メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

Harem Scarem / Harem Scarem (1991)

0002Harem Scarem

ハーレム・スキャーレムは、カナダで結成されたメロディアス・ハードロック・バンドです。オリジナル・メンバーのうち、ハリー・ヘス(Vo)、ピート・レスペランス(Gt)、マイク・ジオネット(Ba)はカナダ人、ダレン・スミス(Dr)のみイギリス人です。このバンドは曲・歌唱力・演奏力が三拍子そろって高水準で、この1stアルバムから既にとんでもない完成度を示しています。サウンドはハード過ぎず、ポップ過ぎず、知的でいて暖か味があり、そして収録されている曲の全てが覚えやすく、一緒に口ずさみたくなるようなメロディばかり。このバンドの大きな特徴となっている厚みのある美しいコーラスも、アルバム全曲で聴くことができます。日本盤ボーナス・トラックは、アルバムのオリジナル曲のうち3曲のアコースティック・バージョン。メロディを大切にして作られた曲は、どんなアレンジで演奏されてもそのメロディは活きるものですが、シンプルなアコースティック演奏では、メロディそのものの素晴らしさをとりわけ感じとれるように思います。

プロデューサーはケヴィン・ドイル(Kevin Doyle)、70年代から主にレコーディング・エンジニア、ミックス・エンジニアーとして数多くの仕事をこなしています。このアルバムでは、プロデュースの他にアレンジからミックスまで深く関与しています。次作のMood Swingsもケヴィン・ドイルによってプロデュースされています。また、このアルバムにはカナダの先輩バンドから、Honeymoon Suiteのレイ・コバーン、Coney Hatchのカール・ディクソン、Haywireのポール・マッコースランドなどがレコーディングに参加しています。

後のアルバムではほとんど全てボーカルのハリー・ヘスとギターのピート・レスペランスが曲を書くことになりますが、このアルバムの何曲かは外部のライターの手も借りているようです。この後、音楽性の変遷、メンバーチェンジ、そしてバンド名の変更といった、長く曲がりくねった道を歩むことになるハーレム・スキャーレム。しかし、彼らの原点となったこの1stアルバムは、永遠にその輝きを失わないでしょう。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Hard to Love (C. Ward, H. Hess, P. Lesperance)
02. Distant Memory (H. Hess, P. Lesperance, M. Ribler)
03. With a Little Love (H. Hess, P. Lesperance)
04. Honestly (H. Hes)
05. Love Reaction (H. Hess, P. Lesperance, R. Coburn)
06. Slowly Slipping Away (H. Hess, M. Ribler)
07. All Over Again (H. Hes)
08. Don't Give Your Heart Away (H. Hess, P. Lesperance)
09. How Long (H. Hess, P. Lesperance, D. McTaggart)
10. Something to Say (H. Hess, P. Lesperance)
※日本盤ボーナス・トラック
11. Slowly Slipping Away [Acoustic Session]
12. How Long [Acoustic Session]
13. Hard to Love [Acoustic Session]

■Personnel
Harry Hess - lead vocals, guitar
Pete Lesperance - lead guitar, backing vocals
Mike Gionet - bass, backing vocals
Darren Smith - drums, backing vocals

Ray Coburn - keyboards
Terry Hatty - backing vocals
Carl Dixon - backing vocals
Marc Ribler - backing vocals
Paul MacAusland - backing vocals

Producer - Kevin Doyle, Harry Hess, and Pete Lesperance


評価の基準について

レビューの中で★の数により5段階の評価を表示していますが、評価の基準はあくまで主観的なものです。名盤であるかないかを決める、誰もが認める客観的な基準など無いのです。どなたの評価もそうですが、評価なんていうものは結局のところ、その人の「好み」にどれだけ合っているかに過ぎません。10人いれば10人好みは違うわけで、自分の評価=好みが絶対正しいと思い込んで、異なる意見をあーでもないこーでもないと攻撃しても仕方のないこと。このブログのレビューも評価も、筆者と好みが似ている方には参考になるだろうし、似ていない方には全く参考にならないでしょう。というわけで、評価の基準になる筆者の好みを示しておきます。

■音楽性について
音楽は広く浅く聴くほうですが、中でもHR/HMは好きなジャンルの一つです。その中でも、メロディアス・ハードロックとかメロディック・ロックと呼ばれる分野が特に好物です。哀愁系でも爽やか系でも、メタル寄りでもAOR寄りでも、メロディさえ好みに合えばOKです。

■苦手なサウンド傾向
苦手なバンドの筆頭がQueenですので、Queen的な大仰さ、煌びやかさは敬遠します。Steve Perry在籍時のJourneyも苦手です。自己陶酔的に歌い上げられると聴いていられなくなります。アメリカのバンドにありがちな、女性のあえぎ声のSEとか、そういう下品な演出も嫌います。全ての曲がそうではありませんが、Van HalenやExtremeなどのアルバムに見られる余裕カマしたおふざけにも白けます。

■演奏技術・歌唱力全般について
上手いに越したことはありませんが、音楽はテクニックが全てではないと思います。上手い人がつまらない曲をやっているのより、最低限のテクニックであっても良い曲が聴きたいと思っています。

