0373Another Destination









1995年にリリースされたジョン・ノーラムの3枚目のソロ・アルバムです。1stTotal Controlと2ndFace the Truthはオーセンティックなハードロック・アルバムでしたが、今回は一言で言うとヘヴィ・ブルース・ロック。ブルージーで陰りのあるずっしり重いサウンドです。ブルージーと言っても黒人ブルースからの直接的な影響は感じられません。60年代中期から70年代初頭のブリティッシュ・ブルース、その影響下で90年代に一連のブルース・アルバムを残したゲイリー・ムーア、この流れに位置づく音楽です。当然ギター・ソロはこれまで以上にペンタトニック主体になっていますが、ゲイリー・ムーア張りに弾きまくり倒しています。そう言えば、クレジットに"This Album is Dedicated to Gary Moore"とありますね。レコーディングは、ベーシック・トラックはせーので一発録り、そこにボーカルやソロを被せたとのこと。そのせいか全体にライブっぽい生々しさがあってカッコいいです。

今回ボーカルに起用されたのはケリー・キーリング(Baton Rouge)、Blue Murderの2ndで1曲歌ったあの上手い人です。ジョン・ノーラムのボーカルももちろん悪くないけれど、もうちょっとケリー・キーリングの歌う曲が多くても良かったような気がします。考えてみると、フィル・リノットとゲイリー・ムーアへの傾倒といい、ケリー・キーリングの起用といい、ジョン・ノーラムとジョン・サイクスは共通点ありますね。名前もジョンで同じだし。それはそれとして、このアルバムの重い、暗い、ブルース色が強いという特徴は、これ以降のソロ作の基本路線となり、再結成Europeにも持ち込まれることになります。筆者はこういう音は大好きなのですが、通しで聴くとちょっと重すぎ、暗すぎな感じもします。また、過去2作と比べるとどうしても地味でワクワク感は一歩譲るという印象が否めません。

01. Inside (John Norum, B. & A. Lorber, Michelle Meldrum)
オープニングから本作を象徴するような、ヘヴィでダークでブルージーな曲です。ボーカルはジョン・ノーラム。"Inside those eyes I can see"と歌うところが、映画に出てくる気色悪い中国人みたいでなんか嫌だな。

02. Resurrection Time (John Norum, Kelly Keeling, A. & B. Lorber)
ヘヴィなリフガ印象的なハードロック。これはいいですね。ボーカルはケリー・キーリングで彼のエモーショナルな歌唱が堪能できます。ギター・ソロも抜群にカッコいい!

03. Strange Days (Steve Marriott)
Humble Pieの1971年のアルバムRock On収録曲のカバー。渋いとこ持ってきますな。ボーカルはジョン・ノーラム。結構いい線いっています。オリジナルのギターはピーター・フランプトンなのでクールですが、こちらはブルージーに熱くガンガン弾きまくっています。

04. Spirit World (John Norum, Kelly Keeling, Scott Bender)
WingerとかLAメタル・バンドとかがやりそうな重いグルーヴのミドル・チューン。ボーカルはケリー・キーリング。

05. Shimmering Highs (John Norum)
叙情的なテーマと、弾き過ぎなほどのソロが印象的なインスト曲。ワウペダルによるトーン・コントロールもさすがにカッコいいです。ゲイリー・ムーア+マイケル・シェンカーといった感じかな。

06. Whose Side Are You On? (John Norum, Kelly Keeling)
ミドル・テンポのブルージーなハードロックで、ボーカルはケリー・キーリング。これも佳曲ですね。

07. Sunshine of Your Love (Jack Bruce, Peter Brown, Eric Clapton)
今やハードロックのスタンダードとなった、Creamの代表曲の一つ。半世紀以上も前の曲とは思えないカッコよさがあります。本作ではオリジナル以上にヘヴィでサイケなアレンジで聴かせます。歌っているのはジョン・ノーラム。

08. Catalina Sunset (John Norum, Billy White)
アコースティック・ギターによる静かなインスト曲です。タイトル通り夕陽の落ちる情景が目に浮かぶような名演。

09. Half Way Home (John Norum, Kelly Keeling)
ジョン・ノーラムがボーカルを担当しているハードなスピード・チューン。歌メロとかはちょっと末期のThin Lizzyつぽいかな。やっぱりギター・ソロが凄まじいです。

10. Healing Rays (John Norum, Kelly Keeling)
オリエンタル調というのか、不思議な雰囲気のメロディが印象的なミドル・テンポの曲。ボーカルはケリー・キーリング。

11. Jillanna (John Norum, Billy White)
アルバムの最後を締めくくるのは穏やかなアコギ・インスト。Don DokkenのUp From the Ashesで共演したビリー・ホワイトが作曲とギターで参加しています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
John Norum - Vocals, Guitar, Acoustic Guitar (#11)
Kelly Keeling - Vocals, Keyboards
Tom Lilly - Bass Guitar
Gary Ferguson - Drums

Billy White - Acoustic Guitar (#11)
Ramin Sakurai - Organ (#3)

Producer - Wyn Davis, John Norum
Executive Producer - Mike Varney