メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

John Sykes

20th Century / Sykes (1997)

0457Twentyth Century









1997年にリリースされたジョン・サイクスのアルバム。Blue Murderから名前を変えたバンドSykesの2ndに相当しますが、実質的にはジョン・サイクスのソロ・アルバムです。Blue Murderの2ndから端緒が見え、前作Out of My Treeで顕著となった60年代ブリティッシュ・ロックへの傾倒は本作でも続いています。ゲイリー・ムーアのブリティッシュ・ブルースや、ジョン・ノーラムの70年代ハードロックもそうですが、何故かある程度の年齢になると、ガキの頃に聴いていた音楽への原点回帰みたいな欲求が高まるのでしょうか。うーん、The WhoやSmall Facesみたいなのも悪くはないんだけれど、できることならBlue Murderの1stの路線で、しかもあれを凌ぐような大傑作を作ってもらいたいというのが本音のところです。

もちろん、ソングライターとしても超一流のジョン・サイクスですから、本作でも駄曲というようなものは1曲もありません。それぞれにメロディも良いし、ロックンロールだけではなくてファンキーだったりジミヘン風だったり曲調のバリエーションも豊かです。加えて、演奏がまた無茶苦茶カッコいい!ジョン・サイクスのソロはフレージングの幅が広がっているような気がするし、マルコ・メンドーサのベースは相変わらず凄すぎます。ドラムは4人が参加していて、メインのサイモン・フィリップスが6曲、ボニー・ボナパートが2曲、トミー・オスティーンとトミー・アルドリッジがそれぞれ1曲叩いています。個人的には、大好きなサイモン・フィリップスのプレイが聴けて大満足です。この人はフュージョン分野でももちろんカッコいいのですが、ハードロックでのドラミングも独特の感覚で素晴らしいです。とりわけラストの#10"Touched by Evil"は、Blue Murderの1stを思わせる重厚なハードロックで、ここでのジョン・サイクス、マルコ・メンドーサ、サイモン・フィリップス、3人のプレイはまさに圧巻。鳥肌が立ちます!

 評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Look in His Eyes
02. 20th Century Heartache
03. I Get Around
04. 2 Counts
05. Defcon 1
06. System Ain't Workin'
07. The Way You Kiss Me
08. Found What I Needed
09. Cautionary Warning
10. Touched by Evil
All songs written by John Sykes

■Personnel
John Sykes - Guitars, Vocals, Bass on #4
Marco Mendoza - Bass
Simon Phillips - Drums

Tommy O'Steen - Drums on #4
Tommy Aldridge - Drums on #1
Bonnie Bonapart - Drums on #6, #8
Mars Lasar - Keyboards

Producer - John Sykes

20センチュリー
ジョン・サイクス
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
1997-12-26

 

Loveland / John Sykes (1997)

0375Loveland









ジョン・サイクスの既発アルバムに収録されなかった曲を中心に、バラードだけを集めた編集盤。録音時期がまちまちなので、本人以外のメンバーは曲によって異なっています。バラード集ということであまり食指が動かなかったのですが、聴いてみるとこれがまた素晴らしいアルバムでした。この前後に発表された作品よりむしろこっちの方がいいです。まずなんと言っても曲が粒選りで名曲・佳曲が目白押し状態。ジョン・サイクスのコンポーザーとしての優秀さがよく分かります。もちろんボーカルもいいです。ギター・ソロが少ないのが玉に瑕ですが、歌ものと割り切ればあまり気になりません。

01. Everything I Need (Sykes)
メロディも歌唱もギターもロマンチックでセンチメンタル、思わずうっとりしてしまいます。ジョン・サイクスのメロディ・メイカーとしての能力の高さが遺憾なく示された名曲。

02. Didn't We Say (Sykes)
ピアノとストリングスをバックに美しいメロディが展開されます。甘美なギター・ソロにも胸キュンです。

03. Don't Hurt Me This Way (Please Don't Leave Me '97) (Lynott, Sykes)
もはや説明不要のフィル・リノットとの共作曲。オリジナルから15年の歳月を経て蘇りました。フィル・リノットのボーカルはオリジナルのまま、それ以外は再録音されています。ハーモニー・ボーカルがジョン・サイクス自身に挿し代わっているのがミソ。

