メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

Skagarack / Skagarack (1986)

0470Skagarack









トーベン・シュミット(Vo)を中心とするデンマークのメロハー・バンドSkagarack(スカガラック)の1stアルバム。冒頭から3曲続けてメジャー・キーの明るいハード・ポップが続くので、おそらくその路線が売りのバンドなのでしょう。キラキラ・キーボードとスイートなボーカルがいかにも当時のハード・ポップです。しかしながら、ちょっとその甘さが鼻に付く感じがします。むしろマイナー・キーの曲の方が出来が良く、#5"Don't Turn Me Upside Down"、#6"Lies"などは毒気を抜いたドッケンのようで、ほんのり哀愁メロハーとして佳曲じゃないかと思います。面白いのはレインボーっぽい#7"Victim of the System"と#8"City Child"。ボーカルがいきなり声の出し方や節回しが変わってロニー・ジェイムス・ディオみたいになってます。ギターも嬉々として弾いてるし。本当はこういうのがやりたかったのかな?

なお、本国デンマークの2007年再発盤、2022年日本盤にはライブ音源など5曲が追加収録されています。特に日本盤は「生産限定盤」と銘打たれたシリーズの1枚で、お値段なんと1100円!これはお買い得ですな。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Move It in the Night
02. I'm Alone
03. Saying
04. Damned Woman
05. Don't Turn Me Upside Down
06. Lies
07. Victim of the System
08. City Child
09. Double Crossed
[Bonus Tracks]
10. Stand by Me
11. I'm Alone (Extended Version)
12. Victim of the System (Live)
13. Move It in the Night (Live)
14. City Child (Live)
Music & Words ByTorben Schmidt

■Personnel
Torben Schmidt - Lead & Backing Vocals, Additional Keyboards, Guitar
Alvin Otto - Drums
Jan Petersen  - Guitar
Tommy Rasmussen - Keyboards, Backing Vocals
Morten Munch - Bass

Jan Eliasson - Bass, Backing Vocals
Flemming Gernyx - Percussion
Lars Christensen - Backing Vocals on #6

Producer - Jan Eliasson, Torben Schmidt

スカガラック・ファースト +5 (生産限定盤)
スカガラック
Universal Music
2022-03-23


Mean Streak / Y&T (1983)

0469Mean Streak









アメリカン・ハードロック・バンドY&Tの改名後3枚目のアルバム。いわゆる初期三部作の最後を飾る作品です。メンバーはYesterday and Today時代から変わっておらず、デイヴ・メニケッティ(Vo, G)、ジョーイ・アルヴィス(G)、フィル・ケネモア(B)、レオナード・ヘイズ(Ds)の4人です。プロデュースはゲイリー・ムーア、Thin Lizzy、Tygers of Pan Tangなど多くのHR/HM系アーティストを手がけてきたクリス・タンガリーディスが担当しています。

さてこのアルバム、Earthshaker、Black Tiger と比較するとややパワー・ダウンしてきた感は否めませんが、それでもこのバンド特有のスリリングで骨太なサウンド、泣きのメロディは健在です。特筆すべきはやはり#4"Midnight in Tokyo"の素晴らしさ!1982年の初来日公演後のバンドの感動と興奮をその場で曲にしたというのはファンには有名なエピソードです。ある意味、クサさ、ダサさの極みのような曲ですが、これほどに熱い魂を直球でぶつけられると、心を揺さぶられずにはいられません。バース部分がこのバンドには珍しくオシャレっぽいのもいい。Y&T屈指の名曲でしょう。その他の曲も概ね彼ららしいメロディとサウンドが堪能できる佳曲が揃っていると思います。惜しむらくはラストの"Down and Dirty"。これだけはタイトル通りダーティでバカっぽく、ちょっとLAメタルを思わせるような曲でアルバムの中で浮いています。これ以降の音楽性の変化を知っている身としては、バンドの路線修正を予感させる曲なわけですが。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Mean Streak
02. Straight Thru the Heart
03. Lonely Side of Town
04. Midnight in Tokyo
05. Breaking Away
06. Hang 'Em High
07. Take You to the Limit
08. Sentimental Fool
09. Down and Dirty
All songs written by Y&T

