139White On Blue









クロスフェイドはスウェーデンのベテラン・セッションマン、ラース・ホールバック(gt)とリチャード・ステンストロム(key)が中心となって結成されたAORプロジェクトです。リズム隊はペール(dr)&スヴェン(ba)のリンドヴァル兄弟で、やはりABBAなどのバックを勤めたベテランの裏方。そしてボーカルは、Yngwie Malmsteenをはじめ数々のHR/HMバンド、プロジェクトで引っ張りだこのヨラン・エドマン。このクロスフェイドは、プロジェクトとは言っても、曲作りも演奏も全て同じメンバーで行なわれており、この後2ndアルバムも出しています。世の中にはライブをやらないバンド、曲作りは外部ライター中心のバンド、セッション・ミュージシャン大動員でレコーディングするバンドもいるわけで、こうなると「バンド」と「プロジェクト」の境目は曖昧ですね。

ヨラン・エドマンが歌っているからと、ちょっとはHR/HMっぽい音を期待すると完全な肩透かしを食います。この作品は純然たるライトAORで、本場LAのバンド顔負けのウェストコースト・サウンドです。でもどこか透明感や清涼感が感じられるのがスウェーデンっぽいのかな。曲調はメロハー寄りのものからスティーリー・ダン風のものまで、割とバラエティに富んでいます。ここでのヨラン・エドマンの歌唱は、軽やかでありながら熟成された深い味わいがあって絶品です。そして、バンドの演奏の素晴らしいことと言ったらありません。長年のキャリアを感じさせる職人芸的プレイ、繊細なアレンジ・センス、聴き込むほどに味が出る一級品です。あくまで心地よさを提供することに徹し、さりげなく高い水準の音を生み出す、まさにプロの仕事だと思いました。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. The Day the Music Died
02. Did You Really?
03. Vanity Fair
04. Flying
05. A Deeper Shade of Love
06. Thorns of Life
07. Loving Eyes
08. Time
09. Don't Really Matter
10. You
Music : Lars Hallbäck, Richard Stenström, Göran Edman
Lyrics : Eva Olsson

■Personnel
Göran Edman - vocals, backing vocals
Richard Stenström - keyboards, loops, programming, string arrangements
Lars Hallbäck - guitars, loops, programming
Per Lindvall - drums, percussion
Sven Lindvall - bass

Pablo Cepeda - congas, bongos
Wojtek Goral - tenor saxophone
Urban Wiborg - trombone
Leif Lindvall - trumpet, horn arrangements
Hans Dyvik - Trumpet
Nina Inhammar - backing vocals

Producer - Lars Hallbäck, Richard Stenström 

White On Blue
Crossfade
Rivel Records
2012-02-06