0090Imaginator
1996年にリリースされたネルソンの3rdアルバム。2ndBecause They Can のレビューでも書いたように、元々1stAfter the Rain に続く2ndアルバムとして1992年に制作されたものですが、レーベル(Geffen)から仕上がりにクレームがついてお蔵入り。改めて録音した Because They Can  が2ndアルバムとしてリリースされ、本作はバンドがGeffenを離れた後立ち上げた自主レーベルStone Canyon Recordsからリリースされました。ちなみにStone Canyonとはネルソン兄弟の父親のカントリー・シンガー、故リッキー・ネルソンのバンド名です。

さて音のほうですが、Geffenからヘヴィすぎるだのダークすぎるだの、これじゃ売れないだの言われてリリース拒否された割には、大ヒットした1stと大きく路線が外れているとは感じられません。確かに1stよりエッジの立ったサウンドになっていますが、ダークだヘヴィだというのはほんの味付け程度のことで、本質的にはネルソンらしいポップ・フィーリングに溢れた分かりやすい音楽です。ただ、国家権力による情報操作、洗脳をテーマにしたコンセプト・アルバムということで曲間にいちいちSEが挿入されたりしているのは、ちょっとわずらわしい気もします。バンド・メンバーは1st、2ndと変わらず、マシュー・ネルソン&ガナー・ネルソン、ブレット・ガースド、ジョーイ・キャスカート、ポール・マーコビッチ、ボビー・ロック。常連メンバーの手堅くスリリングな演奏はいつものことですが、本作では特にボビー・ロックのドラムがワクワクするほどのカッコよさです。プロデュースはデヴィッド・J.ホルマン、ガイ・デファツィオ、ジョン・ボイランのサポートの下ネルソンズ自身が行っています。

このアルバム、曲数は全17曲と多いのですが、7曲はオーバーチュアと曲間のSEですので実質は10曲、そのうちオリジナル曲が9曲、カバーが1曲です。オリジナルはネルソンズ作のタイトル曲のインスト#17"Imaginator"を除いて、3組の外部ライターとネルソンズの共作となっています。外部ライターについて記しておくと、まず#3"Do You Believe in Religion?"、#10"Tell Me"、#15"Judas Mirror"の3曲のライティングに加わっているマイケル・ラファエルは、元ラフ・カット(Rough Cutt)のアミア・デラク(Amir Derakh)率いるジェイルハウス(Jailhouse)のギタリスト。元タフ(Tuff)のスティーヴィー・レイチェル(Stevie Rachelle)のソロ・アルバムなどにも参加しています。彼が関わっている3曲は、それぞれサウンドの違いはありますが、アルバムの中で一番オルタナ色が濃いというかちょっと内省的な雰囲気を持っています。次に、#4"Kiss Me When I Cry"、#6"Sooner or Later"、#7"We Always Want What We Can't Get"の3曲の共作者ジャック・ポンティ。その昔ジョン・ボン・ジョビとThe Restというバンドを組んでいたこともあるギタリストですが、むしろプロデューサー、ソングライターとして名の通った人物です。BonfireやAlice Cooperの曲も書いていて、メロハー、ハードポップ系に強いイメージがありますが、このアルバムで共作している3曲ともキャッチーでポップなメロディが素晴らしく、ネルソンズとの相性は一番良いように感じました。前作(次作?) Because They Can  で一番ポップだった"Won't Walk Away"も彼とネルソンズの共作です。3組目、#9"She Gets Down"、#14"We're All Alright"を共作しているのは、グラム・メタル・バンドEnuff Z'nuffのチップ・ズナフとドニー・ヴィー。共作曲はいかにもなロックン・ロールです。この3組のソング・ライターが関与していることもあって曲調はバリエーション豊かで飽きさせません。過去のアルバムもそうですが、ネルソンは外部ライターの起用が非常に上手いですね。最後にSweetのカバー#12"Action"ですが、筆者は元々この曲があんまり好きではないし、なんだかクイーンみたいにウルサイので無いほうが良かった。大体コンセプト・アルバムでなぜカバー?しかもなぜこの曲?意味不明です。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作 
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. On/Off
02. Sinners, Inc.
03. Do You Believe in Religion? (Michael Raphael, Gunnar Nelson, Matthew Nelson)
04. Kiss Me When I Cry (Matthew Nelson, Gunnar Nelson, Jack Ponti)
05. I Don't Mess Around, Boy
06. Sooner or Later (Matthew Nelson, Gunnar Nelson, Jack Ponti)
07. We Always Want What We Can't Get (Matthew Nelson, Gunnar Nelson, Jack Ponti)
08. It's Your Body
09. She Gets Down (Matthew Nelson, Gunnar Nelson, Chip Z'Nuff, Donnie Vie)
10. Tell Me (Michael Raphael, Gunnar Nelson, Matthew Nelson)
11. Greed
12. Action (Andy Scott, Steve Priest, Brian Connolly, Mick Tucker)
13. Ain't Nothin' Really Changed
14. We're All Alright (Matthew Nelson, Gunnar Nelson, Chip Z'Nuff, Donnie Vie)
15. Judas Mirror (Michael Raphael, Gunnar Nelson, Matthew Nelson)
16. In a Perfect World
17. Imaginator (Matthew Nelson, Gunnar Nelson)

■Personnel
Matthew Nelson – lead vocals, bass
Gunnar Nelson – lead vocals, guitars
Bobby Rock – drums
Brett Garsed – lead guitar, vocals
Paul Mirkovich – keyboards, vocals
Joey Cathcart – guitars, vocals

Producer - Matthew & Gunnar Nelson
Co-Producer - David J. Holman
Associate Producer - Guy DeFazio
Executive Producer - John Boylan