■Personnel
Joey Alves - Guitar, Vocals
Dave Meniketti - Lead Guitar, Lead Vocals
Phil Kennemore - Bass, Vocals
Leonard Haze - Drums, Percussion

Producer - Chris Tsangarides

MEAN STREAK
Y & T
ROCCA
2018-07-13


Lint / House of Shakira (1997)

0468Lint









スウェーデンのメロハー・バンドHouse of Shakira(ハウス・オブ・シャキラ)の1stアルバム。煌びやかなサウンド、分厚く美麗なコーラス、凝った構成とアレンジ、、、あ、ダメだこれ。苦手なスタイルど真ん中。何度聴いても歌メロが耳に馴染んできません。そう、Grand Illusionあたりと同じ傾向の音楽です。あのバンドもそうだったけど、同じメロディアスハードでも、微妙なところで好みから外れる音ってのがあるのです。もちろん歌も演奏も上手いんですけどね。それから、やたらに挿入される中東風だか、アフリカ風だかのエスニックなフレーズも意味が分かりません。んー、Grand Illusionが好きな人には受け入れやすいかも知れませんが、筆者にはダメでした。申し訳ないけど書くことがあんまりありません。

評価 ★★☆☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Morning Over Morocco (Music : Mats Hallstensson, Anders Lundström, Per Schelander, Tony Andersson / Lyrics : Mikael Eriksson)
02. Lint (Music : Mats Hallstensson, Anders Lundström, Per Schelander, Tony Andersson / Lyrics : Mikael Eriksson)
03. Method of Madness (Music : Mats Hallstensson / Lyrics : Mikael Eriksson)
04. No: 8 (Music : Mats Hallstensson / Lyrics : Mikael Eriksson)
05. Who's Lying Now (Music : Mats Hallstensson, Bernt Ek, Henrik Andreasson / Lyrics : Mikael Eriksson)
06. Elephant Gun (Music : Mats Hallstensson / Lyrics : Mikael Eriksson)
07. Love Was Good (Music : Mats Hallstensson, Anders Lundström / Lyrics : Mikael Eriksson)
08. The Story's the Same (Music : Per Schelander / Lyrics : Mikael Eriksson)
09. Canned Laughter (Music : Mats Hallstensson, Anders Lundström, Per Schelander, Tony Andersson / Lyrics : Mikael Eriksson)
10. Remember (Music : Per Schelander / Lyrics : Mikael Eriksson)
11. Everything's Fine (Music : Mats Hallstensson / Lyrics : Mikael Eriksson)

■Personnel
Andreas Eklund - lead and backing vocals
Mats Hallstensson - lead and rhythm guitars, backing vocals
Anders Lundström - rhythm guitars, keyboards
Per Schelander - bass, backing vocals
Tony Andersson - drums, percussion

Svante Henryson - cello on #11
Mikael Eriksson - backing vocals
Rolf Klinth - lapsteel on #5
Jörgen Schelander  - piano on #8, 10, organ on #4, 10

Producer - House of Shakira

Lint
House of Shakira
Lion Music Finland
2005-03-15






Ahead of Time / Frozen Rain (2012)

0467Ahead Of Time









ベルギーのキーボード奏者カート・ヴェリークのプロジェクトFrozen Rain(フローズン・レイン)の2ndアルバムです。1stのAOR寄りのソフトなメロハー路線から一転して、グッとハードな音になりました。前作では5人のボーカリストが歌っていましたが、本作ではハードな演奏に合わせて、ダミ声でパワー感のあるボーカル・スタイルのカーステン・リザード・シュルツ(Domain, Evidence One, etc)単独での起用です。また演奏陣も全曲同じメンバーで、結果的によりバンドらしい一体感のあるアルバムとなっています。ミキシングはアレッサンドロ・デル・ヴェッキオ、マスタリングはデニス・ワードと「メロハー界の要人」が関わっているのも、アルバムのクォリティ向上に一役買っているかも知れません。

