0207Alien1988










スウェーデンのメロハー・バンドAlien(エイリアン)の1988年にリリースされたデビュー・アルバム。時を経てもいまだに名盤の誉れ高い傑作中の傑作です。まず第一に楽曲が素晴らしい。どの曲にも極上のメロディが溢れています。収録された12曲全てが名曲なんていうアルバムはそうそう無いでしょうね。第二に、ジム・ジッドヘッドの優しく包み込むような声、味わいのある歌唱が絶品です。まさにメロハー世界の九蓮宝燈、これを聴かずにメロディアス・ハードロックは語れないってくらいの伝説的作品でしょう。難点はこもり気味の音質と、ダントツのダサさのジャケット。ですが、それらさえ「味」の一つと感じてしまいます。メンバーはボーカルのジム・ジッドヘッドの他に、トニー・ボルグ(Gt)、ケン・サンディン(Ba)、ジミー・ワンドロフ(Key)、トビー・タラック(Ds)の5人。

本作には外部ライターが全面的に起用されています。HR/HM系グループとしては異色ですが、結果としてそれが楽曲の充実につながっていると思います。特に、カヴァー曲"Only One Woman"以外の全ての曲に関わっている、L.Aのソング・ライティング・コンビ、パメラ・ムーア・バーロウとジャネット・モリソン・ミントの才能は素晴らしい。自分たち自身もソロ、あるいはFake I.D.というグループで活躍しており、2014年オリジナル・ラインナップでのAlienの新作Eternity でも再び曲作りに参加しています。なお、トリビア的になりますが、ジャネット・モリソン・ミントはヴァン・モリソンの元妻です。

このアルバムのリリースの翌年、ジャケットを変え一部の曲を差し替えたリミックス(USエディション)盤がワールドワイドで発売されます。氷山ジャケのオリジナル(スカンジナヴィア・エディション)盤、人面ジャケのリミックス盤ともに長らく中古市場で高値安定状態が続いていました。2013年に2枚をカップリングし、ボーナス・トラックとして"Feel My Love"と"Touch My Fire"の別バージョンを収録したAlien -25th Anniversary Edition が発売され、入手困難だったこの名作もやっと手に入りやすくなりました。 

■01. Brave New Love
(Gary Cambra/Pam Barlow/Janet Minto)
1988年のSF映画「The Blob」(「ブロブ/宇宙からの不明物体」)のサウンド・トラックに使われた曲。ゆったりしたテンポ、適度にハードなサウンド、ジム・ジッドヘッドのソウルフルなボーカルが心地よい、メロディアスなナンバー。
■02. Tears Don't Put Out the Fire
(Pam Barlow/Janet Minto)
1曲目よりさらにテンポを落としたAOR風の味わいのある曲。サビのメロディがとにかく素晴らしい。女性バック・コーラス、ふんわりしたキーボードがいい雰囲気です。
■03. Go Easy
(Brad Bailey/Patrick Regan/Pam Barlow/Janet Minto)
ややテンポの速い哀愁ハード・ポップ。名曲ぞろいの本作の中でも一、二を争う出来です。一度聴いたら忘れられないメロディ、情感のこもったボーカル、緩急あるギター・ソロ、計算され尽くしたコーラス・アンサンブル、全てに唸らざるを得ません。当時のPVを見ると、見事なオッサンと化した現在からは想像できないほどみんな若々しくてカッコいい!
■04. I've Been Waiting
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
再びミドル・テンポの哀愁メロハー。ここでも、艶やかなジム・ジッドヘッドのボーカルがメロディの良さをさらに引き立てています。トニー・ボルグのギターは、テクニカルでありながら歌心に溢れています。ラストでフェイド・アウトしていくフレーズも印象的。
■05. Jaime Remember
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
引き続きミドル・テンポのナンバー。ほんの少し「様式美」的要素の入った曲です。他の曲でもそうですが、自己主張は強くないものの、さりげなく漂う優しいキーボードの音がなんともいい感じです。
■06. Feel My Love
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
これも「The Blob」のサントラ曲です。本作の中では一番力強くハードな曲。歌メロ、ギター・ソロともにメロディアスで、哀愁と北欧的透明感が際立っています。
■07. Only One Woman
(Barry Gibb/Maurice Gigg/Robin Gibb)
穏やかで深みのあるジム・ジッドヘッドの声の力が遺憾なく発揮されたバラード。元々はイギリスのロック・デュオThe Marblesの1968年のヒット曲で作者はBee Gees。The Marblesにはグラハム・ボネットが在籍していて、1986年のAlcatrazzのアルバムDangerous Games でも再びレコーディングされています。Alienはこの曲をシングル・リリースしており、スウェーデンのチャートで1位を記録するヒットとなっています。
■08. Wings of Fire
(Brad Bailey/Patrick Regan/Pam Barlow/Janet Minto)
本作中では異色な明る目のハード・ポップ。ここでもキラキラ系キーボードと女性バック・コーラスが効果的に使われています。
■09. Dying by the Golden Rule
(Pam Barlow/Janet Minto)
ミドル・テンポの哀愁ハード・ポップ。サビのメロディがイキイキしていて、筆者の一番のお気に入りの曲です。投げやりっぽい女性バック・コーラスがおかしくて、何度聴いてもニヤニヤしてしまいます。
■10. Touch My Fire
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
地味目のヴァースとドラマチックなコーラスの対比が印象的な曲。トニー・ボルグのギターもよく歌っています。
■11. Dreamer
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
本作唯一のアップ・テンポでメタル要素の強い曲です。北欧メタルのイメージ通りの叙情的なメロディ展開、ドラマチックなギター・ソロが素晴らしい。
■12. Mirror
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
静謐なピアノをバックにジム・ジッドヘッドが歌い上げるバラード。アルバムのラストを飾るにふさわしい感動的なナンバーです。余韻に浸りつつもついつい、最初に戻ってまた聴きはじめることになってしまいます。。。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
Jim Jidhed – vocals
Tony Borg – guitars
Ken Sandin – bass
Jimmy Wandroph - keyboards
Toby Tarrach – drums

Producer - Chris Minto