04. Hold the Line (Sykes)
Beatlesを思わせる静かな小品。マルコ・メンドーサと思われるフレットレス・ベースが印象的です。

05. Thank You for the Love (Sykes)
少しアメリカンな雰囲気の曲。メロディ・ラインの展開がドラマチックです。

06. Wuthering Heights (Sykes)
ミステリアスなメロディといい、コーラスといい、ストリングスといい、これは丸っきりBeatles風ですね。

07. Till the Day I Die (Sykes, Alessandroni)
ナチュラルで素朴なメロディが素晴らしい。ギターの官能的なフレーズ、艶のある音色も最高です。

08. Haunted (Sykes)
このアルバムの中では一番ロックっぽさのある曲。やはりフレットレス・ベースがいい味を出しています。叫ぶようなギター・ソロもカッコいい!

09. I'll Be Waiting (Sykes)
美しく切ないメロディが印象に残る静かな曲。ジョン・サイクスがピアノの弾き語りをしているような絵が浮かびますが、彼が弾いている訳ではないんですよね。

10. Don't Say Goodbye (Sykes)
ジョン・レノンへの敬愛の念を表した曲。アレンジもBeatles風だし、歌詞にBeatlesの曲名がたくさん出てきます。この曲だけトニー・フランクリンがベースを弾いていますが、やっぱりさすがにカッコいいです。

 評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
John Sykes - Lead Vocals, Guitars
Philip Lynott - Lead Vocals on #3
Alex Alessandroni - Keyboards, Piano
Jamie Muhoberac - Keyboards, Piano
Marco Mendoza - Bass
Reggie Hamilton - Bass
Abe Laboriel Jr. - Drums
Curt Bisquera - Drums
Tommy O'Steen - Drums on #8
Jim Sitterly - First Violin Concert Master
Kavan - Cello

Tony Franklin - Bass on #10
Nick Green - Keyboards on #10

Producer - John Sykes

Loveland
Sykes, John
CD Baby
2007-01-01

 

I Don't Wanna Live My Life Like You / Sykes (1995)

0347I Don't Wanna Live My Life Like You









ジョン・サイクスの名を冠したバンドSykesが日本限定でリリースしたEP。バンドのメンバーは、マルコ・メンドーサ(Ba)、トミー・オスティーン(Ds)、ニック・グリーン(Key)です。タイトル曲はアルバムOut of My Tree収録曲ですが、その他にライヴ音源が3曲収録されているのでこれはぜひ聴いておきたいところでしょう。たった3曲とは言え、同じメンバー(Blue Murder名義)でのScreaming Blue Murderに勝るとも劣らない熱いパフォーマンスは圧巻です。特にやっぱりマルコ・メンドーサのプレイは凄い!ただし、その3曲中2曲がアコースティック・ナンバーというのが残念。どうせならジョン・サイクスがエレキで弾きまくるのを聴きたいというのが人情というもの。

なんてボヤいていたら、なんと今月(2020年7月)にこのEPと同じライブを完全収録したアルバムがリリースされました!このライブは1995年6月23日にLA近郊サンタアナ(Santa Ana)のGalaxy Theatreで開催されたテレビ&ラジオ用プロモーション・コンサートで、映像は日本では当時WOW WOWで放送されたとのことです。この時のFMラジオ放送用のマスターが見つかりCDとしてリリースされることになったらしいのです。その上、Blue Murderの1989年来日公演(東京)のライブ盤まで同時に出ました。ずいぶん長い間音沙汰の無いジョン・サイクスですが、この2タイトルのリリースにはまさに嬉しい悲鳴です!

 評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. I Don't Wanna Live My Life Like You
02. Jelly Roll (Live)
03. She Knows (Live)
04. Standing at the Crossroads (Live)
All songs written by John Sykes

■Personnel
John Sykes - Guitar and Lead Vocals
Marco Mendoza - Bass and Vocals
Tommy O'Steen - Drums and Vocals 
Nick Green - Keyboards

マイ・ライフ
ジョン・サイクス
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
1995-10-05


Live in Japan 1989
Blue Murder
Alive The Live
2020-07-05


Out of My Tree / Sykes (1995)