というわけでサウンドのほうはは変化しましたが、通俗的というか、歌謡曲的というか、Frozen Rainの特徴的なメロディ・ラインはやはり同じです。特に#2"Forever"なんかは、80~90年代の日本のロック風歌謡曲を聴いてきた世代にはグッと来るんじゃないかと。全編通じて佳曲揃いでメロディック・ロック・ファンなら聴いて損はないと思いました。

なお、本作の日本国内盤(Rubicon Music)には6曲ものボーナス・トラックが収録されています。いずれもデモ音源で、#12~15は1st収録曲、#16は本作のタイトル曲、#17はアルバム未収録曲でトミー・デナンダーがギターを弾いています。しかしながら、デモとは言え歌唱・演奏(トミー・デナンダーは別として)・録音がお粗末で、あまり有り難味の無いボーナスです。つまらないデモ音源など入っていると逆にアルバムの品位を落とすと思うのですが、いかがなものでしょうか。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Believe It or Not (Rik Priem, Chris Swinney, Kurt Vereecke)
02. Forever (Kurt Vereecke)
03. Breakin’ Out (Rik Priem, Chris Swinney, Kurt Vereecke)
04. We’re Gonna Rock (Kurt Vereecke)
05. Too Late (Kurt Vereecke)
06. Turn It On (Rik Priem, Kurt Vereecke, Darren Whitehead)
07. Ahead of Time (Kurt Vereecke, André Vlerick)
08. The Last Dance Ain’t Over (Jurgen Vitrier, Kurt Vereecke, Darren Whitehead)
09. Not at Home (Chris Swinney, Kurt Vereecke)
10. The Way That You (Rik Priem, Kurt Vereecke, Darren Whitehead)
11. Voodoo Party (Rik Priem, Chris Swinney)
[Bonus Tracks for Japan]
12. Waiting for You (Demo) (Kurt Vereecke)
13. On the Run (Demo) (Erik Van Bers & Kurt Vereecke)
14. Park Cafe (Demo) (André Vlerick & Kurt Vereecke)
15. Never Be a Fool Again (Demo) (Erik Van Bers & Kurt Vereecke)
16. Ahead of Time (Demo)  (Kurt Vereecke, André Vlerick)
17. The Secret of My Heart (Demo) (Anders Johasson & Kurt Vereecke)

■Personnel
Kurt Vereecke - Keyboards, Bass Guitar, Acoustic Guitar, Backing Vocals

Carsten 'Lizard' Schulz - Lead & Backing Vocals
Hans Vereecke - Drums
Jurgen Vitrier - Keyboards
Vincent De Laat - Bass Guitar
Rik Priem - Rhythm & Solo Guitars, Acoustic Guitar

Chris Swinney - Backing Vocals on #1,9, Voice on #11

Producer - Frozen Rain
Executive-Producer - Gregor Klee

Ahead Of Time
FROZEN RAIN
RUBICON MUSIC
2012-05-23


Thirty Days and Dirty Nights / From the Fire (1991)

0466Thirty Days and Dirty Nights









トミー・ラファーティを中心とするアメリカのメロハー・バンドFrom the Fireの1stアルバムです。トミー・ラファーティは、80年代からジーン・ボーヴァーのソロ作やVoodoo Xに参加、またFrom the Fireの後にはCrown of Thornsのメンバーとなるなど、何かとジーン・ボーヴァーとの縁が深い人で、本作 Thirty Days and Dirty Nights のプロデュースもジーン・ボーヴァーが担当しています。バンド・メンバーは5人がクレジットされており、ブックレットにあしらわれた写真にも同じ名前のメンバーが写っていますが、曲ごとのクレジットを見るとキーボードとベースは別人です。よくあることですが、レコーディング後にメンバー・チェンジしたんでしょうね。なお、From the Fireは本作をリリースして解散、前述の通りトミー・ラファーティはジーン・ボーヴァーのCrown of Thornsに合流します。そして、なんと20数年後に突如バンド復活、2014年に2nd、2016年に3rdアルバムを発表することになります。本作と、この2nd、3rdをパッケージングした3枚組コンピ盤もリリースされており、CD購入の際には選択肢になると思います。

