メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

Crossfade

Carousel / Crossfade (2018)

0383Carousel









スウェーデンのセッション・ミュージシャン、ラース・ホールバック(gt)とリチャード・ステンストロム(key)、そしてヨラン・エドマン(vo)によるAORプロジェクトCrossfadeの3枚目のアルバム。前作から7年ぶりで、今回は5曲入りのミニ・アルバムです。バックを務めるリズム・セクションはヨハン・グランストロム(b)、フェリックス・レーマン(ds)、アンドレアス・エクステッド(per)に入れ替わり、ホーン・セクションのメンツもかなり変更されています。

内容はこれまで同様のSteely DanやTOTOを下敷きにしたAORですが、ひんやりとした空気感がやはり北欧を感じさせます。今回は過去のアルバムに比べて少しジャズっぽさが増した印象です。相変わらずの色彩感覚に溢れた極上の楽曲、繊細なアンサンブル、ため息が出るほどの見事な演奏、そして円熟の境地に達したヨラン・エドマンの歌唱、すべてが絶品!今回はピアノがフィーチャーされる場面が多く、これがまた洒落ていて心地良いことこの上ありません。このバンドには珍しくブルージーな#5"Love of Mine"は「いぶし銀」という言葉そのままで、とりわけ心に深い印象を残します。ちなみにCarousel(カルーセル)というのはメリー・ゴーラウンド(回天木馬)のこと。ジャケットに描かれた幻想的な回天木馬のイラストが音楽にぴったりだと思いました。

唯一残念なのは曲数の少ないミニ・アルバムであること。リリースの間隔が開いているので出来ればフル・アルバムで出して欲しかったな。ただ、インナー・スリーヴの最後に、このアルバムは三部作の最初の作品で、Innocent DaysFalling Upwardsというアルバムが続くと告知されているのが嬉しかったです。あんまり待たせないで早く出してね!

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Carousel
02. Taking Me Home
03. Let the Sunshine In
04. Dancing in the Moonlight
05. Love of Mine
Music : Lars Hallbäck, Richard Stenström, Göran Edman
Lyrics : Eva Olsson

■Personnel
Göran Edman - vocals, background vocals
Richard Stenström - all keyboards
Lars Hallbäck - all guitars
Anneli Axon - background vocals
Felix Lehmann - drums, percussion
Andreas Ekstedt - percussion
Johan Granström - all bass guitars

Wojtek Goral - saxophone
Magnus Wiklund - trombone
Peter "noos" Johansson - trombone
Stefan Persson - trumpet
Magnus Johansson - trumpet
Fat Cat Strings, UK - strings

Producer - Lars Hallbäck, Richard Stenström
Executive Producer - Lars Hallbäck

Carousel
Crossfade
Sound Pollution
2019-03-21

Secret Love / Crossfade (2011)

0309Secret Love









スウェーデンのAORプロジェクトCrossfadeの7年ぶりの2ndアルバムです。参加者は、サポート・メンバーの一部が異なるだけで前作とほとんど変わらず、中心人物のラース・ホールバック(gt)とリチャード・ステンストロム(key)に加え、ペール(ds)&スヴェン(ba)のリンドヴァル兄弟、ヨラン・エドマン(vo)という布陣。いずれも数多くの仕事をこなしてきた腕利きのセッション・ミュージシャンです。曲作りは前作同様ラース・ホールバックとリチャード・ステンストロムが中心となり、それにヨラン・エドマンが加わっているようです。

1曲目のイントロがジョー・ヘンリーっぽく気だるい雰囲気で、おや、今度はそういう趣向かと思わせます。しかし、曲が展開すると結局前作と同様のSteely DanやTOTOをお手本にしたようなAORでした。凝ったアレンジ、神経の行き届いたアンサンブルは相変わらず。派手さは無いものの高い技術とセンスに裏打ちされたプレイ、丁寧で味わい深い歌唱、とにかく全て絶品です。前作に比べポジティヴな明るさをより感じさせるのが本作の特徴でしょうか。筆者としては何度聴いても味わいが増す名作だと思いました。HR/HM要素は皆無ですが、高品質なメロディック・ロックであることは間違いないので、メロハー・ファンが聴いて損することはないでしょう。なお、本作はCDとDVDの2枚組みで発売されていますが、DVDに映像は無くCDと同じ音源がDVD-Audioで収録されています。

