0173Four The Hard Way









デンジャー・デンジャーのメンバー・チェンジ後2枚目、通算4枚目のアルバム。リリースは日本が一番早く1997年9月、欧州盤が10月、米国盤は翌98年3月となっています。メンバーは前作Dawnと同じく、ブルーノ・ラヴェル(b、gt)、スティーヴ・ウエスト(ds)、ポール・レイン(vo)の3人という変則的な編成。ただし、本作ではバンドを離れたアンディ・ティモンズ(gt)とケイシー・スミス(key)が一部の曲に参加しています。1stのギタリスト、トニー・ブルーノ・レイが共同プロデューサーとして名を連ねているのは前作と同じです。

前作ではグランジ・ブームに便乗したサウンドにがっかりさせられましたが、このアルバムではいわゆる「モダン」なヘヴィさは残るものの、とって付けたような暗さはほとんど消えました。グランジ/オルタナというのは、少なくとも初期のバンドにはそういう音楽表現を選ぶ内的必然性があるわけで、ただ流行っているから真似しました的なHR/HM系バンドは、こういう音楽を好んで聴くファンにもHR/HMファンにも相手にされないのは当然だと思うのです。デンジャー・デンジャーが素早く再度の転身を図ったのは正解だと思います。

本作で特筆すべきは、キャッチーでポップな楽曲が増えたこと、しかも初期のようなお気楽な感じには戻っていないことです。エッジの立ったサウンドにポップなメロディ、大人のハード・ポップ路線、いや~、むしろ1stや2ndよりいいじゃないですか。それから、ブルーノ・ラヴェルのギターもすごく良いのですが、やっぱりアンディ・ティモンズのテクニカルかつ歌心あるソロ(#1、2、5、8)は最高です。#1"Still Kickin"、 #2"Sick Little Twisted Mind"、#7"Goin' Goin' Gone"、#8"Afraid of Love"はお蔵入りとなった幻の3rdアルバムCockroach収録曲の再録音ですが、"Still Kickin"のソリッドでハードなサウンド、"Goin' Goin' Gone"の哀愁メロディは特に素晴らしいです。米国盤のみのボーナス・トラック"Comin' Home '98"は2ndScrew It!収録曲のポール・レイン・バージョン、これがまた大人っぽくて良いのです。何度聴いても飽きることはなく、聴くたびに味わいが増す、これはまごうことなき傑作アルバムでしょう。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Still Kickin'
02. Sick Little Twisted Mind
03. Jaded *
04. Captain Bring Me Down *
05. Goin' All the Way
06. The Girl Ain't Built to Sleep Alone
07. Goin' Goin' Gone
08. Afraid of Love
09. Heartbreak Suicide *
10. I Don't Need You
11. Comin' Home '98 [bonus]
All songs written by B.Ravel/S.West except * written by P.Laine 

■Personnel
Paul Laine – lead & background vocals, acoustic guitar, wah wah guitar
Bruno Ravel – bass, lguitar, keyboards, lead & background vocals
Steve West – drums, percussion

Andy Timmons - guitar, background vocals
Kasey Smith - keyboards

Producer - Bruno Ravel, Steve West, Paul Laine
Co-Producer - Tony "Bruno" Rey 

Four the Hard Way
Danger Danger
Low Dice
1999-01-26