音のほうはメロハー・ファンなら満足がいく内容だと思います。特にお気に入りの曲をいくつかピックアップしてみます。

01. Hold On
ミドル・テンポの哀愁メロハー。いきなりの名曲レベルで、ツカミはOKという感じです。

02. Same Song
ファンキーなリズムとマイナー・キーのメロディが非常に魅力的です。

04. Over Your Head
これもマイナー・キーの哀愁メロハー。ブリッジ~サビのメロディ展開が特にカッコいい!

06. Lovestruck
本作の中では一番ハードな曲。哀愁という感じではないですが、やはりマイナー・キーのメロディが印象的です。

07. Spark and Flame
アップ・テンポでノリノリ、しかも哀愁たっぷり!女性ボーカルとのデュエット曲です。これも名曲レベルではないでしょうか。この女性ボーカリストは全然知らない人ですが、はすっぱな歌い方が超好みです!

08. Go All the Way
Raspberries(ラズベリーズ)の1972年の大ヒット曲のカバーです。書いたのはもちろんエリック・カルメン。典型的・古典的な爽快系ハード・ポップということで、他の曲との釣り合いは「?」ですが、良い曲なのでまあいいかと。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Hold On (Nadine Arel)
02. Same Song (Tommy Lafferty, Jean Beauvoir)
03. Tears Cried in the Rain (J.D. Kelly, B. McDermott)
04. Over Your Head (J.D. Kelly, C. Castro)
05. Take My Heart (Nadine Arel)
06. Lovestruck (From the Fire)
07. Spark and Flame (Nadine Arel)
08. Go All the Way (Eric Carmen)
09. Where Are You Now? (Eric Carmen)

■Personnel
J.D. Kelly - Lead Vocals, Keyboards
Tommy Lafferty - Guitar, Backing Vocals
Michael Sciotto - Drums, Backing Vocals
Paul Morris - Keyboards, Backing Vocals
Thaddeus Castanis - Bass Guitar, Backing Vocals

Nadine Arel - Keyboards
Paul St. James - Bass Guitar

Pat Regan - Keyboards on #1
Jimmy Z - Sax Solo on #3
Theresa Straley - Additional Vocals on #7

Producer - Jean Beauvoir

Thirty Days and Dirty Nights
From The Fire
Yesterrock
2009-05-14

Thirty Days and Dirty..
From the Fire
Mig
2019-01-10





Fortune / Fortune (1985)

0465Fortune h









Harlan Cageでメロハー・ファンにはお馴染みのL.A.グリーンとロジャー・スコット・クレイグのコンビが在籍したバンド、Fortuneが1枚だけ残したアルバム。バンド名はギターのリチャードとドラムのミックのフォーチュン兄弟に由来するようです。シンガーとソング・ライターが同じなので当たり前と言えば当たり前ですが、ほぼHarlan Cageと同じ哀愁メロハー/AOR路線が全面展開。パッと聴いただけではHarlan Cageと区別がつきません。Harlan Cageのアルバムでも何曲か本作収録曲をセルフ・カバーしていたのでなおさらです。

Harlan Cageの解散後、L.A.グリーンとロジャー・スコット・クレイグはフォーチュン兄弟と合流してFortuneでの活動を再開、2019年に34年振りとなる2ndアルバム II をリリースしています。ロジャー・スコット・クレイグはその後バンドを離れたようですが、2020年にライブ盤 The Gun's Still Smokin' Live 、2022年には3rd Level Ground と立て続けにリリース。しかし2022年末、残念ながらL.A.グリーンの訃報が伝えられています。