■ボーカリストについて
HR/HMというジャンル、そしてスタジオ録音という条件に限って言えば、音程の不正確な人はダメです。チューニングの合っていない楽器みたいなものですから。もっとルーズな音楽なら、多少ヨレた歌い方もOKですが。声質・歌唱法で言うと、どちらかと言えばハイトーン・スタイルより中低音を活かしたスタイルのほうが好みです。ソウルやブルースも好きなので、そっち系の歌い回しをする人を好む傾向があります。

■ギタリストについて
筆者自身もバンドでギターを弾くので、ギタリストの好き嫌いは結構激しいです。どちらかと言えばピロピロ速弾き系より、ギターでしっかりメロディを歌うギタリストが好みです。過剰にトリッキーな人より、ペンタトニックを基本にオーソドックスでコンパクトなフレーズを組み立てている人が好きです。どんなに速くても、難しい指使いでも、運指の練習みたいなフレーズを延々聴かされるのは苦痛です。ギターの音はハンバッキングでもシングルコイルでも、魅力的な音色であればどちらも好きです。

■曲のバリエーションについて
いくら好物でも、同じような味のものを食わされ続けると飽きます。バラード集やアンプラグド集といった企画物は別として、アルバム通しで聴くには曲調のバラエティがほしい。スピード・チューン、ミドルテンポ、バラードがバランスよく配置されていると最高です。マイナー・キー、メジャー・キーもバランスよく。ただし、組曲のような長尺な曲で、やたらにテンポが変わったり転調したりするのは、曲のイメージがつかめず苦手です。

■サウンドプロダクションについて
基本的によほど悪い録音でなければ評価に影響しません。サウンドプロダクションはプロデューサーやエンジニアの仕事であって、その良し悪しはバンドの責任ではないと思います。いずれにしても筆者はbootlegをコレクションする趣味もないし、普通に市販されている音源は極端に音質が悪いのは稀だと思うので、まあこの点は大きなポイントではないでしょう。

以上思いつくままに書き出してみましたが、後で修正したり付け加えたりするかもしれません。

Fair Warning / Fair Warning (1992)

0001Fair Warning

「メロディアス・ハード」という言葉からまず思い浮かぶバンドは、なんといってもフェア・ウォーニングです。というわけで、レビューの記念すべき第一弾目はフェア・ウォーニングのデビュー盤です。

フェア・ウォーニングは、スコーピオンズの2代目のギタリストだったウリ・ジョン・ロートの弟、ジーノ・ロートのバンド、ジーノのメンバーを中心に結成されたドイツのバンドです。先駆者であるスコーピオンズ、そしてジーノが切り開いた、メロディアスなハードロックをとことんまで追求したバンドだと思います。筆者がメロハーに求める要素の2本柱は、突き抜けるような高揚感と切ない哀愁ですが、フェア・ウォーニングはこの二つを十二分に兼ね備えています。特にこの1stアルバムは、全曲シングルカットしてもおかしくないような良質なメロディーが、これでもかというほどに押し寄せてきます。1コーラスですぐサビにいくのが、60~70年代のヒットチャートをにぎわしたポップス群を髣髴とさせて心憎い限りです。また、バンドの演奏力、ヴォーカルのトミー・ハートの歌唱力も極めて高レベル。ヘルゲ・エンゲルケのスカイギターの飛翔感、アンディ・マレツェクのツボを心得た泣きのギターも聴き所の一つです。C.C.ベーレンス(Dr)、ウレ・リトゲン(Ba)のリズム隊も実に堅実な仕事をしています。なんでこんないいバンドが日本以外では大した人気がなく、「ビッグ・イン・ジャパン」などという不名誉なレッテルを貼られてしまっているのでしょうか。。。

なお、ボーナス・トラックの"In the Ghetto"はエルヴィス・プレスリーのレパートリーで、来日記念盤EPに収録されていたもの、"Hold Me"は初期のデモとして製作されたものです。プロデュースとミックスはレイフ・マッケンナ。1970年代からWishbone Ash、Bad Company、Giant、Foreigner、Teslaなどの数多くのアルバムに、エンジニアやプロデューサーとして関わっているベテランです。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Longing For Love (U. W. Ritgen)
02. When Love Fails (H. Engelke)
03. The Call of the Heart (U. W. Ritgen)
04. Crazy (U. W. Ritgen)
05. One Step Closer (H. Engelke)
06. Hang on (U. W. Ritgen)
07. Out on the Run (U. W. Ritgen)
08. Long Gone (U. W. Ritgen)
09. The Eyes of Rock (U. W. Ritgen)
10. Take a Look at the Future (U. W. Ritgen)
11. The Heat of Emotion (Z. Roth)
12. Take Me Up (U. W. Ritgen)
※日本盤ボーナス・トラック
13. In the Ghetto
14. Hold Me

■Personnel
Tommy Heart – vocals
Helge Engelke – guitars, keyboards and backing vocals
Andy Malecek – guitars
Ule W. Ritgen – bass guitar and backing vocals
C. C. Behrens – drums

Bernd Kluse – backing vocals
Andrew McDermott – backing vocals
Kalle Bosel – backing vocals

Producer – Rafe McKenna

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