0267Out of My Tree









Blue MurderからSykesにバンド名を変えて1995年にリリースされたジョン・サイクスのアルバム。リズム隊はBlue Murder時代と同じくマルコ・メンドーサ(Ba)、トミー・オスティーン(Ds)で、トリオ編成となっています。んー、これはいわゆる問題作ですね。Nothin' but TroubleではSmall Facesのカバーや軽めなR&Rノリを取り入れ、古典的で重厚なハードロックからの脱却という変化が垣間見れましたが、その指向が更に強まっています。Sweet+パンクな#2"I Don't Wanna Live My Life Like You"に、まずゲッ?となりました。その後もBeatles風だったりモロにグランジ風だったりする曲が目立ち、何もここまでやらなくてもいいだろうというのが第一印象でした。しかし何年も聴いていると、それなりに耳に馴染んできて、不思議とこれはこれでアリかと思えてきます。本人がインタビューで言っているように、アルバム全体を通してイギリスっぽさが貫かれているのも感じ取れました。逆にセルフ・コピーっぽい#8"Do or Die"はいただけないと感じてしまいました。もちろん従来路線の#1"Soul Stealer"、#6"Black Days"、得意のロマンチック&センチメンタルなバラード#9"If You Ever Need Love"、ジミヘン風の#4"Standing at the Crossroads"などは文句なしにカッコいいです。ま、ギター・ソロは良くも悪くもいつも同じ趣向なんですが。それからマルコ・メンドーサのベース、こいつは相変わらず最高です!

 評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Soul Stealer
02. I Don't Wanna Live My Life Like You
03. She's All Action
04. Standing at the Crossroads
05. I Don't Believe in Anything
06. Black Days
07. Jesus & Mary
08. Do or Die
09. If You Ever Need Love
10. Sleep On
All songs written by John Sykes

■Personnel
John Sykes - Guitar, Vocals, Background Vocals. Bass
Marco Mendoza - Bass
Tommy O'Steen - Drums

Jim Siterly - Strings

Producer - John Sykes

Out of My Tree by John Sykes
John Sykes
Polygram Int'l

Screaming Blue Murder / Blue Murder (1994)

0247Screaming Blue Murder









1993年の日本公演を収録したブルー・マーダー(Blue Murder)のライブ・アルバム。Dedicated to Phil Lynott というサブ・タイトルがつけられ、シン・リジィの故フィル・リノットに捧げる作品となっています。バンド・メンバーは、2ndアルバムNothin' But Trouble にクレジットされていたメンツ、マルコ・メンドーサ(Ba)、トミー・オスティーン(Ds)、そして2016年に亡くなったニック・グリーン(Key)です。収録曲は、ブルー・マーダーの1stと2ndからそれぞれ3曲、加えてフィル・リノットとの共作・共演曲"Please Don't Leave Me"、シン・リジィのレパートリーから"Cold Sweat"と"Dancing in the Moonlight"、そしてホワイトスネイクの"Still of the Night"と、バラエティに富んだベストな選曲と言えると思います。

肝心のギターとドラムの音がやや引っ込み気味だったりして、本作の録音状態・バランスは決して良好ではありません。しかし、開演を告げるかのように長く鳴り響くキーボードに続いて、うなりをあげるジョン・サイクスのギターが聴こえた途端に、まるでライブを擬似体験しているかのような生々しい音世界に引き込まれます。ロック・コンサートはこうでなくっちゃ!!と一気にテンションが上がるんです。筆者はジョン・サイクスのギター・プレイを格別に好んでいるわけではないのですが、それでもやっぱりこのアルバムに記録された彼のライブ・パフォーマンスはカッコいいなぁ。いやー、ほんと熱いです。前述したように曲もいわばベスト盤状態なので、とにかくトコトン楽しめます。それから、特筆すべきはマルコ・メンドーサのプレイ。前任者トニー・フランクリンに勝るとも劣らないフレットレスの達人ですな、この人は。型に嵌りがちなHR/HMで、こういう縦横無尽なベースが弾けるのってのがほんとに凄い!この人をどっかから引っ張ってきたジョン・サイクスも偉い!