なお、本作のオリジナル・リリースはLPですが、今のところ発売された正規盤CDは2種類しかないようです。一つは2004年アメリカGypsy Rock Records盤で、LPの10曲に加えてボーナス・トラックを3曲追加収録。もう一つは2011年ドイツAOR Heaven盤で、こちらのボーナス・トラックは1曲。もちろん、両方ともデジタル・リマスターされています。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Thrill of It All (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
02. Smoke From a Gun (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
03. Stacy (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
04. Bad Blood (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
05. Dearborn Station (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
06. Lonely Hunter (L. A. Greene, Richard Fortune)
07. Deep in the Heart of the Night (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
08. Stormy Love (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
09. Out on the Streets (L. A. Greene, Roger Scott Craig, Richard Fortune)
10. 98° in the Shade (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
[Bonus Tracks]
11. Home Free (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
12. Breakin' Down the Door (L. A. Greene, Roger Scott Craig, Richard Fortune)
13. Heart of Stone (L. A. Greene, Roger Scott Craig, Richard Fortune)

■Personnel
L. A. Greene - Lead Vocals, Guitars
Bob Birch - Bass, Vocals, Saxophone
Richard Fortune - Guitars, Vocals
Mick Fortune - Drums
Roger Scott Craig - Keyboards, Vocals

Producer - Kevin Beamish

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Fortune

Phenomena / Phenomena (1985)

0464Phenomena









元Trapeze、Whitesnakeのギタリストのメル・ギャレーの兄弟のトム・ギャレーの主宰するハードロック・プロジェクトの第1作。なんか「天璋院様の御祐筆の妹のお嫁にいった先の~」みたい。それはさておきこのプロジェクト、参加メンバーがとにかく凄いです。いずれもメル・ギャレーと関わりのあるプレイヤー達ですが、ブリティッシュ・ロックの大御所がずらっと揃っています。ボーカルとベースにグレン・ヒューズ、キーボードにリチャード・ベイリー、この二人はTrapezeつながりですね。もう一人のベースはニール・マーレイ、ドラムはコージー・パウエル、こちらはWhitesnakeつながり。他にはBudgieのジョン・トーマス(G)、Colosseum II、Rainbowのドン・エイリー(Key)、MSGのテッド・マッケンナ(Ds)などもクレジットされています。もちろんメル・ギャレー自身もギターを弾いています。

中身のほうは、メンツを見ただけで想像がつくように、伝統的なブリティシュ・ロックそのもの。陰りと湿り気が特徴の曇り空のようなサウンド、爽快感や高揚感とは真逆のすっきりしないメロディが印象的です。そしてグレン・ヒューズの表現力豊かな歌唱はさすがとしか言い様がありません。その一方、ギター・リフでガンガン攻めてくるスタイルではなく、柔らかく包み込むようなキーボードが全面的にフィーチャーされていて、ハードロックとしてはやや物足りなさがあります。コージー・パウエルのプレイも意外におとなしいし、スロー~ミドル・テンポの曲ばかりだし、全体にちょっとマッタリし過ぎかなと感じてしまいました。

なお、この作品はオリジナルLPは全9曲収録ですが、その後各国各レーベルから様々なバージョンのCDが発売されており、ボーナス・トラックの収録が微妙に異なっているのがややこしいところ。2006年英国Escape盤と2017年Wasabiレーベルの日本国内盤には、"Still the Night"の新録音バージョンや1982年当時のリハーサル音源など計5曲がボーナスとして追加収録されていています。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Kiss of Fire (Lyrics : Tom Galley / Music : Tom Galley, Richard Bailey)
02. Still the Night (Lyrics & Music : Glenn Hughes, Paul Delph, Pat Thrall)
03. Dance With the Devil (Lyrics : Tom Galley / Music : Tom Galley, Richard Bailey, Mel Galley)
04. Phoenix Rising (Lyrics : Tom Galley / Music : Tom Galley, Richard Bailey, Mel Galley)
05. Believe (Lyrics : Tom Galley / Music : Richard Bailey)
06. Who's Watching You (Lyrics : Tom Galley / Music : Tom Galley, Mel Galley)
07. Hell on Wings (Lyrics : Tom Galley / Music : Tom Galley, Richard Bailey, Mel Galley)
08. Twilight Zone (Lyrics : Tom Galley / Music : Tom Galley, Richard Bailey)
09. Phenomena (Lyrics : Tom Galley / Music : Tom Galley, Paul Robbins)
[Bonus Tracks]
10. Still the Night
11. Karma
12. Coming Back Strong
13. Assassins of the Night
14. Phoenix Rising