蛇足ですが、YouTubeにあったThe making of Secret loveというビデオで、このアルバムのレコーディング風景が紹介されていて、これが中々興味深いです。今はハードディスクに録音しているものと思ったら、オープンリールのテープを使っていたのが意外でした。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. A Wonderful Illusion
02. Secret Love
03. Brave New World
04. Closer to the Fire
05. Don't Ask Me Why
06. Heart of a Hero
07. Waiting for a Miracle
08. Seconds and Eons
09. Borrowdale
10. In My Mind
11. Borrowdale (Reprise)
Music : Lars Hallbäck, Richard Stenström, Göran Edman
except "Borrowdale"  Lars Hallbäck, Richard Stenström
Lyrics : Eva Olsson

■Personnel
Göran Edman - vocals, backing vocals
Sara Lindvall - backing vocals
Hanna Andersson - backing vocals
Per Lindvall - drums, percussion
Sven Lindvall - bass
Richard Stenström - keyboards
Lars Hallbäck - guitars
Pablo Cepeda - congas, bongos
Wojtek Goral - saxophone
Leif Lindvall - trumpet
Hans Dyvik - Trumpet
Magnus Johansson - Trumpet
Urban Wiborg - trombone
Peter Johansson - trombone
Kalle Moraeus - Violin
Mats Ronander - Harmonica

Producer - Lars Hallbäck, Richard Stenström

Secret Love [CD+DVD Audio]
Crossfade
SONGWORK MUSIC
2011-12-10




White on Blue / Crossfade (2004)

139White On Blue









クロスフェイドはスウェーデンのベテラン・セッションマン、ラース・ホールバック(gt)とリチャード・ステンストロム(key)が中心となって結成されたAORプロジェクトです。リズム隊はペール(dr)&スヴェン(ba)のリンドヴァル兄弟で、やはりABBAなどのバックを勤めたベテランの裏方。そしてボーカルは、Yngwie Malmsteenをはじめ数々のHR/HMバンド、プロジェクトで引っ張りだこのヨラン・エドマン。このクロスフェイドは、プロジェクトとは言っても、曲作りも演奏も全て同じメンバーで行なわれており、この後2ndアルバムも出しています。世の中にはライブをやらないバンド、曲作りは外部ライター中心のバンド、セッション・ミュージシャン大動員でレコーディングするバンドもいるわけで、こうなると「バンド」と「プロジェクト」の境目は曖昧ですね。

ヨラン・エドマンが歌っているからと、ちょっとはHR/HMっぽい音を期待すると完全な肩透かしを食います。この作品は純然たるライトAORで、本場LAのバンド顔負けのウェストコースト・サウンドです。でもどこか透明感や清涼感が感じられるのがスウェーデンっぽいのかな。曲調はメロハー寄りのものからスティーリー・ダン風のものまで、割とバラエティに富んでいます。ここでのヨラン・エドマンの歌唱は、軽やかでありながら熟成された深い味わいがあって絶品です。そして、バンドの演奏の素晴らしいことと言ったらありません。長年のキャリアを感じさせる職人芸的プレイ、繊細なアレンジ・センス、聴き込むほどに味が出る一級品です。あくまで心地よさを提供することに徹し、さりげなく高い水準の音を生み出す、まさにプロの仕事だと思いました。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. The Day the Music Died
02. Did You Really?
03. Vanity Fair
04. Flying
05. A Deeper Shade of Love
06. Thorns of Life
07. Loving Eyes
08. Time
09. Don't Really Matter
10. You
Music : Lars Hallbäck, Richard Stenström, Göran Edman
Lyrics : Eva Olsson

■Personnel
Göran Edman - vocals, backing vocals
Richard Stenström - keyboards, loops, programming, string arrangements
Lars Hallbäck - guitars, loops, programming
Per Lindvall - drums, percussion
Sven Lindvall - bass

Pablo Cepeda - congas, bongos
Wojtek Goral - tenor saxophone
Urban Wiborg - trombone
Leif Lindvall - trumpet, horn arrangements
Hans Dyvik - Trumpet
Nina Inhammar - backing vocals

Producer - Lars Hallbäck, Richard Stenström 

White On Blue
Crossfade
Rivel Records
2012-02-06

   
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