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Riot (John Sykes)
02. Cry for Love (John Sykes)
03. Cold Sweat (John Sykes, Phil Lynott)
04. Billy (John Sykes)
05. Save My Love (John Sykes)
06. Jelly Roll (John Sykes)
07. We All Fall Down (John Sykes)
08. Please Don't Leave Me (Phil Lynott, John Sykes)
09. Still of the Night (David Coverdale, John Sykes)
10. Dancing in the Moonlight (Phil Lynott) 

■Personnel
John Sykes - vocals, guitars
Marco Mendoza - bass, backing vocals
Tommy O'Steen - drums, backing vocals
Nik Green - keyboards

Producer - John Sykes



Nothin' but Trouble / Blue Murder (1993)

0224Nothin' But Trouble









1993年にリリースされたジョン・サイクス率いるBlue Murderの2ndアルバム。前作から4年が経過してのリリースで、その間にカーマイン・アピスとトニー・フランクリンは脱退しており、「スーパー・トリオ」としてのブルー・マーダーは既に崩壊。本作では、当時無名だったマルコ・メンドーサ(Ba)とトミー・オスティーン(Ds)がバンドの新メンバーとなっています。まあこのバンドは実質的にはジョン・サイクスのソロ・プロジェクトなわけで、リズム・セクションの交代によって路線やサウンドに大幅な変化がもたらされてはいません。しかも音を聴く限り、ほとんどの曲はカーマイン・アピスとトニー・フランクリンがプレイしているようで、少なくともリズム・トラックはかなり早い段階でレコーディングされたものと思われます。

本作も1stと同じようにThin LizzyとWhitesnakeをニコイチにしたようなサウンドが基本となっています。しかし、Small Facesのカバー#2"Itchycoo Park"や、明るめなロックン・ロール#5"Dance"、60~70年代っぽい#11"She Knows"、16ビートの#12"Bye Bye"などのため、ひたすらハードで重く暗い1stに比べるとやや印象は異なります。アメリカン過ぎるとか、散漫という声もあるようですが、ハードロックの金字塔とも言える1stと比べてしまえば、どうしても評価は厳しくなってしまいますよね。でも1曲1曲のクォリティは1stと遜色ありません。筆者としては、1stより良いとは言えないにせよ、それでもこのアルバムも十分聴き応えのある作品だと思います。特に、ジョン・サイクスのソング・ライターとしての才能を遺憾なく発揮した名曲、甘く切なく美しいソウル・バラード#7"Save My Love"の素晴らしさといったらありません。それから、1曲だけケリー・キーリング(ex-Baton Rouge)が歌っている#6"I'm on Fire"も、ハードロックのカッコよさと熱さが詰まった名曲、名パフォーマンス。いや~、いいアルバムですよ、やっぱり。中古CD屋で投売りされているのを見ると悲しくなりますが、誰でもこの名作を手に入れやすいってことでポジティヴに考えることにします。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. We All Fall Down (John Sykes)
02. Itchycoo Park (Ronnie Lane, Steve Marriott)
03. Cry for Love (John Sykes)
04. Runaway (John Sykes)
05. Dance (John Sykes)
06. I'm on Fire (John Sykes)
07. Save My Love (John Sykes)
08. Love Child (John Sykes)
09. Shouldn't Have Let You Go (John Sykes)
10. I Need an Angel (John Sykes)
11. She Knows (John Sykes)
12. Bye Bye [Japanese Bonus Track] (John Sykes)

■Personnel
John Sykes - vocals, guitars
Marco Mendoza - bass
Tommy O'Steen - drums, backing vocals
Nik Green - keyboards

Kelly Keeling - lead vocals on track 6, backing vocals
Tony Franklin - bass
Carmine Appice - drums
Jim Sitterly - violin

Producer - John Sykes

ナッシング・バット・トラブル (SHM-CD)
ブルー・マーダー
Universal Music
2012-01-18

Blue Murder / Blue Murder (1989)

0179Blue Murder









ジョン・サイクスがホワイトスネイク脱退後に結成したブルー・マーダーの1stアルバムです。このバンド、HR/HMを聴く人なら知らない人は少ないだろうし、今さら感はありますが、メンバーはジョン・サイクスの他、ヴァニラ・ファッジ、カクタス、BBA、キング・コブラなど1960年代から豊富なキャリアを持つドラマーのカーマイン・アピス、ジミー・ペイジとポール・ロジャースのザ・ファームに在籍したトニー・フランクリン。当初ドラムにはコージー・パウエルが参加予定だったものの、ボーカリスト選定に手間取っている間に離脱、結局ドラムはカーマイン・アピス、ボーカルはジョン・サイクス自身が担当し本作はレコーディングされました。アディショナル・ミュージシャンは、キーボードにニック・グリーン、ジョン・ウェブスター、バック・ボーカルに、マーク・ラフランス、デヴィッド・スティール。プロデューサーは、本作以前だとキングダム・カム、以降だとモトリー・クルー、メタリカ、スキッド・ロウなどを手がけているボブ・ロックです。

