0213Prisoners in Paradise









スウェーデンを代表するHR/HMグループの一つであるヨーロッパの5枚目のアルバムです。アメリカ市場を意識した3rdThe Final Countdown の大ヒットで一躍スターダムにのし上がったヨーロッパは、ジョン・ノーラムの脱退という代償を払いながら、原点である北欧メタル・サウンドからの脱却を図り、更なる成功を目指して4ttOut of This World で徹底的なポップ化を推し進めました。しかし、狙いは外れてセールスはThe Final Countdown には及ばず、起死回生をかけて制作されたのが本作Prisoners in Paradise ということになります。結果は前作以上のセールス不振で、全米ゴールド・ディスク(50万枚)止まり。とは言っても、The Final Countdown の300万枚、Out of This World の100万枚と比べれば落ちてはいるけれど、今の感覚からすると結構売れてるじゃんって思いますが。いずれにしても、本作の不振、不評はついにバンドを解散に追い込むことになります。ご多分に漏れずヨーロッパも後に再結成しますが、筆者はどのバンドでも最初の解散でその生命は尽きたものと考えています。ほとんどのロック・バンドは再結成後の方が長続きしますが、それってつまり「大人の事情」を端的に示しているわけで。

閑話休題。ヨーロッパのラスト・アルバムとなったPrisoners in Paradise 、ポップ化を軌道修正して前作よりハードになっています。ボー・ヒルを起用してのサウンド・プロダクションも、前作の過剰なまでのゴージャス指向から一転して、緻密ではあるもののシンプルな音像。リリース当時、アメリカのバンドの音になってしまったという批判もあったようですが、むしろ前作よりアメリカ色は薄れているのではないかと感じます。1曲目の"All or Nothing"がモロLAメタルだったり、外部ライターが多数参加したりしているので、「アメリカナイズ」という評価があったのかもしれません。しかし、そもそもエリック・マーティンやフィオナ、ジム・ヴァランスなど外部ライターが関わっているのは、歌詞の一部、それと曲の一部をバンド・メンバーと共作しているというのがほとんどです。まあ、いずれにしてもジョーイ・テンペストが能天気に「ナ~ナ~ナナナ~」とか歌ったり、妙にブルージーな歌いまわしをするのに、拭いがたい違和感があるのは確かですが。

本作のリリースから4半世紀近く経っており、あらためてじっくり聴いてみれば、LAメタルっぽい数曲を除いて名曲・佳曲揃いだと筆者は思います。#6"Seventh Sign"、#11"'Til My Heart Beats Down Your Door"、#12."Girl From Lebanon"、これらはホワイトスネイク的なブリティッシュ・ハード風味でシビれます。ボブ・ディランやイアン・ハンターを思わせる歌いまわしの#7"Prisoners in Paradise"と#9"Homeland"もいい曲です。泥臭い#10"Got Your Mind in the Gutter"だって、過去のヨーロッパを忘れて聴けば十分カッコいい。何故かボーナス・トラック扱いの#13"Break Free"は出色の正統派ハードロックだし、#14" Yesterday's News"はジミヘン風リフとグルーヴが最高。全体に演奏も充実しており、特にキー・マルセロのギターはよく歌っています。名盤とまでは言えないにしても、優れたハードロック・アルバムであることは間違いないでしょう。90年代初頭アメリカでHR/HMそのものが売れなくなっていく状況の中、このバンドも栄光の頂点から一転して、苦戦を強いられることになり結局解散に至るわけで、なんとも同情を禁じえません。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. All or Nothing (Words by E. Martin/A. Pessis/J. Tempest, Music by J. Tempest)
02. Halfway to Heaven (Words and  Music by J. Tempest/J. Vallance)
03. I'll Cry for You (Words and  Music by J. Tempest/N. Graham)
04. Little Bit of Lovin (Words by J. Tempest, Music by J. Tempest/K. Marcello)
05. Talk to Me (Words by J. Tempest/M. Michaeli, Music by M. Michaeli/J. Tempest)
06. Seventh Sign (Words by J. Tempest, Music by K. Marcello/J. Tempest/M. Michaeli)
07. Prisoners in Paradise (Words and  Music by J. Tempest)
08. Bad Blood (Words by J. Tempest/M. Michaeli, Music by K. Marcello/J. Tempest)
09. Homeland (Words by J. Tempest/M. Michaeli, Music by J. Tempest/M. Michaeli/K. Marcello)
10. Got Your Mind in the Gutter (Words by J. Tempest/B. Hill, Music by K. Marcello/B. Hill)
11. 'Til My Heart Beats Down Your Door (Words by B. McDonald/Fiona, Music by J. Tempest/M. Michaeli)
12. Girl From Lebanon (Words and  Music by J. Tempest)
13. Break Free [Japanese Bonus Track] (Words by J. Tempest, Music by K. Marcello/J. Tempest)
14. Yesterday's News [Japanese Bonus Track] (Words by J. Tempest, Music by Europe/I. Haugland)

■Personnel
Joey Tempest – vocals
Kee Marcello – guitars
Mic Michaeli – keyboards
John Levén – bass
Ian Haugland – drums

Nate Winger – background vocals
Paul Winger – background vocals

Producer - Beau Hill