■Personnel
Glenn Hughes - Lead & Backing Vocals on #1~8, Bass on #2, 6
Neil Willars - Vocals on #5, 9
John Thomas - Guitars on #1, 2, 3, 5, 8
Mel Galley - Guitars on #2, 3, 4, 6, 7, 8
Richard Bailey - Keyboards on #1, 4, 5, 7, 8, 9
Robin Smith -  Keyboards on #2
Don Airey - Keyboards on #6
Neil Murray - Bass on #1, 3, 4, 5, 7, 8
Cozy Powell - Drums on #1, 3, 4, 5, 7, 8
Ted McKenna - Drums on #2, 6

Producer - Tom Galley

フェノメナ
フェノメナ
WASABI RECORDS
2017-05-17





MMVII / Voices of Rock (2007)

0463MMVII









ドイツのミュージシャン、マイケル・ヴォス(Mad Max, Casanova etc)とクリス・ラウスマン(Bonfire, Affair etc)の2人を中心とするプロジェクトVoices of Rockの1stアルバム。この2人とドイツのベテラン・ドラマーであるバートラム・エンゲルで基本オケを作り、そこに10人のボーカリストが歌を乗せるという趣向となっています。個別には曲ごとに触れますが、綺羅星のごとく豪華なメンバーがずらっと並んでいて、メロハー・ファンとしては実に魅力的です。更にゲスト・ギタリストとして、トミー・デナンダーとエンジェル・シュライファーがそれぞれ1曲がつ参加しています。これまた嬉しい限り!

01. Voodoo Woman
一番手のボーカリストはジェイムズ・クリスチャン(House of Lords )。ミドルテンポの歯切れのいいリフと重厚なサウンド、そしてジェイムズ・クリスチャンの風格あるボーカルが素晴らしいの一言。おまけにエンジェル・シュライファーのカッコいいギター・ソロまで!いきなりの名曲・名演です。

02. Wild Thing
ボーカルはジーン・ボーヴァー(Crown of Thorns)。メロディアスでスピード感あふれる曲にジーン・ボーヴァーの伸びのある歌声がピッタリです。Crown of Thornsより良いくらいですね、これは。

03. Nightingale
お次はテリー・ブロック(Strangeways, Giant)。一転してしっとりとしたAOR風バラード。この人もため息が出るほど上手いです。

04. Over and Done
ボーカルはダン・リード(Dan Reed Network)。ミドル・テンポのポップな曲で、本作の中ではやや軽めなサウンドです。昔のDan Reed Networkの頃より声が渋くなっていて味わい深いです。

05. Phoenix Rising
ボーカルはジョニー・ジョエリ(Hardline)です。ミドル・テンポのハードAORといった曲調で、これも歌い手に良く合っていると感じました。

06. Irresistible
ハリー・ヘス(Harem Scarem)登場!ザクザクとしたリフと切ないメロディが最高です。本作中で一、二を争う出来だと思います。

07. China in Your Hands
ヨラン・エドマンが担当するのは軽快でキャッチーなハード・ポップ。どこかにも書いたけれど、おじさんの歌う明るいポップスってのは実にいいもんですな。聴けば聴くほど大好きな曲になりました。

08. Underloved
唯一の女性ボーカル、ロビン・ベックが歌うハード・ポップ。うっすら漂うカントリー・フレイバーがいい感じです。ギター・ソロはトミー・デナンダーで、いつも通り弾きまくっております。

09. Slip Away
メジャー・キーのポップな曲が続きます。ボーカルはスティーヴ・オーヴァーランド(FM)。この人は何を歌わせても味わいがあるというか、曲の味わいを引き出してしまうというか、とにかく上手いですね。

10. Love Is Blind
締めくくりはなんとゲイリー・バーデン(MSG, Silver)です!1曲目と似た感じのリフが引っ張るミドル・テンポのハードロック。ゲイリー・バーデンは色々言われてきましたが、こうやって聴くと(少なくともスタジオ録音では)中々の名ボーカリストですね。

