0084Wide Open
A&Mとの契約が切られ、ドイツのマイナー・レーベルLong Island Recordsからリリースされたハートランドの2nd。メンバーとしてクレジットされているのは、中心人物のクリス・ウーズィー(Vo)とゲイリー・シャープ(Gt)、そしてスティーヴ・ギブソン(Dr)の3人だけになってしまいました。実はこのアルバムは、自分たちで制作した8トラックのデモ音源を若干手直したものなのだそうです。なんだか追い詰められ感が漂ってるような。。。1stと同傾向の楽曲だし、ハートランドらしい凝ったアレンジ、緻密なアンサンブルが聴いて取れるのに、サウンド・プロダクションがあまりにも違いすぎます。雄大な景色が目に浮かぶかのような1stの音と比較すると、全体にこじんまりとしてなんとも窮屈な感じ。名手フィル・ブラウンのベースもなく、リズムトラックは部分的に打ち込みでまかなっているようで、前作を特徴付けていたたゆとうような心地よいグルーヴは消滅してしまいました。音数が多いのに風通しが良く、ゴージャスなのに下品でない、1stのあの奇跡的なサウンドは、メジャー・レーベルが惜しみなく人とカネを投入したからこそ実現したマジックだったんですね。

さて、クリス・ウーズィーのボーカルについては1stのレビューで書いた通り好みの分かれるところですが、本作でも相変わらずのスタイルです。筆者としては素晴らしい熱唱だと思っています。彼らにしてはアーシーなタイトル曲#3"Wide Open"は特にいいですね。それから、#9"Try Me"は昔のR&Bやポップスによくあるコード進行と親しみやすい歌メロなんですが、だからこそクリス・ウーズィーの歌の上手さが際立っていると感じました。ま、端っから嫌いな人にはどれもクソ面白くない歌唱なんでしょうが。

前身バンドMonroe以来クリス・ウーズィーの相方だったゲイリー・シャープは、このアルバムをもってクリスと袂を分かつことになります。ホア~んとした浮遊感、独特の間のあるカッティングで、ハートランドのサウンド・イメージに大きな役割を果たしていたゲイリー・シャープの脱退は非常に残念です。後任のスティーヴ・モリスも上手いのですが、個性という点ではやはりゲイリー・シャープに一歩譲るかなと筆者は思っています。

なお、オリジナルのLong Island Records盤以外に、3rdで移籍したEscape Musicから再リリースされたものも出回っていますが、そちらは1st収録曲"Fight Fire With Fire"、"Wide Open"のそれぞれバージョン違いがボーナス・トラックとして追加収録されています。

評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。
評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作

01. Give Me a Reason
02. Whenever You Want Me
03. Wide Open
04. Losing to Love
05. Indian Ground
06. When I'm With You
07. A Town Called Pride
08. Running On Empty
09. Try Me
10. Burning the Bridges
11. Turning My Heart Right Over
12. All or Nothing
13. Keeping the Faith Alive
All songs by Chris Ousey & Gary Sharpe

■Personnel
Chris Ousey - vocals
Gary Sharpe - guitars, bass, keyboards, programming
Steve Gibson - drums, additional programming

Producer - Chris Ousey & Gary Sharpe