0120Nothings Changed









ジョー・リン・ターナーのソロ・アルバム第2弾。前作Rescue YouがRainbow解散後すぐの1985年のリリースですから、10年ぶりの2ndアルバムということになります。いや~この10年の間に色々ありました。80年代後半はイングヴェイ・マルムスティーンに引っ張られ、そして89年衝撃のパープル加入とアルバム1枚での脱退(解雇)、93年にジェフ・ワトソンやカーマイン・アピスとともにスーパーグループMother's Army結成。そんな激動の10年を経て制作された2ndソロは、1stとはずいぶん色合いの異なる作品となりました。前作はいかにも80年代っぽいゴージャス感溢れるハードポップでしたが、本作は70年代回帰的とも言えるナチュラルなロック・サウンドです。#1"Promise of Love"からいきなりBad Companyみたいなざっくりしたロックン・ロールだし、#6"Satisfy Me"は引きずるボーカルとうねるオルガンが最末期Freeを思わせます。必殺のバラード#4" Imagination"の切なさ、タイトル曲#9"Nothing's Changed"の土臭さ、ジョーの幼い娘リヴィアナの声をイントロに置いた#11"The Last Thing"のなんとも言えない優しい感じ、うーんどの曲もすばらしい!ジョーの声も渋みが増して歌唱力にも磨きがかかり、聴いていて全然飽きません。下記にあるようにバンドも手堅い巧者ばかりで演奏も非常に安定しており、これは文句のつけようのない名盤ですな。

このアルバムのレコーディング・セッション参加メンバーの中核は、ジョーがパープル脱退後にJoe Lynn Turner Bandとしてライヴを行っていてた頃のバンド・メンバーであるアル・ピトレリ(gt.)、グレッグ・スミス(b.)、ジョン・オライリー(ds)、ゲイリー・コーベット(key.)です。アル・ピトレリは極初期のDanger Danger、Alice Cooper、Asia、Widowmaker、Morning Woodなどでプレイしてきたギター職人で、2000年代に入ってからはMegadethのメンバーともなっています。グレッグ・スミスも一時期Alice Cooperのバンドに在籍し、その縁でピトレリと知り合いJoe Lynn Turner Bandに合流しました。それ以前には元Rainbow組のデイヴ・ローゼンタール、チャック・バーギのRed Dawnに参加したりしています。ジョン・オライリーは元々フュージョン系のドラマーで、ピトレリとCPR(Coven, Pitrelli, Reilly)というグループでアルバムをリリースしています。また、グレッグ・スミスとジョン・オライリーは、再結成Rainbow(1994年)のリズム隊としてリッチーにスカウトされています。ゲイリー・コーベットは、ジョーの1stソロでギターを担当した元Starzのボビー・メッサーノのアルバムや、Cinderella、最近ではNelsonなどのレコーディングに参加しているプレイヤー。デレク・シェリニアンはご存知Dream Theaterのキーボーディストですが、彼も一時期Alice Cooperのバンドにいて、ピトレリ、グレッグ・スミスと接点があったようです。最後にパーカッションのジェラルド・ヴェレス、この人はジミヘンのJimi Hendrix Experienceに参加して1969年のウッドストック・フェスに出演したという古強者。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Promise of Love (Turner/Tyler/Keys)
02. I Believe (Shwersky/Midnight/Cross/Gian)
03. Bad Blood (Turner/de Carvalho/Borrelli/Kowal)
04. Imagination (de Carvalho/Borrell/Lafalce)
05. Baby's Got a Habit (Turner/Byrd/Mohawk)
06. Satisfy Me (Shwersky/Cross)
07. All or Nothing at All (Turner/Pitrelli/Cross)
08. Save a Place (Turner/Sabu/House)
09. Nothing's Changed (Turner/Pitrelli/Held)
10. Liviana's Intro (Turner)
11. The Last Thing (Turner/Shwersky/Cross)
12. Let Me Love You Again (Turner/Pitrelli/Held/Brown)
13. Knock Knock (Turner/Pitrelli/Held)

■Personnel
Joe Lynn Turner – lead & background vocals
Al Pitrelli – guitars, keyboards
Greg Smith – bass
John O'Reilly – drums

Derek Sherinian – piano, keyboards (tracks 3, 7, 8, 11, 13)
Gary Corbett – keyboards (tracks 2, 5, 11, 12)
Wayne Hammerly – keyboards (tracks 4, 6, 9)
Gerardo Velez – percussion
Kati Mac, Nancy Bender, Elaine Caswell, Brit Savage, Liviana – background vocals

Producer - Al Pitrelli, Joe Lynn Turner
Executive Producer - Mark Wexler 

NOTHING’S CHANG
ジョー・リン・ターナー
ポニーキャニオン
1995-09-21