なお、日本国内盤には11曲目にボーナストラックとしてマイケル・ヴォス自身が歌う"Maniac"が収録されているようですが、未聴のため詳細は分かりません。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Voodoo Woman
02. Wild Thing
03. Nightingale
04. Over and Done
05. Phoenix Rising
06. Irresistible
07. China in Your Hands
08. Underloved
09. Slip Away
10. Love Is Blind
Words & Music By Chris Lausmann & Michael Voss

■Personnel
Michael Voss - Lead Guitars, Acoustic Guitars, Backing Vocals
Chris Lausmann - Guitars, Bass, Keyboards

James Christian - Vocals on #1
Jean Beauvoir - Vocals on #2
Terry Brock - Vocals on #3
Dan Reed - Vocals on #4
Johnny Gioeli - Vocals on #5
Harry Hess - Vocals on #6
Göran Edman - Vocals on #7
Robin Beck - Vocals on #8
Steve Overland - Vocals on #9
Gary Barden - Vocals on #10

Bertram Engel - Drums
Angel Schleifer - Lead Guitars on #1
Tommy Denander - Lead Guitars on #8

Producer - Chris Lausmann & Michael Voss

MMVII
ヴォイシズ・オヴ・ロック
マーキー・インコーポレイティド
2007-08-22





 

Life / Nelson (1999)

0462Life









双子のコンビ、マシュー・ネルソンとガナー・ネルソンの通算6枚目のアルバム。前作Brother Harmonyは何故かThe Nelsonsという名義でしたが、またNelsonというバンド名に戻っています。Brother Harmonyほどカントリー・テイストは強くないものの、その延長線の爽やかなウェストコースト・サウンド風の音を聴かせてくれます。本作のギターはほとんどトム・ブコヴァックが弾いているようで、音色はクリーンかクランチのザックリした感じ。デビュー当時のハードロック的ギター・サウンドではありませんが、この心地良さもたまりません!全体として、温か味のあるキャッチーなメロディ、明るく軽快なサウンド、美しいハーモニーが心ゆくまで味わえる傑作となっています。全曲ともお気に入りですが、いくつかピックアップしてみます。

#1"A Girl Like That"
オープニングにふさわしく、覚えやすく楽しいメロディと軽快なサウンドが印象的な佳曲。本作のハイライトだと思います。

#3"Life"
お父さんのカントリー歌手故リッキー・ネルソンのカバー。穏やかで美しいメロディが心に沁みます。

#5"Someone Like You"
カントリー・テイスト溢れるバラード。優しいメロディに包まれてなんとも心地良くなれます。共作者に1stのプロデューサーだったマーク・タナーのクレジットがあるのが懐かしい。カントリーにフュージョンを混ぜたようなギター・ソロも秀逸。これも本作のハイライトの一つでしょう。

#6"Everybody Cries Sometimes"
ポップなメロディ・ラインとややハードなサウンドが印象的です。これもマーク・タナーとネルソン兄弟の共作です。

#10"Is That How It Is"
少しばかり古き良きフォーク・ロック的味わいのある曲。かのラス・バラードとネルソン兄弟の共作です。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. A Girl Like That (Mark Collie/M. & G. Nelson)
02. I Would If You Want Me To (M. & G. Nelson)
03. Life (Rick Nelson)
04. She Sheila (K. Henderson/B. Holmes/W. McNatt/V. A. Temple Jr.)
05. Someone Like You (Marc Tanner/M. & G. Nelson)
06. Everybody Cries Sometimes (Marc Tanner/M. & G. Nelson)
07. Let's Talk About Me (Victoria Shaw/Steven McClintock)
08. She Said She'd Be Mine (M. & G. Nelson)
09. The Hunger (Taylor Rhodes/M. & G. Nelson)
10. Is That How It Is (Russell Ballard/M. & G. Nelson)

■Personnel
Gunnar Nelson - Lead & Background Vocals, Rhythm Guitar, Dulcitar, Percussion
Matthew Nelson - Lead & Background Vocals, 6 & 12 String Ric Guitars

