フィンランドのメロハー・バンド、プレイヤーの1stアルバム。このバンドについて全く知識がないので、国内盤のライナー・ノーツを参考にするしかありません。ボーカル&ギターを担当し、全曲のソング・ライティングとプロデュースも手がけているタパニ・ティッカネンがリーダーで、この人は80年代にはIC-Rock、90年代にはTannaというバンドで主にフィンランド国内で活動していたようです。プレイヤーはそのタパニ・ティッカネンと旧友のヤン・ヒュヴィラ(key)が中心となり、他のメンバーをオーディションで集めて結成。04年9月から地元フィンランドのオウルにあるスタジオでデビュー・アルバムのレコーディングを行い、Escapeレーベルとの契約を獲得しリリースに至ったとのこと。
音のほうはシン・リジィの影響が濃厚なメロディアスなハード・ロック。というか、ツインリードのハーモニー、リズム・ギターの刻み方、曲メロ、ボーカル・スタイル、まんまシン・リジィです。シン・リジィっぽい曲もあるというレベルではなく、アルバム丸ごとシン・リジィです。まあ、フィル・リノットの呪術的とも言うべきボーカル、一篇の詩のような歌の世界は唯一無二のものなので、あくまでサウンドの雰囲気が似ているということですが。なお、いつからかPhil Lynottを「フィル・ライノット」と表記するのが英語の発音に近いとされているようですが、筆者は古い人間なのでどうもピンと来ません。アイルランドでは「リノット」でないと通じないとか小耳に挟んだこともあるので、耳に馴染んだ「フィル・リノット」で押し通したいと思います。
閑話休題。で、プレイヤーのタパニ・ティッカネンですが、はっきり言って歌はあまり上手くありません。ただ、シン・リジィとフィル・リノットへのリスペクトと言うか、愛と言うか、そういうものがビンビン伝わってくるのです。どんなにモネマネしても本家を超えることはできないのは分かった上で、それでもやっている節があります。シン・リジィの音楽をメロハーと呼ぶのはためらいを感じますが、シン・リジィの叙情的な要素を抽出してメロハー化したような楽曲はとても魅力的です。このバンド、2005年にこの1stアルバムが出てからずっと音沙汰なかったのですが、今年(2012年)になってなんと7年ぶりに2ndがリリースされたのもうれしいニュース。まだ未聴ですが、いずれこのブログで取り上げたいと思っています。
評価 ★★★★☆
★★★★★ 傑作
★★★★☆ 秀作
★★★☆☆ 佳作
★★☆☆☆ 凡作
★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。■Tracks
01. Secrets of the Night
02. I've Been Loving You
03. Back on the Road
04. Running Wild in the Night
05. Any One With a Broken Heart
06. End of Time
07. He Never Gave It All
08. I Want You
09. Who Wants to Be Free Again?
10. Main Attraction
11. Caught in the Crossfire
12. Rock'n'Roll Heart [bonus]
All music & lyrics by Tapani Tikkanen
■Personnel
Markku Keski-Mäenpää - Lead Guitar & Background vocals
Mikko “Frank” Kuusiniemi - Lead Guitar & Background vocals
Jari Huvila – Keyboards
Eki Ekfors – Drums
Jaakko Pohjola - Bass
Tapani Tikkanen - Lead Vocals & Guitar
Producer - Tapani Tikkanen