サウンドはホワイトスネイク+シン・リジィ。ジョン・サイクスのキャリアそのまんまやんけ、という感じなのですが、これは古今東西数あるハードロック・アルバムの中でも屈指の名盤だと思います。雷鳴のごときカーマイン・アピスのドラム、ウネリまくりハネまくる暴風のようなトニー・フランクリンのフレットレス・ベース、そしてジョン・サイクスの集中豪雨的ギター・ソロ。これはまさにハリケーンです。タイフーンです。大変なことになっています。当初誰もが一抹の不安を抱いたジョン・サイクスのボーカルも完璧。なによ、歌すげー上手いじゃん!曲調はどれもブルージーでメロディアス、そして男が言うのもなんですがセクシーですな。音がややこもっているのですが、聴きなれると気になりませんし、ピッキング・ハーモニクスが厚雲の中で光る稲妻みたいで逆に雰囲気いいです。ちなみに筆者が聴いているのはオリジナル盤。リマスター盤だと音は良くなっているのかもしれませんが未確認です。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Riot (John Sykes)
02. Sex Child (John Sykes)
03. Valley of the Kings (John Sykes/Tony Martin)
04. Jelly Roll (John Sykes)
05. Blue Murder (John Sykes/Tony Franklin/Carmine Appice)
06. Out of Love (John Sykes)
07. Billy (John Sykes)
08. Ptolemy (John Sykes)
09. Black-Hearted Woman (John Sykes/Tony Franklin/Carmine Appice)

■Personnel
John Sykes - guitars, lead & background vocals
Tony Franklin - bass guitar, background vocals
Carmine Appice - drums, background vocals

Nik Green - keyboards
John Webster - additional keyboard progrmming
Mark LaFrance - additional background vocals
David Steele - additional background vocals

Producer - Bob Rock

Blue Murder (reissue)
Blue Murder
Rock Candy
2013-04-19

Please Don't Leave Me / John Sykes (1982/1992)

142Please Don't Leave Me









ジョン・サイクスがタイガース・オブ・パンタン脱退後に、シン・リジィーのフィル・リノットの協力を得て録音した1982年ソロ・シングル"Please Don't Leave Me"に、同曲のショート・バージョン、インスト・バージョン、さらにタイガース・オブ・パンタンのシングル曲やライブをオマケにつけて1992年にリリースされたアルバム。タイガース・オブ・パンタンの粗い演奏は、今となってはNWOBHMの勢いを伝える資料的価値しかありませんが、プリティ・メイズもカヴァーした珠玉の名曲"Please Don't Leave Me"1曲だけで手放せない1枚です。この曲のメロディの美しさ、フィル・リノットの哀しみを湛えたボーカル、ジョン・サイクスの情感溢れる泣きのギター、何度聴いても胸に迫るものがあります。シン・リジィーのブライアン・ダウニー(ds)とダレン・ウォートン(key)もレコーディングに参加しており、この後すぐにジョン・サイクスはシン・リジィーに加入するので、新生シン・リジィーの先駆け的な位置づけの1曲です。(星3つはアルバムとしての評価であって、"Please Don't Leave Me"そのものはもちろん星5つです)

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Please Don't Leave Me (Original Version) (J. Sykes/P. Lynott)
02. Don't Take Nothing (Tygers of Pan Tang)
03. Bad Times (Tygers of Pan Tang)
04. All or Nothing (Tygers of Pan Tang)
05. Don't Give a Damn (Tygers of Pan Tang)
06. Please Don't Leave Me (Short Version) (J. Sykes/P. Lynott)
07. Slave to Freedom (Live) (Tygers of Pan Tang)
08. Raised on Rock (Live) (Tygers of Pan Tang)
09. Paradise Drive (Tygers of Pan Tang)
10. Love Potion No.9 (Tygers of Pan Tang)
11. Please Don't Leave Me (Instrumental Version) (J. Sykes/P. Lynott)

■Personnel
John Sykes – guitars
Philip Lynott – vocals, bass guitar
Brian Downey – drums
Darren Wharton – keyboards 

プリーズ・ドント・リーヴ・ミー
フィル・ライノット
ユニバーサル ミュージック
2016-05-18

 
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