on "Only You Can Rock Me", Keyboard programming
Raul Flynn - Latin & Spanish spoken parts on "Masters of the World"

Producer - Ralph Santolla & Scott Burns
except "Arms of Love" & "Can't Stop" by Jim Morris

Eyewitness
Eyewitness
Aor
1995-04-20


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