Ricky Salyer - Drums
Dow Tomlin - Bass
Shane Hicks - Keys
Tom Bukovac - All Other Guitars
Steven McClintock - Background Vocals
Beth Hooker - Background Vocals
Marilyn Martin - Background Vocals
Anthony Joyner - Background Vocals

Producer - Matthew and Gunnar Nelson

ライフ
ネルソン
ビクターエンタテインメント
1999-08-25



Original Sin / Baltimoore (2000)

0461Original Sin









ビョルン・ローディンを中心とするスウェーデンのハードロック・バンドBaltimooreの6年ぶりの5thアルバム。3rdと4thで共演したニコロ・コツェフと袂を分かち、前身バンドSix Feet Underのギタリストで、Baltimooreの1stにも参加していたトーマス・ラーションが復帰しています。3rdと4thではニコロ・コツェフの影響で古典的な「様式美」的ハードロックをビシッとキメていましたが、タガが緩んだように本作はまた何でもあり状態に戻っちゃってますね~。それはそれとして、今回特筆すべきは、トーマス・ラーションのギターのカッコよさ。ニコロ・コツェフ同様リッチー的でもあり、一方ジェフ・ベック的なところもあって非常に魅力的です。ギターの音色が生々しいのも好みです。この人って前からこんなに上手かったっけ?もちろん、主役のビョルン・ローディンのボーカルも、ロバート・プラントを塩辛くしたような独特の味があって相変わらず達者だし、キーボードのラーズ・ポラックもオルガンにピアノに大活躍で、聴き応えのあるプレイを聴かせてくれています。

以下、特に印象に残った曲をピックアップしてみます。

#1"Conviction"
オープニングは、3rd、4thに近い「様式美」的スピード・チューン。トーマス・ラーションのソロが無茶苦茶カッコいいです。

#2"Indecision"
グルーヴィなリズムとちょっと不思議なメロディが印象的なミドルテンポのナンバー。ここでもまたトーマス・ラーションのギターがいい味を出しています。

#4"Contradiction"
ヴァイオリンの入ったトラッド風の曲です。全くハードロックではありませんが、いかにもヨーロッパ的な雰囲気が魅力的。

#5"Recognition"
ブルージーで、かつ少しばかりジャズっぽいナンバー。うねるオルガン、鋭角的なギターが強く印象に残ります。

#7"Superman"
なんと、まるっきりジャズです。ジャズ風ではなくて、サックス入りの4ビート・ジャズ!渋過ぎ!バックのミュージシャンもジャズ畑のプレイヤーのようです。

#8"Omniscience"
グルーヴィでヘヴィなハードロック。押し寄せてくるようなサウンドにワクワクしてしまいます。

#9"Jealousy"
これまたカッコいい!第2期ジェフ・ベック・グループみたいな音です。

全体として、よく言えばバラエティに富んだ、悪く言ってしまえば散漫な作風です。しかし、元々このBaltimooreはビョルン・ローディンのワンマン・バンドないしはソロ・プロジェクト的色彩が強く、彼がやりたい放題やっているのが自然かもしれません。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Conviction
02. Indecision
03. Emancipation
04. Contradiction
05. Recognition
06. Retribution
07. Superman
08. Omniscience
09. Jealousy
10. Redemption
All songs written by Björn Lodin
Wards co-written by Allan Sjöholm (2, 3, 6, 7, 8, 10)

■Personnel
Björn Lodin - Vocals, Guitar (1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 10), Bass (3, 9)
Thomas Larsson - Lead Guitar (1, 2, 3, 5, 6, 8, 9, 10)
Kurt Lindbom - Lead Guitar (4, 7)
Joakim Larsson - Bass (1, 5, 6, 8)
Weine Johansson - Bass (2, 4, 10)
Kjell Dahl - Bass (7)
Jair-Rhome Parker - Bass Intro (9)
Lars Pollack - Keyboards
Eiron Johansson - Drums (1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9,10)
Thomas Tornefjäll - Drums (7)
Hans Röjås - Violin (3)
Villu Veski - Saxophone (7)

Producer - Björn Lodin

Original Sin
Baltimoore
Lion Music Finland
2009-06-02





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