0386Precious Ones









UKメロハー・バンドTenのゲイリー・ヒューズの3枚目のソロ・アルバム。リリースは1998年、既にTenの活動は始まっていて、3rdThe Robeと4thSpellboundの間の時期ということになります。音的にはややソフトでAOR色が強いものの、ほとんどTenと変わりません。全曲をゲイリー・ヒューズが書き、基本トラックの録音はTenのヴィニー・バーンズ(g)とグレッグ・モーガン(ds)とゲイリー・ヒューズによって行なわれているので、当然と言えば当然です。また、追加ミュージシャンとしてMilleniumのラルフ・サントーラとトッド・プラントの名前があって「おやっ」と思いますが、どこに参加しているのかはよく分かりません。

本作のハイライトはなんと言っても#1"In Your Eyes"でしょう。哀愁に満ちたメロディとメランコリックな歌声が聴く者の胸に迫ります。ゲイリー・ヒューズの長所が100%発揮されており、ソロ作、Tenを通じてベストの部類に入る名曲だと思います。サビの部分でモータウン風にドラムが倍になるかと思いきやそのままで、一方ベースは終始トットットットッと倍で刻んでおり、これでのっぺりしたバラードにならずに躍動感が出ているのが心憎い。弾いているのはゲイリー・ヒューズ自身です。上手いですね~。その他も、不思議な浮遊感のあるアンサンブルがカッコいい#2"Don't Ever Say Goodbye"、まるっきりTen風のハードなナンバー#4" Give My Love a Try"、#5"Divided We Fall"、ヴィニー・バーンズが泣きまくるスローなブルースロック#11"Heart of a Woman"などは申し分の無い出来だと思います。その一方でバラード曲#3"The Colours of My Life"、#6"The Night the Love Died"、#12"Precious Ones"は、ベタ過ぎと言うかありがちと言うか通俗的と言うか、あまり感心できません。加えて、予算の関係もあるでしょうが、せめてバラードでは「ピアノ音」「ストリングス音」ではなく本物のピアノとストリングスを使ってほしいと思いました。

なお、本作と2ndソロ作Gary Hughesのカップリング盤が2000年に発売され、こちらにはボーナス・トラックとして#13"The Miracle Is You"、#14"Be My Fantasy Tonight"、#15"All Fall Down"の3曲が収録されています。いずれもオリジナル盤未収録で日本盤EPIn Your Eyesだけに収録されていたものです。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. In Your Eyes
02. Don't Ever Say Goodbye
03. The Colours of My Life
04. Give My Love a Try
05. Divided We Fall
06. The Night the Love Died
07. First Light (Instrumental)
08. Wrecking Machine
09. Perfect Ten
10. This Time
11. Heart of a Woman
12. Precious Ones
13. The Miracle Is You [bonus track]
14. Be My Fantasy Tonight [bonus track]
15. All Fall Down [bonus track]
All songs written by Gary Hughes

■Personnel
Gary Hughes - Vocals. Keyboards, Bass Guitars, Guitars
Vinny Burns - Guitars
Greg Morgan - Drums

Todd Plant - Backing Vocals
Jason Thanos - Backing Vocals
Mark 'Kiske' Ashton - Backing Vocals
Ray Brophy - Backing Vocals
Aziz Ibrahm - Guitars
Ralph Santolla - Guitars

Producer - Gary Hughes
Precious Ones
Gary Hughes
Frontiers

ゲイリー・ヒューズ+プレシャス・ワンズ
ゲイリー・ヒューズ
ユニバーサル インターナショナル
2000-09-27